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御神先生の秘蔵っ子─出会い編  作者: 蒼良美月
最終楽章 素顔のままで〜Wild Child

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50.ガダニーニ  

 記念撮影も無事終了し、思い出詰まった校舎を見つめながら感慨深く思っていた矢先、由紀様に声を掛けられた。


「桜井さん、貴志から預かっているものがあるから、学長室に後で寄って頂戴ね?」


 あ! そうだ! プレゼント!!


「今、行っても?」


「良いわよ? 良ければ高科先生と、天野先生もどうぞ。珍しい物が見えますわよ?」


 由紀様の微笑みに、期待度がマックスに! 珍しい物? 何だろう! 

 ぞろぞろと皆で一緒に学長室に向かう。


 何だろう?

 珍しい物って?

 ワクワクが止まらない。


 学長室のドアを由紀様が開けて、金庫の鍵を開ける。


「まさか?」

「え? 嘘ですよねえ?」


 え? 先生達って何かもう分かったんですか?


「桜井さん、いらっしゃい。特別に今日だけ、高科先生と天野先生もどうぞ」


 学長室の奥にある扉の前に由紀様が立ち、なにやらセンサーロックの鍵を認証している様子。そんなに凄い物があるの?

 由紀様の案内でぞろぞろみんなでついて行く。

 保管庫?


「貴志の誕生日に桜井さんの誕生日を足した数字を0を入れずに足した数字を入力してみて?」

「ん? 9月15日だから915と12月15日だから足して……あれ?」


「天野」


 すかさず言う高科先生なんか怖い。


「2130」


「す、すいません……」

「バイオリンより算数やり直したほうが良くないか? 君の場合」

「酷い。天野先生」


「ここに手をかざして貰える?」


 え? そんなに厳重なの? 何が入ってるんだろ?


「俺、初めて見るかも」


 天野先生もワクワクした顔をしている。


「俺は何度か拝謁したけどな」


 高科先生がちょっと自慢そうな顔をした。


 拝謁??

 何それ?


「番号入力して。これで桜井さん以外の人が番号入れても開かないから、あ、一応貴志と、私も登録はしているけれど」


「は、はい。って。えっと」

「2130」

「スイマセン……」

「根本的な問題だね」


 そんな哀れむような目で見ないで下さい天野先生。


 ──カチッ


 開いた。


 バイオリン? ケース?


 開けろ。開けろの圧が後ろ2人の観客が煩くて、ケースを開けた。


「うわ~~綺麗」


 思わず声が出た。

 何これ? 艶と言い形と言い、今まで見たことがない滑らかさ? いやそんな簡単な言葉で言い表せれない。自分の表現力の無さに萎える。


 赤みかかった艶のあるニスが、黄金色(こがねいろ)に輝いていた。


「出た! 流石名器! 痺れるねぇ」


 天野先生が近づいて来た。珍しく興奮している。


「貴志が使っていたガダニーニよ」


「ガダニーニ?」


 聞いたことがあるようで? 無いようで?


「こいつには勿体ないね。名前すら知らない奴にこんな数千万越えのを」


「ぇ?」


 い、今、何て言いました? 高科先生? 数千万越え??


「え? 嘘ですよねぇ?」


「貴志の車と同じぐらい? いやこっちがもっと高いか?」


「今ならこっちがもっと上じゃないですかねえ? 4桁で足りますかねぇ? 1本行くかも? でしょう」


 そこのお二人さん? 何か凄い話しをされてませんか?


「これを、お貸しして下さるんですか? 私みたいな愚民に?」


「愚民って……誰もそこまでは言ってないよ」


 高科先生が苦笑いした。


「いえ? 基本的には桜井さんへの生涯譲渡だと思うわよ? 所有者貴志のだからこれは」


「ぇ? どう言うことですか?」


「何十億とかの名器は所有者が別にいて、その人から依頼されて弾いたりで奏者の持ち物じゃない場合が多くあるんだよ」


 高科先生が教えてくれた。


「でも、そしたら先生のは?」


「ガルネリ持ってますよね? 貴志って?」


「実家にね」


 由紀様が微笑んだ。

 何か聞いたことがあるカタカナ出た。すんごいお高いって聞いたことが。


 何故か、皆さんが苦笑いする。

 何でだろう?? 

 貴重過ぎるから? なのかなあ_


「だから、安心して使って良いわよ? 普段はこの保管庫にあるんで。貴志が帰国したらまたどうするか聞いてみて頂戴?」


 由紀様が微笑むが……

 そんな高価な物を? 私が?

 目眩がしそうになる。


「わかりました……」


 何かすっごい話になったんですが……

 卒業祝いのプレゼントが、こんなとんでもない物だとは。


 ──ガチャッ


 由紀様がドアを開けながら微笑む。


「ああ、そうそう。もっと大事なものを預かってたんだわ! じゃああっちに戻りましょうか?」


 え? これよりもっと凄い物が存在するんですか??

 もう既にに立ち眩みがしそうなんですけど……


 先程の金庫を開けて、その中の引き出しから小箱を取り出し由紀様が私に手渡した。


「開けても?」


 無言で頷く由紀様に、その笑顔に促されるように箱を開けた。


「鍵?」


「住所は貴志が後で送るからって」


 ん? それってどういう意味?


「え? 何処のですか?」


「貴志のマンションの部屋の鍵」


 由紀様が、優雅に微笑まれた。


「え?」


 どう言うことですか?


「面倒な弟ですが、末永く宜しくね?」


「へ?」


 ???

 頭の中に???が沢山飛んでいるんですけど。

 どういう意味でしょうか?


 鍵をマジマジと見る。

 そして由紀様を、交互に見つめる。

 が、由紀様はにっこり微笑むだけである。


 どういう意味?



 由紀様が?


 末永く?


 いやいや。ナイナイ、ないない。

 私のお姉さんに??


 ないないいいいいい!



 絶対ないない。


 ぇ?


 う? 嘘??


 ちょっと待って? どういこと?


 何も言わないけれど、にっこり笑って頷いた由紀様に、一層? が大きくなる。



 ◇


 取り敢えず皆さん各自のお仕事? に戻られたので、私も学長室をあとにした。

 バイオリンにも驚いたけれど、こっちには息が止まりそうなぐらい衝撃的だった。

 衝撃的なことが起こり過ぎて、ヘロヘロになりながら寮へ戻った。


 部屋になんとか戻り、小箱に鎮座している「鍵」を見つめる。そしてその橫にある紫の薔薇。


 あ! お水に入れないと!!


 他の花束は有り難く頂戴したが、寮に今は置くところがなかったので、取り敢えず由紀様にお願いし、先生が用意してくれた花束だけを持ち帰った。


「え? ちょっと待って、これってもしかして、先生のマンションで一緒に住むってこと???」


「遊びに行っても良いこと?」

「え?? どう言う意味?」


 もしかして私の、早合点?

 遊びに行って良いってこと?


 でも由紀様が確たしか、末永く宜しくって?


 あれ?

 先生の、生徒としての宜しく?


 生徒にマンションの鍵は渡さないか⋯⋯


「御神 貴志!! 分かるように説明しろおお!!」


◆◆◆おまけ◆◆◆


ガダニーニ︰ジョバンニ・バティスタ・ガダニーニ(イタリア3大名工で、ストラディヴァリ、ガルネリと並ぶ「3大銘器」の一つ。特徴は、パワフルで深みのある音色、赤色や赤橙色の美しいニスが特徴の少し寸胴なフォルム。

低音部の響きが独特。柔らかで豊かなストラディに比べ、ガダニーニやガルネリは、悪魔の楽器と言われる品も。


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