8 連絡とPちゃん
Pちゃんは服を着ているし、僕も服を着ている。
そして、スマホが圏外から連絡が取れる状態になって、掛けるかどうか迷っていると、Pちゃんが微笑む?
「大丈夫よ。連絡をしなさい。彼女は今は昼間の世界に居るから」
時間がズレている?まあ、それならいいや。僕は連絡を取る………。
「もしもし、リンク、どうしたの?」
どこか穏やかでいて、まだ心配している様子を見せる川村さん。僕はそんな彼女に堂々と言った。
「川村さん、僕をアイドルにして下さい」
「………いいの?」
驚きと、嬉しさの混じる声。川村さんは本気だったんだなと実感した。
「曲は全部使います」
「なら、緊急での再デビューって事で、3000人クラスのキャパを用意するわ」
「客は入りますか?」
「セットになるけど、あたしの所のアイドルもリンクの曲のファンが居るから、条件として貴方にプロデュースしてもらう事になるけど、受けてくれるなら可能よ」
「セッションもプロデュースも慣れています。だから、お願いします!」
「リンク、1ついい話があるわ」
「何ですか?」
「リンクが行方不明になっていた間に2日間も経っているけど、その間に社長のゴーストをリンクがしていた事がスッパ抜かれたのよ!」
「えっ!?どう言う事ですか?」
「リンクの昔からのファンが集団で流した情報よ❤貴方が歌っていた曲が決め手だったようね!路上ライブの時の歌がSNSで流れたの!今は「ツイン」が姿を消した………今がチャンスよ❤」
生き残る理由が出来た………。
「僕の事を………」
「分かっているわ。貴方はプロになる為に条件を飲んだんでしょう?」
―――代わりに曲を書けばデビューを約束しよう………あの件もある事だしな。
「フフッ………フフフッ」
「悲しい笑い声ね。今すぐにでも抱き締めたいわ。リンク、ファンは待っているわ。だから………生きて帰って来て」
もしや………知っている?
「僕は裏切り者です。アイドルとして最低の行為をしたんです。それに、命に保証はありません」
「ゴーストがバレない様にファンを遠ざけた………。でもね、ファンはリンクを待っているわ。だから、分かっていたんでしょう?「ツイン」の曲は自分が歌うべきって分かっていたんでしょ?だから、あたしに電話をして来たんでしょう?」
「許されるんですか?」
「リンク、ファンの事を聞いてヒヨッタの?生きて帰って来てリンク!」
「だって………僕は………」
涙が止まらない………ファンの事は忘れた事は無いけど………今はツライのは確かだからだ。
「ファンは弱くないわよ。だから歌いなさい。リンクの為に………ルキアの為にも。だから………生きて帰って来て」
Pちゃんは居なかった………Pちゃんに会いたい。彼女なら何か僕に話しをしてくれるから。色々と聞きたい。
「何時ですか?」
「ライブは1週間後。他のアイドルだけど、あたしの事務所のアイドルが出るだけ。最後にリンクが出てくれれば良いわ。告知するわね」
きっと、事件の事も………でも、最後にステージに立ちたい!
覚悟を………生きて帰る勇気を!
「行きます!」
事情聴取は覚悟をしている。社長がきっと動くはずだ。その前に写真を………あの血の海で座っていた僕の写真を奪えば!!
「分かったわ。待っている」
そこで僕は通話をやめた………。
が、僕は気づいた!?まだ何もしていないのに「ランク・アップ」の術が!?
「リンク~❤ジュースを持ってきたわよ」
Pちゃんがビンを2本持ってきた。
「あの………Pちゃんは術を使った?」
「えっ?私は何もしていないわよ」
「だって、僕はステージに立てるんですよ!」
「詳しく教えて?」
真剣な目のPちゃんに僕は全てを伝え………。
「変ね?その昔のファンって何者?」
「熱心なファンでした。ただ、社長が裏の世界の人を使って脅しを掛けたんです。だから、僕は皆に危害を与えない事を条件に事務所に入ったんです」
「つまり、ファンが爆発して情報を流して、全てが露見したのね」
「正直………心配です………」
「リンク、何者かが動いているわよ。ただ、企みか何かがある様な気がするけどね」
「僕は………どうすれば?」
「私に任せて。一応Pなんだからね❤」
ウインクする彼女に頷いて、僕はジュースを受け取って口を付けた。
冷たいな………これも魔法で冷やしているのかな?それとも、冷蔵庫でもあるのかな?
「リンク、裏で動く連中の意味はあるのかしら?コッチにも悪い奴は居るけど、社長にしろ、「ツイン」にしろ、金が無ければ動かないはずよ。ファンに手を出せば自分達が危ないもの」
確かに、金が無ければ動かないはずだよな………それに、命令を出す社長は動けないし、地位は失墜しているはず。
「ファンの子たちは多分だけど、逃げるか守って貰っているはずよ。ペンは剣よりも強いしね❤それに、リンクの世界のスマホって影響力が強いんでしょ?」
「情報の力は正にも負にもなる。皆が覚悟を決めたなら僕は………」
「リンク、演りなさいライブを」
「でも、僕はこのままでは帰れない。黒幕が誰なのかを知らないといけないから。Pちゃん、協力して下さい!」
Pちゃんに頭を下げると………彼女は笑っていた?
「初めてね」
「何がですか?」
「本当のリンクが見えたわ。貴方………カッコイイわよ❤」
僕はそんなPちゃんから顔を逸らした。




