31 家族
あの夜………アルの頼みで、ボクはリンクを迎えに行った。
ルキアの両親も納得してくれたし。
だから15歳の………中学を卒業したリンクを迎えに来た。
「リンクにボクは何て呼んでもらおうかな。ドラ君ではなく、お兄ちゃんとか❤」
嬉しかった。最高の友―――アルバートと愛したルキアの子供。その名前はリンク。
エルフの村では、人間とエルフの間に恋は許されず、ハーフは追い出されていた。でも………アルの父、ジェイは皆に頭を下げ、頼み込んで許可を貰ってくれた!血に触れる事の無いのが条件で。つまり、村に問題を起こすな。と言うことだ。
やっと………家族になれるんだ!
でも、だから………ボクはあの瞬間に絶句した!?
ルキアの生家にある道場の中では、ルキアの両親が倒れ、3人の男達が立っていた!?
だからすぐに………人間をミンチにしたのは久しぶりだったよ。手も足も………引き千切ってやった。命乞いをしていた連中を………ボクはトドメをさして、異空間に捨てた。
「ド………ドラ君!すまない!」
「十郎さん!」
ルキアのお父さんは血を流しながら倒れていたけど、まだ息をしている!!
でも………術でも間に合わない程の血。傷が深すぎる………まだ意識があったなんて………不思議な位だったよ。
だけど、この傷は上級魔術師の回復呪文を三重に掛けないと助からない。
「リンクが向こうの世界に………行く事を………許可してくれて、ありがとう」
「分かっているから!だから………」
ボクは術を掛けた………無理でも術を掛けていた。
でも、彼は最後と言いたいのか、話しを続ける。
「何を聞いても……何があっても………コッチに戻りたくない様に思わせた!ルキアの事を………でも、リンクは………グハッ!」
血を吐くルキアのお父さん、十郎さんは続ける。
「奴から遠ざけられないなら、ボクが殺すから!十郎さん、生きて!」
止血しても………もう無理だ。なのに十郎さんは最後の気力で言う。
「こんな世界に……リンクは居たらダメだ!ドラ君!………ルキアの命………こんな世界に置いていかないでくれ!」
十郎さんは笑っていた?
「爺ちゃん………?」
リンク!?
ボクは振り返り………口が開かない!?ウソが言えなくなっていた!!
「こ、殺したの?」
リンク………そこで、十郎さんがリンクを手招きした?
「リンク………来なさい」
リンクは十郎さんの傍に座った。そして、リンクは泣いた!?
「ドラ君………ドラ君が殺したの?」
―――!?ボクの大好きなリンクの………。
「リンク、聞きなさい」
「なに、爺ちゃん?」
「ルキアは自慢の娘だ。それを覚えておくんだぞ!」
十郎さんは最後の力でボクに頷いた!?
その意味は………。
「リンク………次にボクと会う時は、知らない人だよ❤」
ボクはリンクの顔の前で手を広げた………。
「ドラ君………?」
「ご免!」
リンクは眠った。
「ありがとう、ドラ君!………ルキアの夫………息子になる、アル君によろしく………」
彼は………十郎さんは死んだ。
ボクは、その後リンクに小さな住まいを与え、裏方に回った………。
⭐
「ドラ君………あたし、知らなかった。てっきり、ルキアを………」
「大好きだったよ❤だって、家族だもん❤」
ドラの目からは涙が………。
「リンクは幸せ者ね❤」
「理子が呼んだんでしょ?ファンの皆を」
「うん❤あのロータリーでリンクを応援していてくれたファン皆を………アリーナ席で待っているわ。ファン皆………いえ、ドラ君の言う家族が」
「リンクは1人じゃない。なら幸せ者だよ❤リンクを守った理子も1人じゃない。お腹に子供が居るんでしょ?」
「うん❤女の子なの。だから………名前は………ルキアよ❤」
「ありがとう、理子❤」
ドラは幸せそうに笑った。
「行きましょう❤リンクのステージを観に行きましょう❤」
「セイレーンも行きます❤」
3人は笑顔でステージのバックヤードに向かった………。
⭐
ステージ………こんなに大きいんだ。
「リンクさん、一分前です!セットリスト通りに曲を流しますから、インカムをつけて下さい」
「スタッフさん、少し時間を取れませんか?」
彼は頷いた。そして、耳元でスタッフさんが言った。
「見て下さい。アリーナ席の前列を」
僕は目を向けて………涙が出ていた。何か泣きっぱなしだよ。
何で、ロータリーで僕を応援してくれていた人達が皆居るんだ?
そんな僕にスタッフさんは微笑んだ。
「リンクさん、涙はファンを納得させてからですよ❤」
「川村さんが、呼んだの?」
「ええ。リンクさんの前からのファンなんですよね。運が良いですよ………自分もリンクさんの最初からのファンなんでね❤」
「えっ!?駅のロータリーで?」
彼はウインクした。
「仕事が忙しいのと、川村さんに止められていたんです。スタッフや業界人にもファンが沢山居るんですよ。例え、リンクさんがゴーストになっていても」
「皆は………?」
許してくれるかな?プロになるのと引き換えに裏切った僕の事を………。
「自分で確かめて下さい。それに、セイレーンさんから言われました」
「ドラにもでしょ?」
「正解。答えは自分達には出ていますから❤」
僕は………ステージの1歩を踏み出した………。
そして、スポットライトの下へ……。




