28 コチラに戻って来て………。
「リンク、起きて❤」
「ん?セイレーン………?」
目を開くと、そこには白いボードの天井があった。
そして、スーツ姿のセイレーンが目に入った。そして、僕は首をかしげる。
それに、そのセイレーンは水の入ったペットボトルを渡してきた?
にしても………何で、僕はセイレーンの腕枕で寝ているんだ?普通は膝枕じゃないのか?
「いえ、腕を使うべきだと教わりました」
「心が読めるんだったね?」
「はい。分かります」
「それで、誰に教わったの?」
「アイツ」
セイレーンの指先を追っていくと、そこにはスーツ姿の似合わないドラが立っていた。
「顔が子供っぽいから、スーツ姿が似合わないね」
「だろうね。スーツは着崩した方が良いのかな?」
「それで?」
僕は上半身を起こす………下にはマットレスが敷いてあったけど………。
「ここはドコ?」
「ドームの楽屋です❤」
セイレーンは近くのソファに座った。
「ドーム?………アリーナじゃないの?いや、それよりも、今からライブかな?」
ドラを見るとVサイン?
「うん❤未来の時間ならボクは動かせるから、リンクを連れて来た!それとね、ボクはチーフ・マネージャーだよ」
「誰の?」
「リンクの。そして、セイレーンはマネージャーだよ」
「………?」
何が何だか?
「リンク、そろそろ彼女が来るから用意して」
「う、うん。ライブかな?」
「リンクー。そろそろ時間よー」
ドアを開き、川村さん楽屋に入って来た。彼女に会うのは久しぶりだな。
「えっと………」
「リンクは昨日の遅くまでイメージ・トレーニングをしていたから眠かったみたいですよ」
「そうだったわね。それにしても、ドラ君が業界の人だったなんて、リンクも早く言ってよ」
川村さんとドラが親しげ何だけど、まあ合わせれば良いか。後で事情を聞こう。
「セイレーン、リンクを化粧してくれたのね。何かルキアみたいだけど、本当に腕前が良いわね❤」
えっ!?いや、それよりも、何時の間に帰ってきて、何でここに居るんだ?それよりも、ママと同じって何!?
「大丈夫です❤マネージャーを続けて6日。メイクも出来る五番街の女ですから❤」
「そうだったわね。さすがは、ニューヨーカーね」
意味が分からないけど、鏡を見ると………ママが映っていた!?髪と服は………ん?この服は?………今風のアイドル衣裳に髪型。
「リンク、その衣裳良いわね❤ドコで作らせたの?」
「五番街から直で配達させました。向こうのPちゃんの指示ですよ」
「エイミーちゃんね❤やっぱり彼女は一流のPね。こんなデザイン、相当良いデザイナーが作ったのね」
Pちゃんが………。
「リンク、どうしたの?」
女顔の化粧………涙で落ちちゃうよな。
こんなにカッコイイ衣裳に、このメイク………涙は合わないよ。
「リンクはアリーナから急遽ドームになったから、ライブの始まりに感動を禁じ得ないんです。セイレーンも嬉しいですよ❤」
「そう。ルキアの夢を見ていた場所だもんね。でも、不思議じゃないわよ」
母さんを越えたのに………でも、それは母さんがアリーナを………僕に上に行けって事なんだよな?
「川村さん………それって………」
「あたしの父さんの会社でアイドルフェスをしているから。と、言いたいけど、ドラ君がプロモーターとして交渉をしてくれたから、ドームが使えたの。それに、アイドルフェスだから、使えたのもあるわね。どんな手法を使ったのか、スポンサーも集まったし、ドーム側もすぐに許可を出してくれたの。だから、今夜はリンクの花舞台よ❤」
僕は、とんでもない事をしているドラを見た!?
「リンクの知っている「ツイン」は失脚したんだ。ファンから相当叩かれたらしいね。リンクとは2回しか会っていなかったらしいけど。でも、2人はリンクに会うのが怖かったらしいよ」
2人が………?僕は下に見られていたから会っていなかったんじゃないのか?
「ねえ、リンク。「ツイン」の2人がリンクに曲を書いていて貰っているって知ったらどうする?」
「社長は自分の名前で出しているはず………あっ!?」
「バレただろう?そして、2人はそれを知っていたけど、2人も社長が怖かった。まあ、それじゃ誰も………いや、Pちゃんだっても最初は分からなかったはずだよ。リンクが言うまでは」
「………うん、そうだね」
僕はゴーストをして作詞・作曲をしていたのを言ったのは、会ってからだもんな。
「でも、深く考えれば、そうだと分かるはずだ。だから、ボクは2人と話しをして、記者会見を開いて、こうなったんだよ」
「リンク、曲を聞いてみなさい」
ステージの方から………「ツイン」が歌っている!?
「川村さん!?」
「2人は………彼等はアイドルのリンクの為にフェスに参加した。そして、リンクの為に会場を温めているの。リンクの為だけに。だから、許してやって。リンクが苦しんでいるのを、見て見ぬふりをしていた事を」
「でも、2人は社長に………」
「大丈夫。奴は奴の使っていた裏の連中に連れ去られたから。事務所は………潰れたわ」
「他の人達は!?」
「お父さんの事務所が引き取ったわ。「川村プロダクション」にアイドルも役者も………リンクの事を知っていた人達は全員ね❤」
「川村さん………知っていたんですか?」
「分かるわよ。ゴーストって、意外と業界の中では話しが出るし。そして、その稼ぎ頭の「ツイン」が皆に言っていたからね。記者会見も開いて、社長は裸足で逃げたらしいわ。あたしも………知っていて声を上げなかったから、同罪ね。ルキアの時からだから、重罪かもね❤」
川村さんはドラに頭を下げる。
「ドラ君、あたしの記憶がどんどん蘇っているの。「ランク・アップの術」の事も。でも、ドラ君が昔から色々と手を貸していてくれたのも、社長が向こうの世界からルキアを送って、金を荒稼ぎをしていたのも。………遅くなったけど、ドラ君ありがとう」
「理子、今はプロデューサーとして言う事を言ってくれる。向こうも始まるからさ❤」
「向こう?………ドラ!ジョー達は!?」
ドラは答えない。でも、水晶を出した?
「最高のライブをしてくれる、リンク」
ドラは初めて見る様な子供みたいな笑顔を浮かべた。
「リンク、コレを」
川村さんが出してきたのは1枚の紙。
「コレは………僕の曲の………」
「エイミーちゃんが最後の仕事をとして、セットリストを作ったのね。彼女は………Pちゃんはリンクをステージに送り出すって❤」
Pちゃん………君はやっぱりPちゃんだよ❤
「行って。リンク、本当のアイドル・シンガーの力を見せて上げて。ルキアに届く様にね❤」
「はい!僕は行きます!」
「リンク、ジョー達に曲を流しておくね」
「うん❤ドラ!」
僕は………ステージに向かった!




