第十二話「尋問と反省事項」
五月二十五日の夕方。
俺たちはローグデール峠の頂上で襲撃を受けた。襲撃者は六十名以上で、直接剣を交えた父に聞くと、
「剣術は我流だが手練だったな。傭兵崩れではないか」とのことだった。
ロックハート家の重傷者はドワーフ五名を含め十名。軽傷者は馬車から逃げる際に怪我を負った職人を含め八名だった。幸いなことに俺とリディの治療が間に合い、死者は出ていない。
奇襲を受けた割にこの程度で済んだのは、弓での攻撃が主体であったため、俺とリディの治療が間に合ったことが大きい。他にもロックハート家の防具が優秀であったことも理由に挙げられるだろう。
もちろん、ドワーフたちの場合は種族としての頑健さが大きな要因で、人間なら治癒魔法が間に合わなかった可能性が高いほどの怪我を負っている。もしかしたら、いつの間にか飲んでいた酒で回復していたのかもしれないが。
最も激しい攻撃を受けた前衛にはベアトリスとメル、ダンがいたが、彼らの防具は長弓から放たれた矢を防ぎ切り、かすり傷程度しか負っていない。
更にリディとシャロンの魔法が思った以上の効果をもたらしていた。
特にシャロンの放った“燕群の円舞”は秀逸で、二十名もの弓術士の持つ弓の弦をすべて切っていた。そのことを聞くと、
「弓術士の数が多かったですから、弓さえ使えなくすれば、ベアトリスさんとメルちゃん、それに兄さんがいれば充分に守り切れると思ったんです」
彼女の的確な判断で、被害の拡大を防ぐことができたようだ。
隊列の中央部を狙ってきた崖の上の弓術士十名は俺の魔法で無力化したが、計三十名もの弓術士がいたことになる。
もし、弓術士たちが一方的に射撃を続けられたなら、ロックハート家といえども全滅した可能性が高い。
実際、今回の重傷者のほとんどが矢傷であったのだ。そう考えると、敵の戦力は充分すぎるほどで、俺たち魔術師がいなければ敵はほぼ無傷で勝利を手に入れていただろう。
怪我人の治療を終え、破壊された馬車の残骸を片付けるなどしている間に、敵の生き残りの尋問を行う。
その前に回収したオーブを確認するが、彼らの素性はほとんど分からなかった。
彼らのオーブは辺境の開拓村などで使われる簡易型のもので、情報自体が少ない。また、彼らの属する村は帝国北部域と中部域にあるらしいことは分かるものの、十以上の村に分かれており、実在する村なのかすら怪しかった。
頭目らしき四十代の男に父が尋問する。
「誰に雇われた」
男は沈黙するだけで何も言わない。
父も俺も素直に口を割るとは思っていない。父に代わり、自害しないように一言釘をさしておく。
「まあいい。明後日には帝国軍がいる村に着く。帝国領に入れば隷属の首輪を使った尋問が行われるんだ。先に言っておくが自害しようとしても無駄だぞ。即死さえしなければ、俺が必ず治すからな」
それでも俺を睨みつけるだけで何も言わないため、別の人物に尋問を行うことにした。その男は崖の上で縛り上げられていた三十歳くらいの商人だ。商業ギルドのオーブでは帝都プリムスの商会に属しており、名はロイドとなっていた。
俺が崖の上に行った時は気を失っていたが、今では意識もしっかりしている。
念のため彼が犯罪に関わっていないか、オーブで確認しているが、商業ギルドのオーブからは犯罪行為に加担した印は見られなかった。とはいってもオーブによる犯罪確認は絶対ではなく、抜け道もある。そのため、彼はまだ拘束されたままだ。
彼は帝都で俺たちを遠めに見たことがあったそうで、俺たちがロックハート家であることはすでに理解している。
「ではロイド、お前はどうしてこんなところにいたのだ」
「それが分からないのです。エザリントンからネザートンに向かう途中で突然賊に襲われて……その後は目隠しをされたまま荷馬車で運ばれてきたので……」
彼はルークス討伐軍を相手に商売をするつもりで、中部域のネザートンに向かっていた。そして、エザリントン市を越え中央街道に入ったところで拉致され、ローグデール峠に運ばれたらしい。
彼の所属する商会は主に帝国南部域の穀物を扱っており、ロックハート家とも鍛冶師ギルドとも関係は薄い。
彼自身、どうして自分が拉致されたのかさっぱり分からないと涙ながらに訴えていた。
父は「どう思う」と意見を聞いてきた。
「嘘を吐いているとは思えません。あの状況で縛られていたということは襲撃前からでしょう。そうなると、何のために拘束されていたのか理由が分かりません」
「確かにそうだな。まあ、縄は解いてもよいが、監視はしておこう」
頭目以外の襲撃者に尋問を行ったところ、彼らはルークス聖王国と帝国との国境近くに隠れ住んでいた者たちだった。トラブルを起こし、傭兵ギルドや冒険者ギルドから追放された後に移り住んだらしい。
更に尋問するが、誰に雇われたか知らなかった。詳しく聞くと指揮官であるダグが一人で交渉しており、副頭目ですらどこから資金が出ていたか知らないとのことだった。
彼ら自身については少しだけ分かったことがある。
彼らはルークス聖王国の関係者に拾われ、訓練を受けていたらしい。ただ、帝国との戦いには駆り出されたことはなく、どういう理由で助けられたかは彼ら自身も理解していなかった。
その話を聞き、後方撹乱の駒として用意されたのではないかと思った。
ルークス聖王国といえば獣人奴隷部隊が有名だが、ラズウェル家への謀略でも分かるように聖王府が持つ諜報部隊も非常に優秀だ。盗賊団に偽装して後方撹乱を企てるくらいのことは考えていたのだろう。
午後五時頃。
岩によって破壊された馬車は放棄するしかなかったが、脱輪や馬が暴れて転倒した馬車の応急修理が終了した。
二キロほど先にある宿場に向けて出発する。
襲撃者たちはロープで縛り上げた上で数珠繋ぎにして最後尾を歩かせる。監視役としてベアトリスとメル、自警団員が付いている。五人いる従士だが、全員が重傷を負ったため、念のため馬車に乗せている。彼ら自身は護衛任務に就くと言い張ったが、治療を終えたものの血を流しすぎており、体力的に不安があったためだ。
ダンを先行させ、宿場に連絡を入れておく。
フォルティス側の宿場とほぼ同じ規模であり、東部総督府に雇われた兵士がいるものの、三十人もの犯罪者を収容する施設がないためだ。
今日は馬車に放り込んでおき、明日の宿泊地であるケルトニー村で総督府に引き渡す予定だ。
宿場に着くと、守備隊の兵士長が出迎える。彼の名はコーエンといい、五十歳くらいだが、兵士というより農夫という方が似合いそうな風貌だ。
そのためかは分からないが、子爵である父への対応に苦慮し、必死に言葉を探すようにしゃべっている。
「……ご、ご無事で何よりでございます。先ほどジェークス様より盗賊の襲撃を受けたと伺いました。で、ですが、見ての通り、ここには私を含め、十五人の兵士しかおりません。これほどの人数の盗賊を引き受けるわけには……」
「ダン・ジェークスより話を聞いていると思ったのだが?」と父が言うと、コーエンは「は、はい、伺っておりますが……」と要領を得ない。
詳しく聞いていくと、元々フォルティス街道を帝国貴族が使うことは少なく、彼は貴族と話した経験がほとんどないらしい。そのため、貴族は気まぐれというイメージが強く、突然気が変わることを気にしていたようだ。
「盗賊どもは我らがケルトニーに連れていく。今日の見張りも我が家が責任を持って行うから心配はいらぬ」
父の言葉にコーエンは安堵の表情を浮かべた。
襲撃者たちは宿場の中にある馬車の駐車場に連れていき、俺、ベアトリス、メル、ダンが比較的元気な自警団員とネザートンの職人たちとで見張ることになった。
コーエンにダンが聞いた馬蹄の音の話をしたが、「皆様の前に馬だけで来た者はおりませんし、宿場を通り過ぎていった者も見ておりません」とのことだった。
フォルティス街道を単騎で移動することは滅多にない。それは傭兵であっても同じで、彼らも盗賊や魔物の襲撃を恐れ、十人程度で行動する。そのため、もし少人数で宿場に入れば非常に目立つと教えてくれた。
ダンの勘違いという可能性はあるが、彼の斥候としての能力と、ルークスの関係者と繋がりがある者がロックハート家襲撃を行ったという事実から、見届け役か、頭目のダグに指示を出していた者がいた可能性は高い。
(ルークスの諜報部隊だとすると、危険な街道沿いでも単独行動が可能かもしれない……父の言葉じゃないが、俺たちにできるのは注意喚起くらいだ。それにしても俺たちを襲う理由が分からないな。ロイドが拉致されたこともそうだが、分からないことが多すぎる……)
襲撃者のことも気になるが、襲撃によりショックを受けていたルナの精神状態が心配だった。生まれ故郷のティセク村が全滅したことを思い出していないか不安があったのだ。しかし、幸いなことにルナの精神状態に問題はなかった。
「奥方様がずっと抱き締めてくださいましたから。私より小さなソフィアちゃんがいるのに……」
母が必死になって庇ったことが良い結果に繋がったようだ。
宿に入った後、リディ、ベアトリス、メル、シャロンが集まっていた。
「何かあったのか?」と聞くと、リディが代表して一歩前に出た。
「散々な日だったけど、誕生日おめでとう」と言ってキスをする。
「こんな状況じゃなかったら、お祝いをしようと思っていたんだけど……」
どうやら四人で何かしようと思っていたらしい。
「今日はお預けだ。だが、おめでとう」と言ってベアトリスがキスをする。
メルとシャロンも「おめでとうございます」と言って頬にキスをしていった。
「本当は御館様、奥方様にもご相談していて、宿でお祝いのパーティをするつもりだったんです。プレゼントは用意できなかったんですけど、簡単な料理なら作れるかなって」
メルがそう言って顔を伏せる。祝えなかったことが悔しいらしい。
シャロンはメルの肩に手を回しながら、「村に戻ってから、きちんとお祝いさせて頂きますね。ね、メルちゃん」と微笑んでいた。
自分でも誕生日のことは覚えていたが、誰も言ってこないのでおかしいなと思っていた。ただ、前日から盗賊の影が見え隠れしていたので、すぐに忘れてしまっていたが。
「ありがとう。ちょっと惜しい気はするが、村に帰ってからの楽しみにしておくよ」
そう言って襲撃者たちの見張りに向かった。
その日の夜は何事もなく過ぎ、翌日ケルトニー村に向けて出発した。
ケルトニー村はここから二十キロメートル強の距離にある小さな村だ。さすがに盗賊たちを歩かせていてはいつ着けるか分からないので、コーエンに用意させた馬車に乗せている。
ケルトニー村だがただの村ではなく、ポルタ山地から降りてくる魔物を狩る拠点となっており、帝国軍の駐屯地がある。
昨日とは異なり、フォルティス街道は平穏そのもので、魔物の姿を見ることすらなかった。
午後三時過ぎ、無事ケルトニー村に到着した。
ケルトニー村は高さ三メートルほどの石造りの防壁に囲まれており、門には守衛の兵士が警備を行っていた。
門に近づくとロックハート家の紋章に気づいたのか、兵士が恭しく頭を下げる。
当主である父が出るのもおかしな話なので、俺が交渉役となる。
「ロックハート子爵家の次男、ザカライアス・ロックハートだ。一昨日、ローグデール峠で盗賊らしき一団の襲撃を受け、半数を捕らえている。手間を掛けるが、守備隊の指揮官殿を呼んできてくれないか」
そう言って荷馬車に詰め込んでいる襲撃者たちを見せる。
兵士はその数に驚き、「すぐに呼んでまいります」と言って駆け出していく。
言葉通り、十分ほどで帝国軍の中隊長の装備をまとった騎士がやってきた。
父に対し、敬礼をした後、名を名乗る。
「ケルトニー駐屯地を預かるパウエル・ダリンプルと申します」
ダリンプルは四十歳くらいの騎士で、有名なロックハート家と知り、緊張しているのか額に汗が浮かんでいる。
父があいさつを返すと、ダリンプルはすぐに「まずは駐屯地にお越しいただき、詳しい話をお聞かせください」と言って俺たちを先導するように歩き始めた。
ケルトニー村は人口五百人ほどだが、そのうちの二百人は帝国軍の兵士だそうだ。つまり、二個中隊が駐屯しており、ダリンプルは先任の中隊長ということで、駐屯地の司令を兼ねているとのことだった。
すぐに帝国軍の施設に到着する。ここは国境警備隊も兼ねていることから兵力に比べて立派な建物だった。
俺と父がダリンプルに事情を説明している間に、ダンがダグたち襲撃者を兵士に引き渡していく。
「……襲撃に加わった者は六十五人。理由は分かりませんが、帝都の商人が一人、拘束されておりました。襲撃者の頭目はダグという名で……懸念としましては、見届け役らしき者が逃げ出した形跡があるということです」
俺の説明が終わると、ダリンプルは「この者たちはこちらで処分いたしますが、尋問に立ち会われますか」と父にいった。
「立ち合わせてもらおう。何といっても我らに対して剣を向けたのだから」
ダリンプルはそれに頷くと、話題を変えた。
「それにしても貴家の武勇には感服いたします。ざっと見た限りでも襲撃者は我が隊の兵士を凌駕する腕の持ち主。それが三倍の数で襲い、死者を出さずに捕らえたのですから……」
ダリンプルと話している間に兵士が隷属の首輪を用意していた。ここには盗賊用に多くの隷属の首輪が用意されているそうだ。
その後、縛り上げられたダグが連れてこられた。
そして、彼の首に隷属の首輪を付け、すぐに尋問を始める。
「誰に雇われた」という質問にダグは観念したのか、隷属の首輪に強制されることなく素直に答えていく。
「ルークス聖王国の聖王府の役人だ。本名かどうかは知らんが、名はディーノ・グランディスと言っていた」
ダリンプルは驚くものの、俺と父はある程度予想していたため、驚きはなかった。
「理由は何だ? ロックハート子爵閣下をなぜルークスが襲わねばならんのだ」
「知らん」とだけ答える。
ダリンプルは「正直に話すんだ」と迫るが、首輪が反応しないことから本当に知らないようだ。
「私に尋問をさせていただけないでしょうか」と言ってダリンプルと代わる。
「ロイドという商人はなぜ捕らえられていた?」
「知らん。グランディスが捕まえろと命じたから連れてきただけだ」
「質問を変えよう。ロイドはどう使うつもりだった? どんな指示が出ていたんだ?」
その質問にダグは目を見開くが、素直に答えていく。
「ロックハートの連中を全滅させたら、あいつも殺すよう命じられていた」
「具体的にはどうしろと言われた?」
「魔法で首を切られたように見せかけて遠くに捨てておけと……理由は知らん」
何となく見えてきた。
「つまり、俺たちが最後に死力を振り絞って殺したように見せるつもりだったということか。ロイドを黒幕に仕立て上げるつもりだったんだな」
「聞いてはおらんが、そうだろうと思っていた」
「俺たちを全滅させた後はどうするように言われていたんだ?」
「フォルティスに向かう傭兵に化けて現場を離れろと……あとはペリクリトルに向かえと言われていた。ペリクリトルに着いたら、次の指示が出ると……」
そして気になっていた前日まで斥候らしき者が接触していた件について確認すると、一瞬呆けた顔をしてから、苦笑いを浮かべる。
「そうか……俺は接触するなと厳命していたんだ。だが、冒険者上がりの連中は理解できなかったようだな」
「あれは意図的ではないということか」と俺が言うと、ダグは心外だとでもいうように俺を睨みつける。
「当たり前だ。ロックハート家、特にお前たち相手に完全な奇襲以外、勝機はない!」
そこまで言ったところで苦笑いが浮かぶ。
「……そうか。もしかしたら勝てたかもしれんのか……まあ、寄せ集めではこんなものだろう……」
自嘲気味にそう呟いていた。
(敵の斥候が油断していなければ危うかったということだな。盗賊に狙われることはないと思いこむことは危険だということか……)
今回の反省事項は鍛冶師ギルドを敵に回す盗賊はいないと思い込んだことだ。常識的に考えれば盗賊が襲うことはないのだが、相手が変われば常識が通じないことも充分にあり得る。特に陰謀を企てるような連中を相手にする可能性があるのだから、思い込みは危険だということだ。
その後、更に尋問を続けるが、ルークスが関与したこと以外、最初はオークホープ峠で襲撃を計画していたという話しか情報は得られなかった。
ダグの尋問を終えた後、「あくまで推測ですが」と断った上で、父とダリンプルに俺の推論を話していく。
「ルークスは帝国内に混乱をもたらそうとしたのではないかと思います。ロックハート家の当主と私が殺されれば、鍛冶師ギルドが激怒することは間違いありません。そうなれば、帝国政府としても誰が犯人か調べる必要が出てくるでしょう」
「そこまでは分かるが、それで帝国に混乱が起きるとは思えんのだが」と父が首を傾げる。
「ロイドという商人が鍵になると思います。彼が黒幕というか、現場の責任者とみなされれば、必ず彼がいた商会を捜査するでしょう。その際に偽の証拠を仕込んでおけば、例えばレオポルド皇子派や中立派が関与していると証拠が出てきたら、元老院は大いに荒れるはずです」
「確かにそうだが……」と父は困惑した表情で呟く。
「元老院が荒れれば第四軍団長であるエザリントン公爵閣下は帝都に戻らざるを得ません。特に中立派の関与を臭わされたら、皇太子派であるインゴールスロップ公爵閣下が次期宰相になりかねませんので」
「なるほど……だが宰相閣下なら何とかできそうな気もするが?」
「ええ、宰相閣下なら混乱を最小限に抑えることは可能だと思いますが、それでも政治的な駆け引きで時間を浪費することは充分に考えられます」
「面倒なことだな」と父は言うが、横にいるダリンプルは話についていけないのか、しきりに頭を振っている。
「いずれにせよ。ルークスの諜報部隊が帝国内に潜入しています。この事実を早急に帝都に伝え、対応する必要があります」
「そうだな。それと逃げたグランディスという男の行方も捜さねばならん」
父はそう言ってダリンプルに早馬と山狩りの手配を依頼した。
山狩りについてはやらざるを得ないが、見つからないと思っている。ダグの証言ではグランディスは役人という感じで、腕利きの戦士というわけではないとのことだ。
だとすれば、危険なポルタ山地の中で生き延びることは難しいし、帝国内を数千キロメートルにわたって移動することは更に困難だ。既にどこかで自害しているのではないかと思っている。
襲撃者の処遇だが、全員が戦闘奴隷とされる。そのため、帝国政府がレベルに応じた金で買い取ってくれる。
これはロックハート家が帝国貴族であるためで、戦闘奴隷として引き取ることも可能なためだ。
貴族以外の傭兵などが捕えた場合は生死を問わないレベルに応じた報奨金しか支払われない。無理に捕えようとして逃げられたら面倒なことになるためだ。
その買い取り金額だが、レベル一に対して百クローナが相場らしく、レベル三十なら三千クローナ、日本円で三百万円ほどになる。平均レベルが三十を超えていたので三十人で一億円くらいになる計算だ。
ちなみにこれは治癒済みだからだ。通常なら大怪我を負っていることが多く、その治療費が引かれることになり、半額くらいにしかならないらしい。
更にダグたちが持っていた金貨や装備はロックハート家のものとなるため、それだけでも結構な価値がある。
ロックハートの武名は更に上がるが、こちらについてはあまり心配していない。既に帝国内の派閥争いから一歩引くことを宣言しているから、無用な干渉はないはずだ。
報奨金についてはこの先のエアルドレッドで受け取ることになった。また、山狩りの結果や捜査の情報などは後日、ラスモア村に報告が届く予定だ。
すっきりしないが、とりあえず襲撃事件は一段落ついた。
前話の感想で多くの方から黒馬の名の候補を頂きました。
名前は決まりましたが、公表は少し先になりそうです。




