25 思い出の欠片(前編)
僕は………ここは東京か?
「リンク、ここは貴方が産まれる3年前の東京よ」
「ん?Pちゃん!?」
僕の隣にはPちゃん………そして、ドラが立っていた。
「ドラ、どうして………?」
確か、別の所で戦っていたはずじゃなかったのか?
「ボクの知っている事もリンクに伝えたくてね」
「………呪いと関係あるの?」
「うん。血を浴びるとリンクの記憶がね」
「戦ったから血は………」
「ううん。リンクが浴びるとかじゃなくて、血の記憶に触れる………って意味だよ」
僕には分からないけど………。
「リンク、見てみなさい」
Pちゃんの指さす先には、ギターを持った少女が………。
中学生?
幼い少女がギターを弾きながら歌っていた。とても、上手な少女………あれはママだよな?
その少女の前には………誰1人立ち止まらない中、スーツ姿の若い男性が見ていた。
でも………アレって………あっ!?
「Pちゃん、何で社長が!?」
「全ての始まりよ」
僕は2人に目をやる。
ここは………僕のデビュー前に歌っていた、駅のロータリー。
誰1人立ち止まらない中、社長は拍手をしていた。
「君、名前は!」
目を輝かせる社長に対して、少女―――ママは苦笑していた。
「ルキア。お兄さんはだーれ?」
「俺は、ただ君のファンだよ」
「お兄さんしか聞いてくれないね❤」
ハニ噛むママは彼に目を向けている。
「君の歌は日本中に届くはずだ!どうかな?俺と一緒にレーベルを立ち上げてデビューしようよ!」
「フフフッ❤気持ちだけで嬉しいよ❤」
「本当だ!君とならきっと全てを変えられる!」
社長は僕にも似た事を言ったけど、もうその時にはレーベルが立っていた。
そして、ファンを捨てる事を………今まで応援してくれたファンを捨てる事を条件に………。
「場面が変わったわ」
Pちゃんに言われて気付いた。
雪………空からは雪が降っていた。この東京では珍しいな………。
「ルキア、待ったかい?」
「ううん。大丈夫❤」
2人は雪のコンビニの前に居た。
「コレしか無かったから食べてくれ」
社長の手にはオニギリが1つ………でも、コンビニの中には他に売っているのは分かった。
「フフフッ❤お金が無いのは一緒だよ」
「いや………俺は………僕は腹が減っていないんだ」
笑う社長………僕は………。
「じゃあ、半分っこにしよう❤」
「うん、そうだね」
社長はオニギリを半分にして………具の入っている方をママに渡した。
「コレって………」
困惑するママに対して、社長は嬉しそうに笑った。
「ルキアの笑顔が最高の具だよ❤」
2人の………思い出か………。
「リンク、変わったよ」
ドラの声に場面が変わったのが分かった。
そこは………事務所の中………僕の知らない小さな事務所の中だった。
「この衣裳カワイイー!❤」
「ルキアにはこの赤のゴスロリが似合うと思ったんだ。この衣裳を着てアリーナに立とう!」
「だいぶ、話しが飛んでいる様ね」
「Pちゃん、ルキアは見せたい所を見せているんだよ。それは彼女も納得済みだよ」
「………彼女?」
僕が首を傾げると、Pちゃんは優しく笑った?
「リンクに助けを求めた彼女よ❤」
「………セイレーン!?」
「ええ、このセイレーンがそうしました」
誰かが………レザーの水着にマント。そして、オーバー・フロント・サングラス………変態だ。
「リンク、怒りますよ❤」
「ごめんなさい」
僕は彼女に謝った。
「それよりも、セイレーンだよね?もしかして、僕の心が読めるの?」
「はい。分かりますよ。それに、目が胸にいっていますね。まあ、それはリンクの視線を見れば分かりますけど❤」
「………話しを戻そう」
Pちゃんを見ると、子供を見る様な目を向けていた。
「セイレーン、川村さんは居ないけど?」
「彼女の視点で物事を見ているからです」
「なる程ね。………つまり、オニギリの場面も?」
「それはドラの目です」
「つまり、色んな人の目で見ているんだね?」
「リンクは物分かりが良いですね❤」
笑うと美人だと分かる。スタイルも良く、長い黒髪が綺麗だな。
「セイレーン、助けられなくてご免ね」
僕はセイレーンに謝罪したけど、彼女は笑っていた。
「ルキア様の前に現れ、彼女と戦った。それがセイレーンの願いであり、救いなんですよ❤」
「ママは………次を見せて!」
僕は立ち止まれない。ママの次を見なくてはならないんだ!
「ここです」
セイレーンの言葉で場面が変わった。
ここは………アリーナ!「サウンド・アリーナ」じゃないか!?
「全ての約束はここから始まったんです」
セイレーンの指差す方向にはママと社長が居た!?
そして、その場所は………楽屋だ。
「社長!何でこの日でルキアは引退で、「レイン」として活動しなくてはならないの!?」
ママは泣き顔だ………。
「ルキア、今夜のライブは引退ライブだと言ったろ?そして、ルキアは顔出しのしない存在になるんだ」
「ルキア………シンガーだよね?」
「いや、顔出しのしないアイドルだ」
「ルキア、そんなの望んでいない!」
―――パンッ!
「ルキア、君は架空のアイドルだ」
ママを殴りやがった!………なのにアイツは………笑みを崩さないなんて!
クソっ………。
「アイドル………何で?」
「君は架空のアイドルを1年だけして引退する。そして、「レイン」の名前は終わってからも続く………このネットの中にね。それが俺の………いや、ボクの考えだよ」
「………プロデュース?」
「そうだ。もちろん、君はその後も曲を作り続けるんだ」
「ルキアが曲を?」
ママはショックだったんだろう。泣き出している。
「ただし、ボクの妻としてね」
「………はい」
震えている………何が?アレだけ強いママが震えている!?
「リンク、この後は少し休憩しましょう。そして、1年後を見せます」
僕をPちゃんが抱き締めた。僕は………何も出来ない………。
この後、昼に更新します。続きを読んでいただければ嬉しいです。
ルキアの全容が分かると思いますが、続きも読んでいただければ、ルキアと社長の関係が分かります。




