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旦那様私達すでに離婚しております  作者: 志馬
法廷より怒気を込めて
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法廷劇場2

「先ず、エメ嬢のご指摘のランドルフ・オルゲーニ公子の収入と支出からご説明をさせて頂きます。お配りした資料は、ケニア・カナガンとランドルフ・オルゲーニが婚姻をした時からの物となります。皆さま不思議に思われるかも知れませんが、支出だけとなっております。

これは、お恥ずかしいお話になりますが、ランドルフは収入源となるものが全くありませんでした。一部では、オルゲーニ公爵家の領地経営のお金でエメ嬢やラビィ嬢にドレスや宝飾品をプレゼントしている。という話もありましたが、オルゲーニ公爵には全く関係ない女性二人に無駄な支出をするお金はありませんでした。領地の産物で収入を得ても、道路設備や、天災による領民達の赤字部分の補填や、天災による家屋の修繕費への寄付を行い、また天災時の為の貯蓄も必要になります。そちらは三枚面に記載されております。それは、この二年間の物となります。」


全員が資料を食い入る様に何度も何度も捲り返しては、不備がないかを確認していた。


「これでは、女性たちへのお金は出ませんね。ランドルフ・オルゲーニ公爵あなたは、婚姻時には投資などの収入源はお持ちでしたか?」

「投資は必ずしも、配当がある訳ではありませんし、私は父のように目利きではありませんでしたし、父から投資について勉強をしたこともありません。元手もないのに投資は出来ません。」

「では、何も収入につながることはしてこなかったということでしょうか?」

「仰る通りです。」


傍聴席が再度ざわつく。ランドルフ自身にお金はないのに、元妻が夫の収入を抑え込むなど出来る訳がない。皆がどういうことだ。とひそひそ話をしているつもりが人数も多くなれば、ひそひそ話ではなくなってしまう。


「静粛に!」


裁判官の言葉で法廷内に静けさが戻る。


「エメ令嬢。それはご存じでしたか?」

「そんな。私は、私は・・・・全く知りませんでした。」

「異議あり。」


エメは、ハンカチで目元を抑えながら、弱弱しい演技を続けたが、ルーベンスは許さなかった。


「知らない人は、ブティックでオルゲーニ公爵家宛てにツケでドレスの購入はしないでしょう。皆さん五枚目をご覧ください。エメ嬢が購入したドレスや宝飾品の価格になります。此方はこの二年の物です。そして四枚目には、ランドルフの元妻ケニア・カナガンが妻としてオルゲーニ邸に居た頃のドレスや宝飾品などの購入履歴になります。此方も二年分あります。」


全員が、価格を見比べた。明らかに違う。エメだけでケニアの金額の20倍は掛かっていた。


「こんなに違うものですか。」

「ここで証人をお呼びしても宜しいでしょうか?」

「証人を認めます。」


ヴィヴィとアンゲルとサボが出て来た。


「では、私オルゲーニ公爵家の家令アンゲルはランドルフ様の奥様でいらっしゃったケニア様の衣装代や宝飾代について。ケニア様はご自身でお仕事をされています。これは現在進行形です。そして、ケニア様のお仕事で得たお金のほとんどは、ランドルフ様とエメ令嬢とラビィ令嬢の服飾、宝飾品へと継ぎ込まれておりました。その為にご自身は質素倹約をされて来たのです。その収入と支出は、弁護士ルーベンス・カナガンが提示した資料の8ページ目に記載がされております。」


全員が8ページを捲ると、驚愕した。その金額は三人で使うにはとても大きな金額となっていた。

平民たちは、


『家が何軒変えるんだ。』

『これを奥さんに愛人が支払いをさせていたのか?強欲だな。』

『悪女ってのは、あぁいう奴の事を云うんじゃないのか?』


傍聴席の視線は、自ずとエメへと向けられていく。先程までハンカチで涙を拭っていた弱弱しい女性ではなく気の強い女性が顕現した。


「言いたいことが有るならハッキリと仰いな!私は悪い事なんて何もしていないんだから。」


その言葉に傍聴席は、冷たい視線をエメに向けた。


「まだまだ序の口だよ。」


ルーベンスの呟きは、傍聴席のざわつきでエメの耳には届かなかった。

読んで頂きありがとうございます。


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