5 ようこそ、地獄の一丁目に
暗闇………。
月明かりしか無い夜の路地裏。Pちゃんは、そんな中を迷わずに歩いて行く。
「あの………いったい今は何が起きているんですか?」
Pちゃんの進む先に、裸電球がチカチカと光っているのが見えた。なんかの店なのかな?何か怖いな………。
「説明は後でするわ。それと、リンクは誰かに見張られていたけど、少し危険な連中ね」
………誰だろう?
そして、裸電球の下には1枚のドア。
「ここよ」
足を止めると、彼女は首だけを向けて言った。
でも………その彼女はドキリとする程に妖しい魅力を持つ美しさを感じさせていた。
危険な美しさ。バラの様な………桜の花みたいな美しさと言えばいいか?
彼女を裏切れば死を与えられるだけの力を感じるのは何でだ?
殺気みたいな物を感じるのも変だ?
「どうしたの?」
「いや、Pちゃんが美しい女性だなって思っただけだよ」
「フフッ❤リンクは大人な事をしたいのかな❤」
「いや………ハハハッ」
上手に笑えない。緊張しているのが自分でも分かる。それに、殺気もプンプン香ってますよ、Pちゃん!!
でも、彼女は笑っている………事に気が行っていて、彼女の前のドアが赤だと気付けなかった!?いや、黒に近い色だったのに、何で赤になっているんだ?
「あの………その赤いドアは?」
「心の扉よ❤貴方に色々と質問するから、しっかりと答えてね❤」
「拷問とかはしないでね」
ちょっと軽口をたたくと………。
「Hな拷問とかだったらどうする?❤」
Pちゃんは自分の中指を………ペロッとなめる!?
エロい………下半身が痛かとですたい!!
「フフッ❤冗談よ。それより、このドアの先に入るかどうかはリンクが決めて」
Pちゃんは真剣な表情で言っていた。僕には、それで確信した。
試されていると。
「恩は受けました!だから、僕はPちゃんに今夜は付き合います!」
「いつの間にか、一万円札をポケットに入れていたもんね❤」
「えっ………!?……あっ、あった!」
取ったつもりは無かったけど、ポケットに入っていた!?もしかして無意識に反応をしていたのか?
「本当に人気が無いアイドルとかはお金が無いのね。でも、向こうでは使えないわよ」
呆れた口調の彼女がドアを開けると、僕はそのドアの向こうの人物に土下座をしていた!!
「リンク、どうしたの?」
焦るPちゃんよりも僕が焦っていた!
「す、すいません!!貴方様の女に手を出すつもりはないんです!!」
「………失礼な奴だな。人を悪人みたいな言い方をして」
男が立っていた!
ドアの向こうにゴツい褐色のお兄さんが立っていた!!しかも、モヒカンにサングラス!筋肉は………凄い。
僕は恐る恐るドアの向こうの方に目を向けた………。
「Pちゃん、コイツが異世界アイドルか?」
「そうよ、ジョー。それより、ジョーは何でココに居たの?」
「いや、皆で見ようってなったんだけど、1人で良いだろうってなってな。ほら、相手に威圧感を与えない為に。そんで、くじ引きで当たった俺が来たんだよ。だから、ココで待っていた」
「リンク。大丈夫よ、仲間だから。早く立ってちょうだい」
僕は目を合わせない様に立った。でも、足はガクガクだよ~………。
そんな彼は手招きをした!?
「まあ、来いよ。リンク」
「リンク、行くわよ」
「危険な店ですか?」
声が震えている………。そんな僕にPちゃんは優しく笑ってくれた?
「後で頭をナデナデして上げるから、おいで❤」
Pちゃんを信じるしかない………僕は逃げ場の無いこの場で頷いて、Pちゃんの後ろについて行った………。
明るい店の中だった。
ファミレス………いや、アメリカのダイナー………食堂みたいだった。
人も何人か居て、僕を興味深い目で見ていた………居づらい。
でも、そんな皆の服装は見た事がある………アニメの中で。
「ファンタジー?」
「リンクの世界ではそう見えるわね」
そんなPちゃんの隣で、ジョーなる方が手を出してきた?
「なあ、リンク。俺はこのギルドの古株で、多分最強だ。コレからよろしくな」
「よく、分からないんですが………」
もしや、これもコンセプト系の事務所のやり方!?
「よろしくお願いします!柳 リンクって言います!リンクって読んで下さい、先輩!」
僕は彼の手を握り返した!しかも、アイドルスマイルは忘れない。コレが僕のやり方だから!
「オッ?良い声を出すな。ビビりかと思ったら、目はしっかりしているじゃねぇかよ」
「先輩、ありがとうございます!」
握手をして分かっている事………それは手が大きい事だ………仲良くしよう。
「良いね~。俺はジョーだ。教育係をギルドでしているから、困った事があったら俺に言いな」
「ジョーさん!ありがとうございます!」
「ジョーでいいよ。さんも先輩も必要無い」
「はい、ジョー!」
「Pちゃん、リンクは俺の隊に入れるよ」
「分かったわ。良いわよ」
「それより、Pちゃんコートを脱いだらどうなんだ?コッチはもう夏になってんだからよ。ハハハッ」
「ええ、そうね」
Pちゃんはコートを脱ぐ………!?そうしたら、どうだ!?まあ、素敵なワガママ・ボディだったじゃないか!?しかも衣裳は見た事は無いけど、レオタードって感じの物にヒラヒラのリボンとか付いている………コスプレイヤーなのかな?
もちろん、ジョーは皮の上着に軍パン………怖いお兄さんにしか見えないよ。
「リンク、他の連中も紹介するぜ」
1人の青年が近づいてきて、僕の手を握った。
「こんにちは、オレはエリックって言います」
細マッチョの彼は少し青白いけど、僕と年が近そうで好感は持てた。目がしっかりしているからだな。
「エリックさん、よろしくお願いします!」
「次は、あたし!あたし!」
ジョーの後ろから1人の若い女性が出て来た。そして、僕の空いた手を握った。
「あたし、メイって言うの❤魔術師の部隊を纏めているからよろしくね❤」
明るい、赤毛のお姉さん。なんか綺麗と言うよりもカワイイ感じの女の子みたいだな。特に身体はグッドです。
「リンクです。メイさんよろしく」
服装がエロいです!とは言わないでおこう。なんか、色んな感じで肌色が見えている。
「エリックさんは戦士なんですか?」
「うん。オレは見ての通り戦士を纏めているよ」
細いな~………戦士を纏める割には細いな~。それに、血色悪くないですか?いや、悪いと言うよりも白過ぎですよ。日に当たりましょう。
「一応、組頭はこの二人と俺だ。リンク、腹減ってんなら奢るぜ」
「いえ………はい!」
ココでは素直になろう。じゃないと、仲間外れにされかねないしな。
「良い返事だ。リンクは酒は大丈夫か?」
「少しなら」
でも、週刊誌が怖いんです………。
「ジョー、その前に私の部屋に案内するからいい?」
「ああ。それに、Pの仕事もあるしな。荷物は届いているぜ」
「分かったわ。リンク、おいで❤」
「は、はい!」
僕はPちゃんの後について行った………。




