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旦那様私達すでに離婚しております  作者: 志馬
離婚したならもう一度やり直す
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謀略1

悪女エメ再登場


明日10時頃更新予定です。

ランドルフと別れてから、エメは自宅のダンヒル家へと戻っていた。

窓枠に頬杖をついてぼんやりと外を見ていた。

帰宅後は、ダンヒル家は騒然としていた。

今までのエメのやりたい放題をそのままにして来たのは、エメがランドルフにせびって取得をした金銭を享受していたから。しかし、それもカナガン伯爵家側からの損害賠償金や慰謝料請求で膨大な金銭を請求された為にじり貧だったお金は、無くなってしまった。今日生きるお金にも事欠くようになってしまった。ダンヒル子爵は、屋敷も手放して、市井に借家の手配も始めていた。

ダンヒル子爵は、これをエメのせいだと毎日詰め寄っていた。

エメも流石に初めのころは、


「自分もしっかりと享受をしていた癖に人のせいにするな!」


と反発をしていたが、二週間も過ぎると、疲れて来て、お互いに顔を見ることがないようにエメは部屋に閉じこもり、子爵は金策に走っていた。


「お嬢様、先程お客さがいらっしゃいまして、お菓子を頂きました。奥様もいらっしゃいませんし、お嬢様召し上がられては。お嬢様がお好きなリンゴのティーケーキですよ。」


紅茶のポットから注がれるお茶からは、ほのかに甘いオレンジやパイナップルの香りがしてくる。


「フルーツティかしら。」

「左様でございますよ。お嬢様に早くに元気になって頂きたくて、私が買い求めてまいりました。子爵のお金ではありませんから、お気になさいませんように。」


内緒ごとの様に人差し指を口元に充てて、ウィンクをする。

幼い頃からエメの乳母として屋敷に居てくれたナナは子爵家にどこまでも従順でエメにとっては母親よりも信頼できる存在だった。子爵家にはもうナナしか使用人はいなかった。

ナナは戦争で夫を亡くして、そのショックでひと月ほど早くに出産をしただが子供は翌日には息を引き取ってしまった。意気消沈しているところを、市井に遊びに来ていたエメの母サナが産気づいて、ナナが居る産院でお産をしたが、サナのお乳の出が悪かったためにナナが先生から頼まれてお乳を上げたことで乳母として雇われた。

そういった経緯からも、ナナはエメを自分の子供の様に慈しみ大切に育てて来た。


「美味しいわ。」


エメは、久しぶりのフルーツティをゆっくりと下で転がすようにして味わった。

リンゴのティケーキは、パウンドケーキの部分には、紅茶を入れて焼き、その上にはキャラメラーゼをしたリンゴを乗せて再度オーブンで焼いてある。甘酸っぱさが何とも言えない。

エメは一口口に入れて、堪能していると、急に吐き気が襲ってきた。

口元を抑えて、トイレへと駆け込む。

その様子を見ていたナナは何とも言えない表情になっていく。

その行動には自分も身に覚えがあった。

亡くなった我が子をお腹に宿して少し下頃に起きた体の異変。


エメは暫くすると、口元にハンカチを抑え戻って来た。

ナナはエメが二年も男性と一緒の屋敷に暮らしていたことを知っている。


「お嬢様、月ものは、最後はいつ来ましたか?」


恐る恐る口にする。ナナの言葉に、エメは少しの間動かなかったが、少しずつ顔色が変わって来た。


「あれ、二か月無いかも。」

「お嬢様!それは父親に責任を取って貰いませんと!」


ナナは、相手はランドルフ・オルゲーニだと思い、エメの将来に一筋の光を見出した。


しかし、ランドルフの子供ではないことはエメが一番良く知っていた。

エメもラビィも違う部屋を与えられていて、夜は、ランドルフは部屋に鍵をかけていた。それを知っているのは、モニカとラビィとエメと当事者であるランドルフだけ。

ラビィは、今は牢の中で、モニカは男爵家に一年前に嫁いでいる。

そうすると、社交界で会わない限りはバレない。

当事者であるランドルフをどうやって誤魔化すか。それが出来ればオルゲーニ家に嫁ぐことが出来る。二番手ではあるが。あの嫁ならどうにかなる。

裏の顔がまたメキメキと頭を持ち上げて来た。


「そうよね。子供には父親が必要よね。でも・・・私追い出されてしまったから。」


弱弱しい演技をすれば、ナナは直ぐに目を赤くして、エメの両手を握りしめた。


「お嬢様!私にお任せください。旦那様がお帰りの際には、お話をさせて頂きます。」


近頃は仲が悪い親子ではあるが、お腹に子供がいると分かれば、また違った対応になるかも知れない。エメと向かい合うと喧嘩になってしまうから、此処は自分が間に立てば、問題が無いかも知れない。ナナはエメの為にダンヒル子爵と相対する覚悟を持ち、子爵の帰りを首をキリンのように長くして待つことになった。

読んで頂きありがとうございます。

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