4 Pちゃんとの出会いは唐突に。
あの後………僕は色々と考えていた。そして、川村さんと色々話しをした。
その後になるが、僕は母さんの亡くなった場所………厳密には、病院に運ばれる前に倒れた場所に向かっていた。
「一輪しか買えなかったけど………カーネーションを買えて良かった。母さんは喜んでくれるかな?」
僕は月を見上げた………満月。口元は緩むのに………でも、涙が………。
「お姉さん、空を見上げて歩いているとドツボにはまるわよ❤」
若い女性の声に立ち止まり、その声のした方を振り向いた。誰だ?1人の占い師がそこに座っていた。
妖しさ満点のフードと紫のベール。目許はかろうじて見えたが、その目は碧眼………美しい目許の外国人だと分かるが、日本語がとても流暢だった。
日本語に精通していそうな程に言葉で冗談を言えている。
でも、僕は笑顔を向けた。
「ごめん。僕はよく女の人と間違わられるけど、男なんだ」
「でも、美しいわね。涙も似合うなんて美少年ってやつかしら?」
自分でも女の子っぽいと思うけど、やっぱり女性から見ても美しいようだね。
「お金は必要無いから話しをしない?」
「お姉さんの裏の路地が怖いな~」
「フフッ❤男の子なんだからおいで」
お姉さん口調だけど、声もお姉さんっぽいんだよな。でも、それが逆に怖いんです。何か出てきそうで。
まあいいや。仕方ない、付き合うか。
「所で、その花は?」
「女の人に渡すんだよ」
「カワイイわね。本当はお母さんに渡すんでしょ?」
意味深な言い方………に、感じた。そして、僕はそれに警戒しつつ。
「何か………知っているんですか?」
僕はドキドキしている………すると、彼女は………微笑んだ様子を見せる。
「この国ではカーネーションを母親に渡すんでしょ?」
挑発的な目と声………そんな彼女に僕は笑っていたよ。
「さすがは占い師さんだね。良く見ているし、知っているね。それで、どんな占いをするんですか?」
「水晶よ」
テーブルの上には手の平サイズの水晶が1つ。でも、その隣にはタロットカードの束。
「カードは使わないんですか?」
「君がお姉さんを信用するなら使うわ。ただ、色々とバレるけどね❤」
「………確かに色々と分かるみたいですね」
遊びに付き合うつもりだったけど、言いながら辺りを見回した。人が居ないのは何でだ?
いや、人の気配がしない………。
これは何かあるのか?それとも偶然なのか?
いや、人通りの少ない路地裏沿いの道。だったら人が居ないのは分かる。でも………東京の、まだ夜の9時だぞ?普通は人が居るのに、店の中からも人の気配が感じられないから、僕は何か変な感じをしていた。
「ねえ、お姉さんと少し話しをしようか?」
「金なら無いです」
即答していた………って言うよりも、カーネーションを買ったから、本当にお金は無いんだ。それに、占いは金が掛かるのはよく知っている。
そんな彼女は軽く笑ってから。
「乗ったら、コレを上げるわよ❤」
テーブルの上に置かれたのは………一万円❤
コレがあれば………バイト代が入るまで生きていける!!欲しい!!
「お姉さんと話しがしたいです!」
「もちろん、話しをした後に、貴方が負けたと思ったら………いえ、当たっていると思ったら、私に付き合って」
「はい!よろしくお願いします!」
僕はバイトの様に頭を深く下げていた!
「マムって呼んで」
「イエス、マム!」
「ねえ、君って本当にお金に困っていそうね」
ん?おかしいな?ポーカーフェイスをしているはずなのに………。
「何で気付いたんですか?」
「口でも言ったけど………泣いているんだもん❤」
「………グスンッ!そうでしたね。後、十日後なんです、バイト代が入るのが」
そんな彼女はハンカチを貸してくれたじゃないか………。
「ごめんね。お姉さん、君をイジメる気は無いから」
「うぅ~………今日、僕はご飯を食べていないんです~………ウルウル」
「………コレ、食べる?」
テーブルの上にはバーガー!?なんていい香りを漂わせているんだ!
「いいの?お姉さん」
「弟みたい………さっき買ったんだけど、余っていたから気にしないで食べて」
天使だ………このお姉さんはきっと天使の様に優しい女性なんだ!
「はい!ありがとうございます!!」
僕はバーガーにかぶりついた!温かさがまだある………本当に買って間もないんだ!!
「ねえ、リンクって呼んで良い?」
「お姉さん、僕の事を知っているの?」
「まあね。それに、その水晶の前に立てば、私には分かるわよ。色々とね❤」
ウインクするお姉さんに僕は驚いた!?
「名前は柳 リンク。今年で21になるのね❤」
「凄い!?」
グウゥ~………。
「男の子なんだから足りないわよね❤」
「胃が動き出しました………」
彼女は沈痛そうに頭を抱えた?
「何か予定が狂ったわ」
「あの………お金は無いけど、何か恩返しをしましょうか?」
「じゃあ、奢って上げるから、この先の店で食事をさせて上げる。だから、一緒に来て」
「食事!?」
「ねえ、貴方ってもしかして自分を騙して生きていない?それとも、演技も出来る子なのかな?」
「はい!僕は演技も学びました!」
「………でも、今は本音が漏れているわよね❤」
彼女が笑うけど………変だな?なんか一万円を見てから素直になっていると言うか、自分の欲求に忠実になっている気がするぞ。
「でも、良かった。本当の貴方がカワイイから。それに、術も効いているみたいだし❤」
「………術?」
「貴方が素直になってくれるのは、育ちが良かったからよ。いえ、育て方が良かったの間違いかしらね。でも、そんないい子の貴方に朗報よ❤」
「何がですか?」
「今から私をプロデューサーと呼びなさい!」
ドヤる彼女に………。
「Pなんですか!?」
「そうよ!貴方はお姉さんの元でアイドルになりなさい!」
彼女はベールとフードを外した!?
そして、僕は驚いた!?
特徴のある尖った耳、整いすぎた美しい顔、クセのある長い金髪!?
「エルフ!?」
「私の世界に来て、異世界アイドルになってくれる?」
やっぱりそうだ!
「Pちゃんは………異世界人!?」
「そうよ❤」
そうだったのか………。
「コンセプト系のアイドル事務所の方なんですね!?」
「オイ………干すぞ」
こっ、怖っ!?目が何人も殺している人の目になっていた!?
「いや、あの………」
「リンク、お姉さんは怒ると怖いわよ❤」
笑顔が怖い!本当に怖い!!
「ぼ、僕に何を………グスンッ、求めているんですか?………」
涙が止まんない………怖いです。
「リンクはこの世界ではアイドルには成れないわよ。例の問題があるから」
「………でも………」
「ハッキリしないわね!アイドルとして本気なの!?」
僕は………それでも頷いた。
「まあ、いいわ。それに、一度は夢を見ても文句は言われないわ。でも、今は私の言うとおりにしなさい」
「僕は………」
「隠そうとしても無理よ。貴方の事は分かっているし、この世界ではアイドルに成れない。でも………貴方には見えない部分があるわ。何か隠されているのかしら?リンク、貴方の中を探れなくしている人物が居るわ。心当たりはある?」
心当たり?………でも………。
「まあいいわ。それより来なさい」
Pちゃんは路地裏に入って行く………僕はそんな彼女について行く………。




