27 別れの後………
何も変えられない。時は進み続けるのだから。
「ジェイ、僕は何の為に?」
――ここに居るの――の言葉は言えなかったけど、ジェイは理解してくれた。
「ルキアの台本通りなんだよ」
「台本?」
「リンク、君はどうしてこの世界に来た?」
「Pちゃんと何となく………?」
「思考をイジられた訳ではないが、君の血がこの世界を求めたんだよ」
「んー?分かんないけど、ママの事が分かったから許すよ」
「ハハハッ!さすがはルキアの息子のリンク!君はこの世界に繋がるしたんだよ」
「かもね。それより、ジョー達は?」
「君が、このステージに立った時に、ルキアの説明をワタシ達は受けた。だからジョー達は君に「よろしく」と言って国に帰って行った」
「そうか………。でも………」
「リンクの戦争は終わりだ。そして、これから君のライブが始まる。それで良いだろう?」
「うん、そうだね」
ジョー達はこれから自分達の戦いを始めるんだろう。でも………僕にはどうしようもない。そして、僕には時間が無い。これから向こうの世界に帰ってライブをしないといけない。
それにしても………死神は………?
「死神は?」
「それはリンクの事だよ。簡単には魔王と言った方が良いかな?」
「僕ですか?」
「そうだ。君はあのままだったら、人に対して全てを狂った見方をしていただろう。そして、カレンの罠によって、君は魔王になっていたはずだよ」
そうか………だからママは厳しくも、弱い僕の狂った見方を正そうとして、昔の爺ちゃんみたいに戦ったんだ。
「Pちゃん、阻止出来たね」
「ええ。死神も魔王復活もね❤」
「僕は………色々とあったのかな?」
「あったわよ。一応戦ったしね❤で?これからは、どうするのかな?」
Pちゃんは笑っている。
「んー、色々と分からない事があるんだ」
「言いなさいよ。プロデューサーとして仕事を仕切れなかったんだから、色々と答えるわよ❤ドラもね」
「ドラが?………なら、今回の黒幕は誰なの?」
「一応、ルキアなんだけど。ボクも関わっているかもね」
「他には?」
「アルとジェイ。後は………」
ドラの視線の先にはセイレーンに向いていた。
「ええ。セイレーンですね❤」
「ん?声が………?」
幼いと言うか………大きな幼女みたいな………サングラスを外したからなんだろうけど、幼い見た目をしていた。
それに、微笑んでいたけど、笑っているのは初めて見た気がする。
「これが、セイレーンらしいとルキアに言われたの❤だから、何時もの声を出していたんだよ❤セイレーン的にも楽だしね❤」
「じゃあ、何で声を作っていたの?」
「リンクがセイレーンを助けたくなるようにしろって、ルキアが怒るの。だからね、セイレーンの本当の姿はナイショ❤なんだって。でもね、そんなに母親っぽくとか、色っぽくって言うなら、ルキアがやれば良いんだよ!」
セイレーンって………やっぱり子供っぽいぞ。
「だから、僕に声を掛けたのね?」
「うん❤リンクにやる気を出させる為にエッチなお姉さんボイスを出してみたの❤でもね、セイレーンをルキアは何だと思っているんだろうね?だったら、自分で声を変えるとかして、やれば良いんだよ!ルキアはロリママなんだけど、色っぽい声の出し方とか教えてくれたんだからさ❤ね?リンク❤」
「………やっぱり、セイレーンはママに怒っている?」
「セイレーンは大人だもん。そんなに怒っていないよ❤」
「そう?」
「大人だもん………グスンッ!」
泣かしちゃったかな?僕は大きな幼女の様なセイレーンの頭を撫でてあげた。
「Pちゃん、この世界ってクセが強いね?」
「リンク、死にたくないなら、話しを変えなさい。頼むから」
Pちゃんの目が死んでいる。話しを変えよう。
「どこから本当なの?」
「私はジェイに聞いてから、ルキアに聞いたわ」
「ボクは最初から騙していた」
ドラは悪びれない笑みを浮かべる。
「ワタシは………息子のアルバートから連絡が来てからだ。3日前かな?ワタシが動かないといけないと言われた」
「ジェイ、セイレーンの事も?」
「いいや。彼女は3日前と言う訳ではないが、意識ごと「青い死神」に喰われたのは確かだ。きっと、リンクの来る2、3日前には自我が復活していたそうな」
「じゃあ、死神は?」
フフフッ❤セイレーンが封印しておきましたよ❤」
「セイレーンが?」
「はい。ただの亡霊なので、セイレーンにとっては、本物の死神である以上ただの雑魚ですよ❤」
「そうか………。セイレーンって凄いね」
「だって、アタチは死神の女王だもん❤」
胸を張るセイレーンの言葉に疑問が?
「アタチ………って、もしかして自分の事?」
そこで、セイレーンはハッ!?とした表情を浮かべるけど、ドラは笑っていた。
「セイレーンって死神の女王なのに、昔はオラって自分の事を言っていたんだよ。でもね、アタチって言葉をルキアに教わってから、そう言っていたけど、それも変だって気付いたら、急に自分をセイレーンって名前呼びを………!?」
ドラはセイレーンの死神の鎌を両手で掴んでいた!?
しかも………表情が必死だった。
「まっ、待って!!助けてPちゃん!!」
「ドラ、あんたが悪い」
「何で~………」
「散々、私の事を騙しておいて言える言葉なの?セイレーンともジェイの水晶を使って話したら、良い娘じゃない。あんなに私達に恐怖を与えてさ」
「へ~、アタチ聞きたいわよ❤」
そんな中、僕は手を上げた。
「あの~、そろそろ話しを進めません?」
僕の意見は皆に届いた様だ。
「それで僕はどうするかだけど、帰るね」
「戻ったら、この世界に帰って来れないけど………でも、ルキアは何で帰ろうとして出来たの?」
Pちゃんの言葉にジェイが応える。
「赤くなる前だから出来た。だから、リンクは………と、言いたいが。リンクなら戻ってこれる。でも、これからの君の人生だ。きっと扉はそれを優先するはずだ。エルフの血の混じった君は………戻って来たければ、戻れると思うが、ルキアが望まなければ………ここで、お別れになるだろうな」
ジェイの言葉に納得するしかない。
「Pちゃん、今までありがとう」
「リンク、私はきっと………貴方が帰ってくると思っている。でも、今はPとして何もしてあげられなかった事を後悔しているわ。でも、私は向こうの世界に行けない。ドラではないから。だから………いえ、ありがとう」
異世界と現実世界………エルフの彼女は僕の世界に来れないのか。いや、あの扉の近くで会った以上、あれ以上は来れないんだろう。
「ドラ、リンクの約束………貴方が変わってくれるのね?」
「うん!社長は殺しておく」
「失礼ですが、このアリーナは後三分程度で崩れます。「サイド・ストーリー」の術が切れる前に別れを済ませて下さい」
セイレーンが言うと、Pちゃんが手招きをした?
「リンク、おいで❤」
「P………ちゃん?」
彼女は僕を座らせて抱き締めた。
「見送りはしないわ。でも………ライブはコチラの世界でも流すわ。絶対ライブを成功させてね、約束よ❤」
言って、Pちゃんは口にキスをしてから………そしてオデコにキスをした?
刹那、服が光る………でも、さらに強く抱き締められて、服が見れなかった。
「リンク、今度会うときは………❤」
次は無い………でも、もう一度口にキスをくれた。
「うん、Pちゃん」
「もし、会えるなら………私がちゃんとプロデュースして上げる。この名プロデューサーのお姉さんがね❤」
顔は見えないけど、僕はその意味を知っている。だから、頷いた。
「1人前のアイドルにしてね、Pちゃん❤」
「分かっている❤だから、今はバイバイね❤」
「セイレーン、僕に力を貸してくれる?」
「うん❤ルキアに言われている❤」
「ドラ、セイレーン、任せたよ」
「Pちゃん、ボクに任せて。セイレーン、やるよ!」
「アチキの本領発揮!」
その言葉を聞きながら意識が消えていく………。
⭐
「エイミー、君は大人になったな」
草原に居るのはPちゃんとジェイの2人だけ。そんなPちゃんは背を向けている。
「子供じゃないもの」
「リンク………良い子だったな」
「ええ。リンクは良い子よ。それに、祖父母を殺してないんでしょ?」
「そうだ。2人はリンクを奴から守って死んだ。証拠も捏造されたガセ。殺したのは………例の社長の依頼した男達だ」
「その男達は誰が殺したの?」
「ドラだ。時や次元の中を動ける彼だ」
「フフフッ❤向こうの時間をイジれても過去には行けない。流れに時間を取り戻せない能力。そんなの、私だったらいらない」
「彼を責めるな。それに………全てをいっていない」
「ジェイ、リンクの父親を知っている?」
「アルバートだ。アルがリンクの父親だ。だから、ルール上アルバートは村に帰れない」
「フフフッ❤ザマァみろ!」
「Pちゃんは泣いてくれるんだな」
「私は帰るわ」
「故郷にか?」
「妹達も待っているからね」
Pちゃんは荷物を持った。
「ジェイはリンクの事を好き?」
「抱き締めたかった………リンクを」
「珍しいわね。貴方が泣くなんて」
お互い顔は見ていない。でも、2人はわかり合っていた。
「そうだな」
「さよなら。私はこのまま行くわ」
Pちゃんは笑いながら泣いていた。
「リンクはアイドルに成れるかな?」
「私が保障するわ❤リンクは一流のアイドルになってくれる!」
Pちゃんは歩き出し………ジェイはその背中を見送った。




