六話「落ちた二人」
その場を離脱し、それなりの距離が離れたところから、二人の男は大爆発の様子を目撃していた。
そして驚異的な視力で、地面に大穴が開けられた事も。
濃霧が少しずつ晴れる中で、吸血鬼は不愉快そうに舌打ちをした。
「……しくじるとは思ったが、大穴を開けるとはあのバカが」
「どうする。下手をすれば、あの遺跡はもう使えんぞ」
対する大柄の男はと言うと、台詞の割には興味がなさそうだった。
彼の任務に拠点の確保は無く、ここを任された吸血鬼の男に全ての責任が行くのだから、当然だろうが。
「……まあいい。器さえ回収出来れば、遺跡が一つ潰れた程度、些末なことで済む」
「その器さえ、どの子供がそうか、分かってないだろう。それに……」
大柄な男は、森を駆け下りていく魔力反応を感じ取っていた。
その数が七つしかない所を見るに、足りない二つは爆発に巻き込まれて死んだか、穴に落ちたかだろう。
そして駆け下りていく反応は、そう遠くないうちに森を脱出してしまうはずだ。
「……逃げられる手前だと思うんだが?」
「安心しろ、それは無い」
「なぜそう言いきれる?」
吸血鬼の方には、逃げられるという懸念は毛ほどもないようで、それを訝しむように男は見下ろす。
その視線を見返しながら、吸血鬼は邪悪な笑みを浮かべた。
「__どうせ出られんからな」
「……__」
「……うっ」
頬を叩かれる感触で、ゆっくりと意識が浮上し始める。
そんなに強い力で叩かれている訳では無いようだが、何回も叩かれていたのか、少しヒリヒリとしていた。
「……ぇ、ねぇってば。起きなさいよ」
「……ここはどこ? 私は誰?」
「ふざけた事吐かしてると首締めるわよ」
目を開き、珍しく少し心配そうな杏果におどけた事を口にしてみると、彼女は不愉快そう眉を顰める。
「……ちょっと、和ませようと思っただけの冗談だろ」
「当たり前よ。こんな所で本気で記憶飛んだとか言われたら、たまったもんじゃないわ」
吐き捨てるようなため息を吐くと、不機嫌そうなまま、覗き込むようにしていた顔を退かす。
将真もゆっくりと体を動かし始める。
多少打ち付けた痛みは残っているが、大変な怪我を負っている程の痛みではない。
どうやら、無事に落下したようだ。
それもおかしな表現ではあるのだが。
「ここは……、何なんだ?」
ぐるりと、周囲に視線を向けてみる。
かなり深くまで落ちたようで、天井には大穴が空いているにも拘わらず、光が下まで届いていない。
見上げれば、僅かに陽の光と思わしき明かりが見えるのだが。
一つ上の層に戻るにしても、身体強化をかけた状態で、跳んで届くかどうかという高さだ。
加えて、ネズミ返しみたいな形で穴が空いてしまっているので、近道は難しいだろう。
現状、真っ暗であるはずの空洞の底で、中の様子が一応とは言え見渡せるのは、杏果のお陰だった。
正確に言うと、光属性の初級魔術〈光源〉だ。
「さあ。私にも分からないけど……、状況からしてダンジョンじゃないかしら」
「ダンジョン、ね」
一応、名前だけならば将真も知っていた。
ファンタジーの産物として、ではなく、〈裏世界〉の知識としてのものだ。
何層にも分けられた巨大な迷宮で、生物の免疫反応のように稼働し続けているらしく、核を停止させるなり壊すなりしなければ、機能し続けるという。
免疫反応というのは、ダンジョンを守護する魔物を生み出すという、至ってシンプルなものだ。
生み出す数が尋常ではないことを除けばだが、そんな事を可能にするダンジョン核は、それだけ強い魔力を秘めたものでもあるということだ。
だが、不思議な事に魔物の気配は感じられなかった。
杏果が灯りを点している以上、二人の居場所はわかりやすいくらいのはずだが。
「リンたちは無事か……?」
「大丈夫でしょ。それに、魔導士を倒した事で結界も解けたはずだし、今頃森を抜けて救援を呼びに行ってくれてるかもね」
「……アイツらが探しに来てくれるのを待つのは」
「変な期待は辞めた方がいいわ。普通に考えて、準備もなくダンジョンに潜り込むのは危険だもの」
それでも二人が無事で済んでいるのは、ダンジョンの機能が停止しているからかもしれない。
だが、そうでなくとも広大な範囲だ。
「まだ、私たちが自力で脱出する方が理想的よ」
「……じゃあ、どうする? 行くか?」
「……ちょっと待ちなさい」
そう言うと、杏果は手際よく通信を飛ばす。相手は、地上にいるであろうはずの響弥だ。
だが、残念ながら繋がることは無かった。
これは、妨害が働いているという訳ではなく。
「……まあ、予想してたけど、圏外ね」
「地下深くだろうしなぁ……」
「しょうがないわね。じゃあさっさと行きましょ__ひゃっ」
ため息をついて、先導するように歩き出そうとする杏果。
その体が、突如バランスを失い転び掛ける。
今更だが、将真たちが今いる場所は、崩壊した天井__つまり瓦礫の上という、不安定な足場だったのだ。
「危ねぇ!」
「ちょっ……、んっ」
思わず手を伸ばす将真だったが、杏果と同じように不安定な足場に体勢が覚束ず、彼女の手を掴むはずだった手はあらぬ所を鷲掴みにした。
「……ゴメンナサイ」
「……いいから早く離しなさい、シバくわよ」
凄まれた将真はすぐに手を離しながらも、徐に手を閉じたり開いたりしてしまう。
不可抗力とは言え、その手に残る弾力の感触に、衝撃を覚えていたのだ。
そうしていると、流石に腹に据えかねたようで、杏果の拳骨が容赦なく将真の脳天に落とされた。
「いっ……!」
「不可抗力って事にしてやるから、忘れなさい」
そう言う杏果の顔には、恥じらいは一切なかった。
胸に触られて毛ほども羞恥を覚えないのは、流石と思う反面、女子としてどうなのかとは思うが。
それでも、その態度は将真の思春期男子のような反応を落ち着かせ、やった事に対する後悔を覚えさせるのには十分な効果を持っていた。
「……ほんと、すまん」
「別に、気にしちゃいないわ。アンタに気がある訳でもなければ、恥じらう理由も無いもの」
「俺が悪いとは言え地味に辛辣だな……」
「いいから、早く進むわよ」
つっけんどんな態度を取りながらも、将真を見捨てて行くつもりはないようだ。
急に手を引かれて危うく転びそうになるが、将真はすぐに気を取り直し、二人で瓦礫の山を降り、洞穴の散策を開始した。
「まさか出られないとは……」
柚葉の予感が的中し、肩を落とす莉緒。
それだけでは無い。どのタイミングでそうなったのかは分からないが__
「しかも入る事も出来ないなんて……、救援に期待も出来ないって事じゃ無いッスか」
『そういう事になるわね……』
画面の向こうで、柚葉もまた参ったように悩ましげな表情を浮かべる。
そしてそれは、話を聞いたリンたちも同様だ。
森に張られていたのは、濃霧の結界だけだと思っていた。
だが、それは違った。
二重構造だったのだ。
更には、正確なタイミングまではわかり兼ねるが、おそらく濃霧の結界が破られた時点で、もう一つの結界が変質した。
来た時は入る事が可能だったのに、今は救援に到着した小隊が中に入れないというのだから、変質したとしか思えない。
つまり、脱出しようと思ったら、もう一つの結界も解除しなくてはならない。
そしてそれは、これだけの大規模な結界を張れる魔族が、まだ存在するということだ。
(でも、これだけの大掛かりな仕掛けをする理由はなんスかね?)
莉緒は、改めてそれを考えてみる。
彼女に思い当たる節があるとすればやはり遺跡の存在だろうか。
同じ島国の中にありながら、都市側で確認できていなかったものだ。
拠点にされていたら、都市に近いところで、魔王軍の拠点が出来ていたところだろう。
今はまだ、その確証は得られていないが、その程度の予測はつく。
(でもそれだけなら、わざわざ入れなくする理由はないはずなんスけど……)
結界を張っていた理由がダンジョンを隠すためか、拠点として機能させるための時間稼ぎだとすれば、初めから入る事も出来ない結界にしておけばいい。
だが、元の入る事は出来ても出る事は出来ない、という機能を考えると、別の可能性も浮上してくる。
「……何かを捕まえようとしてる?」
そして、途中で入口も塞いだということは、これ以上余計なものを入れたくないという事ではないだろうか。
莉緒の表情が、少しずつ険しくなっていく。
この予想が当たっているとすれば、敵側は目的を達成したことになる。
つまり__
「……柚葉さん、ちょっとマズいかもしれないッス」
『ええ、それは分かるけど……』
「そうじゃなくて、もしかしたら敵側の狙いは、自分たちの誰かかもしれないッス」
『……はあ?』
素っ頓狂な声を上げる柚葉。
それも当然だろうと思いながら、莉緒は他のメンバーにも聞こえるように、自分の推測を語っていく。
「__で、捕らえて何がしたいのかまでは分からないッスけど、どうスかね?」
『……ほんと、よくそこまで頭回るわね。でも、十分にありそうだわ。むしろちょっと、心当たりがあるかも』
『えっ……』
柚葉の言葉に、一同は思わず声を漏らす。
そして、言うか言うまいかを悩む柚葉の表情は、莉緒以上に険しいものだった。
だが、やがて柚葉は口を開く。
『あなたたちの中で、誰かが狙われてるとしたら』
「狙われてるとしたら……?」
『__将真よ』
そんな話がされているとは知る由もない将真。
今彼は、杏果と薄暗い洞穴を歩きながら、ゲッソリとした表情を浮かべていた。
「……どうしたのアンタ」
「いや、流石にちょっと腹が減って……」
「気が抜けるようなこと言うんじゃないわよ」
ジト目で睨まれるが、こればかりはしょうがないのだ。
体を壊すほどの負荷がかかる事は無くなったが、まともに使えるようになってからようやく将真は理解した。
消耗が半端ではないのだ。
昼食からもそれなりに時間が空いているし、まともに魔力を扱えるようになってからは食事量も増え、間食を挟むことも珍しく無くなっていた。
だが、太る兆しは見えない所か、こうして足りなくなるくらいだ。
(なんならそんな時間かかると思ってなかったから、ろくに飯も持ってきてねー……)
持ち合わせがない訳では無いが、今の空腹に足りるかどうか、という感じなのだ。
まあ、我慢出来ないほどでは無いのだが。
「ほら」
「ん? ……おわっ!?」
悶々と悩んでいると、杏果が何かを放ってきたので、慌ててそれを受け止める。
そうして掴んだのは、丸くて暖かい状態の食べ物が二つ。
包み紙を剥がしてみると、それは見慣れたものだった。
「その様子だとどうせ大したもん持ってきてないんでしょ。迂闊すぎるわよ」
「耳が痛てぇよ。……てか、なんでバーガーなんか持ち合わせてんだ」
「高カロリーで腹持ちがいいのよ。別にいらないなら返してくれていいわよ」
「すんません、ありがたくいただきます」
折角空腹を満たせるものを貰えたのに、文句ばかり言って没収されるのも嫌な話だ。
大人しく、将真は杏果の好意を受け取る事にした。
「……まあ、アンタのお陰でとりあえず無事に着地出来たわけだし、これくらいどうって事ないわ」
「……そうか」
「それにしてもアンタは想定外のことで簡単に死にそうよね。備えがなってないわ」
「落とすくらいなら上げんなよ、あと嫌な事言うな。自覚あんだから、現実味帯びてくるだろうが」
「これならまだ、響弥の方が手がかからないわよ」
鼻を鳴らすような仕草をされるが、言い返す言葉が無く、泣く泣く受け入れながらも二つ目の包み紙を剥がしてバーガーを口にする。
ふと、響弥の名前が上がった時、将真の中で疑問が浮かび上がる。
そう大した話ではなく些細なもので、現状を打開するようなものでは断じて無い。
だが、ただ無言で散策を続けるというのも息が詰まるもので、退屈を紛らわす会話だけでも、あるのとないのとでは心持ちも変わってくる。
そんな思いもあって、将真はポツリと口を開く。
「……なあ、お前さ、響弥には甘いよな?」
「……何よ急に」
将真が思い出したのは、つい先刻の、杏果に対する自身の失態だ。
あの時、殆ど羞恥を見せることも無かった彼女だが、普通なら考えられない。
ある時のリンの反応から考えて、この世界では当然の反応、という事も考えにくい。
それに、男子の視線を嫌がっている彼女だが、響弥は度々、そういう視線を杏果に送っているような気がする。
それでも、杏果が怒る事は無い。
もしかしたら、響弥のせいで慣れてしまっているのではないだろうか。
「響弥とは、確か兄妹なんだっけ?」
「そうね、義理だけど。男子の下心丸出しの視線は嫌だけど、響弥はもうずっと一緒にいるし、慣れちゃったって言うのはまあ……、あるわね」
「……さっきのは俺が明らかに悪いとはいえ、触られて恥ずかしいと思わないのはどうなんだ?」
「別に恥ずかしくない訳じゃないわよバカ」
「いって!」
こちらを体ごと振り向いた杏果は、少し怒ったような表情で将真を蹴り飛ばす。
その反動で取りこぼしそうになったバーガーを、危ういところで支えてホッと息をつく。
「意地汚いわよ」
「そうは言うけどさぁ!」
正直、人より無駄に消耗する体なのだから、その辺りは見逃してもらいたいところである。
それはともかく。
「アイツは昔からスケベなやつよ。でもああ見えて、ちゃんと兄として私の事気にかけてくれてるし、頼りになるのよ」
「それは、まあ意外だけど……」
杏果の口から出たとは思えない、意外な響弥の評価に将真は閉口する。
響弥に甘い、と言うよりは、男子の中でも一目置いている、という感じなのだろうか。
ただ、なるほどと思うだけで、取り留めのない会話は途切れてしまった。
すると今度は、小さなため息と共に杏果の方から口を開く。
「……このまま歩いてるだけじゃ、退屈ね」
「……そうだな」
「だから、ちょっと昔話でもしようかな」
「……昔話?」
「ええ。確か……柚葉さんと、響弥とリン。後は、静音くらいしか知らない、私のね」
そこから始まった杏果の過去語りは、この世界では当たり前のように起きている、将真にとっては壮絶な内容だった。
杏果は、〈裏世界〉では一般的な魔術師の両親から産まれた子供だ。
一般的、と言っても、彼女の両親は中々の実力を有していたが。
少々考えが足りないところが玉に瑕だが、それで杏果を傷つけまいと、色々と考えて彼女を優しく育んだ。
そんな彼らは、響弥の両親と学園生時代からの友人であり、競い合う好敵手でもあった。
響弥の両親は、それほど強い訳では無いが、頭が切れて、器用で多くの事が出来た。
杏果の両親は、実力こそ確かなものだったが、どうにも考え方は脳筋だった。
お互いの間に差はなく、それは大人になっても変わらなかった。
任務で言えば、量より質の杏果の両親と、その反対の響弥の両親、と言ったように、ほぼ僅差で競い合っていたのだ。
仲の良さも変わること無く、子供を連れて会うことも珍しくないくらいで、それ故に杏果と響弥はかなり幼い頃からの顔見知りだった。
いわゆる、幼馴染だったのである。
「お前らが大きくなったら、くっついてくれたらいいんだけどなぁ」
とは、お互いの親同士の些細な願望であり、だから許嫁のような関係性でもあった。
だが、それは強制された訳でもなかったし、そうでなくとも揃って腕白だった二人は普通に仲が良かったのだ。
この頃既に、兄妹同然と言ってもいいくらいには。
杏果にあまり、特に響弥に対して恥じらいがないのは、幼い頃から響弥と共に行動する事が多かったからである。
そんな、微笑ましい家族ぐるみの付き合いが、突然終わりを告げたのは七年前。
〈日本都市〉に、大規模な魔王軍の侵攻が起きたのだ。
多くの魔術師が戦いに駆り出され、その中には杏果の両親も当然居た。
むしろ、自分たちから出張っていった。
辛うじて魔王軍を退け、勝利を収めた〈日本都市〉だったが、失われたものは多く、被害も相当なものだった。
そして失われたものの中に、杏果の両親もいた。
響弥の両親は、参戦こそしていたものの、前線には出なかったという。
自分たちの実力を考えて、家族を守る事を優先した結果だったようだ。
それを臆病だと責めることは出来ない。むしろ賢明だったとさえ言える。
だからと言って、杏果の両親が無謀だったかと言われると、それも違うのだ。
結局の所、不幸な事件だったという、ただそれだけの話なのである。
「……勿論、悲しかったし、泣いて喚いたわ。でも、戦いの中で家族を失うなんて、珍しい話でもない。現実を受け入れて、いつもの調子を取り戻せるように頑張った」
だが、まだ十にも満たない幼い子供に、全てを飲み込む事は非常に困難極まる。
それでも、一ヶ月程度で彼女は乗り越えた。
それは、彼女の精神力もない話では無いが、今の彼女の少女離れした精神力は、両親を失った頃が始まりと言っても過言ではない。
だから、この時に大きな要因になったのは、彼女を養子として引き取った響弥の両親と、義理の兄となった響弥の支えがあったからだ。
あの響弥が、それも幼かったというのに。空気を読んで真剣に向き合い、慰めてくれるほどに、当時の杏果は非常に不安定だった。
「……いっぱい当り散らして、迷惑もかけて。それでも見捨てずに支えてくれて。響弥もちゃんと兄として、私を妹として接してくれた。ホント、今の家族には頭が上がらないわ」
「……お前に聞くのもどうかと思うけど、こういう時、なんて返すのが正解なんだろうな」
退屈を紛らわせるために始めた会話で、杏果の口から語られたのは、将真には重すぎる昔話だ。
かける言葉が思いつかず、思わず口から零れたのは、そんな情けない言葉だった。
そして杏果は、言葉同様に情けない表情をする将真を一瞥すると、分かりやすくため息をつく。
「別に、退屈しのぎで私から始めた話しよ。アンタが気にする話じゃないわ」
「まあ、それはそうなんだけど……」
「もう過ぎた話だし、何度でも言うけど珍しい事じゃないの。同情なんていらないわ」
「……ごめん」
「なんで謝ってんのよ。それより、まだ先が長そうだし、今度はアンタの話でも聞かせなさいよ」
そんな言葉に、将真の顔は引き攣った。
今の話を聞かされては、将真が〈表世界〉でどう生きてきたかなんて、聞いたところでつまらないと思うのだが。
(……いや、そうじゃないか)
杏果の昔話は所詮、と言い難いものがあるものの、これはただの退屈を紛らわせるだけの会話なのだ。
ならば、将真のつまらない昔話にも、多少の価値はあるだろう。
「お前らに比べたら、面白い話なんてないけどな__」
そんな前置きをして、将真も自分の昔話を始める。
洞窟の出口は、まだ見えてこない。




