恐怖の晩餐会2
前菜から順に置かれていく料理を黙々とベルとハンスは食べて行った。二人を視線だけで見ているケニアはやはり料理の味が解らなかった。
デザートへと進むと
「此処の料理は美味しいわね。元々公爵家の方々だったんでしょう。やはり腕は素晴らしいわね。」
ベルが褒めちぎった。
「ありがとうございます。」
何故かランドルフが返事をすると苦々しい顔を向けて
「貴方を褒めた覚えはございません。」
と拒絶をした。
「義叔母様もハンスもどうしたの?どうしてランドルフ様にそんなに当たるの?」
使用人たちは全員ケニアを驚いた眼で見た。
「ケニアはそういう子だから。私達が怒ってしまうのよ。まず、結婚式で花嫁に誓いのキスもしないでヴェールを上げて顔を見る事もせず、この花嫁は醜悪で見る価値すらもない。と知らしめた挙句に、愛人たちと別宅に移り住んで嫁が働いたお金で豪遊して、嫁のデビュタントのドレスを強奪させて、ルーベンスが送った宝飾品も強奪させて、父親が亡くなりそうになると愛人がお金欲しさに嫁を殺害しようとして、私は知りませんでした。という人を許せると思っているの?」
「許せる訳ないでしょう!姉上。」
二人の熱弁に今まで起こって来たことを振り返る。
「改めて見ると、酷い人ですよね。ランドルフ様。」
「いやぁ。ごめんね、悪意はなかったんだよ。」
「悪意がない方がより悪い事もありますがね。」
ランドルフがばつが悪そうに言うとアンゲルは冷たく呟いた。その呟きをベルとハンスは拾い上げた。
「そうですよね。悪意がない方が改められないから酷いですよね。」
「悪意が無く、此処まで人を貶められる人ってある意味才能だと思うの。」
「そうですか?」
「治らないわね。」
「治りませんよ。」
ベルとハンスは、ランドルフを否定し始めた。しかし、使用人達も全員が頷いている。此処にランドルフの味方はいなかった。
「ケニア様は、オルゲーニ邸へ要らしてから朝早くに起きてお仕着せを着てメイド達と一緒に掃除やら配膳の準備をして、公爵様と食事が済むと、投資のお勉強をされて、ある程度投資の勉強が済むと、実際に公爵様と投資をされる貴族たちと会って商談をされたりと多忙な毎日を送られていらっしゃいました。ランドルフ様はその間何を?」
「あ、遊んで、いた。かな。」
「ですよね。」
ヴィヴィが、呆れたように言い募る。
「ケニア。これからの僕を見て欲しい。」
「うーん。時間がないかも。」
「えっ。どういう事?」
「再婚話が出ておりますの。」
ケニアが返答する前にベルが返答をした。
「私に縁談ですか?」
「ええ。そうよ。今度こそ本当の夫婦になって貰います。」
「でも最初の結婚はカウントされないから実質初婚だよ。あんな結婚式じゃなくてもっと派手にやろうね。」
ケニアはベルとハンスの決定事項に違和感を覚える。
「ルーベンスお兄様ご存じでしたか?」
「昔には合った話だけど、今知った部分はあるよ。」
ルーベンスは曖昧に話を濁した。過去にはルーベンスとケニアが結婚する話は出ていた。しかしオルゲーニ公爵家へ嫁いだことにより立ち消えていた。離婚後に結婚させるとはっきりと言われたことは無い。しかし母親と従兄弟が此処まで結託をするのであれば、自分以外考えられない。
「ケニアはどんな旦那様が理想?」
「うーん。私の意見を尊重してくれて、私がピンチの時には一番に助けてくれる人。」
「ルーベンスお兄様みたいだね。」
ベルとハンスはわざとらしく、ルーベンスに水を向ける。そのやり方はルーベンスは好まない。二人はルーベンスに交互に睨まれた。
「貴方、そんな芸当も出来るようになったのね。」
ベルは感嘆の声を上げた。
「馬鹿にしないで下さい。」
ルーベンスはメイドが淹れてくれたコーヒーを口元に持って行った。
「だって、ケニアに嫌われたくはないからって、いい人な部分しか見せないようにしていたのに。」
母親から巨大な爆弾を投下されて、含んでいたコーヒーを少し拭き出した。
「あ、あ、貴女は何をしに来たんですか!」
「お兄様が、裁判が終わったら、重大発表をするって。だから来たのよ。」
ルーベンスは頭を抱えた。裁判が終わったとはいえ未だ遣らなければいけない事は多数あった。
「伯父上はいついらっしゃるのですか?」
「明日くらいじゃないかしら?」
「地獄だ。」
「良いお話のはずだから天国よ、」
ベルは、嬉しそうに微笑んだ。ベルの中では、ルーベンスとの結婚で決まっているようだが、どうもそれだけではない気がして来た。
「伯爵は明日いらっしゃるのですか?では、ご挨拶をしないといけませんね。」
何を考えているのか、ランドルフまで喜び始めた。ランドルフがケニアにしたことを考えたら、挨拶などと言っている場合ではない筈なのだが。
ルーベンスは頭を抱えた。
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