ごめんなさい
昼食の時間に食堂へ行くとデルタが居心地悪そうに座っていた。ケニアはデルタを一瞥すると、自分の席に座った。
「ケニア。」
顔色を窺いながらケニアに声を掛けると、ケニアは視線をデルタに移した。
「結婚の話。・・・・まだするのかしら。お父様」
何時もの明るい声とは打って変わって、低い声音で問いかける。
「し、しないよ。うんパパが間違っていたよね。うん。ごめんね。二度としないからね。パパは黙っています。ケニアの人生に口を出しません・。・・・・だから、ね、仲直りしてくれないかな。」
ケニアは大きく息を吐いてから苦笑の顔をデルタに向けた。
「絶対ですよ。お父様。もう悲しくなっちゃったわ。自分の事なのに総意だの言われて。」
「うん。うん。もう言わない絶対に言わない。本当にごめんよ。」
「じゃぁ許してあげます。今回だけですよ。」
「ありがとう。ケニア。」
扉を開けて入って来たエドガーとベル、ハンスは二人の様子を見て顔を見合わせる。今回すべてをデルタのせいにはしてしまったが、この三人も無実ではない。この三人もルーベンスとケニアの結婚に乗り気で、二人の婚約の為にやって来たのだった。
しかし、デルタの失敗によって、事が真逆に動き出す成り、ルーベンスの言葉もありデルタだけを悪者にしてしまった。だからと言って、エドガー達には罪悪感はない。言い方があったはずなのに最悪の形で告げてしまったのはデルタのミスだったから。
「お姉さま。父上を許してあげたの?」
「だって、明日には帰路につくのにいつまでも嫌な雰囲気は嫌だったし、お父様も反省はしてくれたみたいだから。」
「優しいね。お姉さまは。」
「そんな事ないわよ。離れていたら、ハンスにも解るわよ。」
「うーん。お姉さまに嫌われたら親だけど、父上ならどうでも良いかな。だって普段から関わり合いないし。」
「ハンスが冷たい。」
「そうは言うけど、父上だって幼い頃から僕の事どうでも良かったでしょう。殆ど会う事もなかったんだから。僕を育ててくれたのは、お姉さまとお義叔母様と叔父様とルーベンス兄上ですよ。僕の嫌いな食べ物も父上は知らないでしょう。」
「し、知ってるよ!」
「言ってみて下さい。」
「ブ、ブロッコリーとトマトと・・・・・ハンバーグ?」
「違います。全部好きなものです。」
「う、嘘だ!いつも最後までお皿に残っているじゃないか!」
「好きだから味わって食べたいじゃないですか。」
デルタは、ベルとケニアに顔を向けて正解だと言って欲しいという顔をするが、二人はゆっくりと首を横に振った。
「お父様。残念ですが、間違いです。ハンスはブロッコリーもトマトもハンバーグも大好きですよ。最後まで味わって食べたいからこそ、いつもプレートに最後まで残しているんです。ハンスは自分でブロッコリーもトマトも収穫して来ては、キッチンで調理して食べていましたよ。」
「えっ。嘘でしょう。」
「お義兄様。それは本当です。寧ろ知らなかったお義兄様に驚きです。ハンスは嫌いなものから手を付けますから。表情を見ていれば解りますよ。」
デルタは、自分だけが知らなかった事実に驚愕をした。
「だから言ったでしょう。父上は僕のこと知らないって。」
「ごめんなさい。」
デルタはハンスに頭を下げた。
「まぁ良いよ。父上も領地経営で大変だったのは解っているから。でもね、少しは子供に関心を持っても良かったと思うよ。」
「・・・・・・はい。」
ハンスに返す言葉もなくただ、ただ頷いた。そして全員が席についてやっと昼食を取り始めた。
「間に合ったかな。」
息を切らしながら入って来たのはランドルフだった。
「ランドルフ様。本日は多忙だと聞いておりましたが。」
ケニアがランドルフに問うと
「まだ、使用人が決まっていなっくて。だからご飯がないんだよ。あっちは。だからね、ルーベンス君と二手に分かれて食事を摂ることになったんだ。ルーベンス君は、検察官との話があるから僕が先に食事をしに来たんだよ。」
「用意がありません。」
「ルーベンス君が何とかなるって言って居たよ。そうだよね。アンゲル。」
名前を呼ばれたアンゲルは、ゼイハァゼイハァと息を切らせながら入って来た。
「・・・・・何とかなるではなくて、・・・・・ケニア様に、・・・・・お願いをして、・・・・・食事を何とかして、貰って欲しいが、正解です。」
「アンゲルお疲れ様。申し訳ありませんが、誰かアンゲルに水を渡して下さい。」
ケニアの言葉に控えていたメイドが水をコップに汲んで渡すとあっという間に飲み干して、次を要求するので次も入れるとあっという間に消えるので、アンゲルが良いというまで繰り返された。五杯飲むと漸く落ち付いた。
「そう言う訳ですので、ケニア様。本日は、昼食と夕食は皆さま此方で頂くそうです。検察官も。」
ケニアはランドルフに一瞥すると、態とらしく大きく息を吐いて
「オルゲーニ家に、借金としてつけておいてね。あと食料の量も料理長と相談をして足りない物は、購入するように伝えて。」
「御意。」
アンゲルは返事をすると、部屋から出て行った。ランドルフは、ケニアの隣に座って、笑顔でケニアの顔を見ていた。その視線に居た堪れないケニアは早々に食事を終えて、執務室へと向かって食堂を後にした。
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