23 母親
「リンク。………リンク、起きなさい」
女性?女の子の様な声………。
僕は戦っていたはず………いや、戦っていたんだけど?
「記憶が現実と繋がると、誰でも混雑するよね。でも、ここは夢の世界じゃないわよ」
目を閉じているのか?何か………ぼんやりとしている。
僕は目を開く………と、僕には光りが射していた。いや、これはスポットライトじゃないか?
そして………気付いた。
ここはステージの上!?それから30秒は経っただろうか………ここがアリーナのステージだと気付いた。
「リンク、コッチよ」
僕は声のする方を………見て、涙が流れた………。
「母さん………」
あの絵の女性………なのに、女性は首を横に振る?
違うのか?でも、城で見せられた女性だぞ?
「リンク………母さんではなく、ちゃんと「ママ」と呼びなさい」
「呼び方ですか?」
そのママは………フリルとリボンを沢山あしらったゴスロリ………いや、母さんの着ていたステージ衣装に似ている!?
そんな女性………いや、少女は………母さんの様な気がしなくも無い。それに、僕の顔に似ている。
だから、そんな僕の顔に似ている少女が言うと、何かイラッとした!
「さあ、ライブを始めましょう❤殺し合いと言う名のライブをね❤」
―――ギンッ!!
み、見えない!?僕は持っていた剣で流したけど………いや、僕は上半身の力で立ち上がり、すぐに後方に退いた!
「ちょっと!母さん、待った!!」
「ママ!本当に覚えの悪い子ね❤」
イラッとしますよ!
僕は力で押してくる母さんの剣を押し返して、水面蹴りでママを転ばす………けど、スカートが転んだ拍子に捲れて!
赤のガーターベルト………。見たくなかったよ、自分の母親のセクシーな下着姿はさ……。
「ママ、子供としては、その下着は見たくなかったよ………」
「照れちゃった❤」
ペロッと舌を出すママは………確かにアイドルかもね。
でも、戦いにくい………。
「よーし、ここからはママも本気でいくね❤いっぱい遊んであげるよ❤」
ママは座ったままの状態から開脚で、後方へ宙返りした!?
サーカスかよ!どんだけ運動神経が良いんだよ!?
「さあ、おいで❤」
両手を開くのかと思ったら、そのまま両手で剣を構えた………。
「感動の再開は無さそうだね?」
「そうよ❤これは、ママとリンクの戦いだから❤」
意味が分からん………と言うより、ママはマジか!?
「ちょっと、待ってくれよ!」
「彼女達は納得しているよ」
ママの指の先には………Pちゃんとアルバート?に似たエルフが立っていた?
「リンク、戦うのよ!」
「Pちゃん、そんな事を言ったって!?」
「死にたくないでしょ!」
無茶苦茶だよ!何で母さん………ママと戦わないといけないんだよ!
それに、ジョー達はドコに行ったの?
「ほーら、ママからのプレゼントよ❤」
背中がゾクッとした次の瞬間、僕の身体が飛んだ!?
「………クッ!?」
身体中が痛い!何が………そうか。僕はママの剣の腹で殴られて、そのまま吹き飛ばされたんだ!!そして、客席まで転がった………凄く痛い!
「リンク、ママは本気を見たいな❤」
「ママ、子供には………ゲホッ!!優しくするもんだよ………」
血が出てんじゃん!?
「優しくしているよ❤」
母さんが………ママが悪魔に見えるのは何で?楽しそうに座ってアイドル・スマイルを浮かべるママは………キツいっすね!
「リンク、プロデュースするわ!」
Pちゃんは………さっきは居たのに、今はドコに行ったのか?マイクを使って居るようだな。
「まずは、術を封印して、全ての魔力を身体中に巡らせて!」
「魔法なんて使った事ないし、分からないよ!」
「集中しろって事!!」
Pちゃんって怒るんですね?でも……どうすれば?
「集中って………下半身にしか分かりません!」
「バカ!!ライブをする時みたいな集中力よ!!」
Pちゃんに怒られた………。
「リンク、心だよ」
倒れている僕を見下ろしていたのは男のエルフ。
いったい誰なんだろう?アルバートに似ているけど、外人の顔の見分けなんか出来ないよ。
「貴方は誰ですか?」
「ジェイだ。このワタシを信じてくれ」
僕は立ち上がり、ゆっくりと近づく母さんに剣を向けた………けど、母さんは立ち止まる?でも、その手の平には小さな炎が………!?それは大きくなり、母さんは満面の笑みを浮かべる!?
ま、まさか!?
「バーン❤」
火の玉が五つ現れて僕の方に向かって来た!?
僕は躱しつつ、1つは剣で斬った!
すると、その炎は爆発した!?
僕は吹き飛ばされて、気を失いそうになる………けど、僕は更に吹き飛ばされていた!?
「リンク、起きなさい!」
ママ、少しスパルタすぎません?
「Pちゃん!助けて!」
「仕方ないわね!」
言いながら、僕の後ろに現れたPちゃん。
「私はPなんだから、ステージでは自分で演りなさいよ!」
Pちゃんもスパルタなのね………クスンッ!
「何をどうすれば良いの?」
「今回だけ、特別よ❤」
いきなり、Pちゃんの顔が!?………Pちゃんの唇が僕の唇を塞いだ!?
つまり………キスをされたんだ!?
初めてのキス………Pちゃんに奪われちゃった。
しかも、ママの前で!?そして、唇が離れてから僕の頭の中に何かが流れた?
「………ん!?………なんか……」
分かる!?そう、ライブの前の緊張感を吹き飛ばす為に、僕は観客と同じ気持ちになって………。
そう。一体感を生み出す為に声に出す気持ち!!観客と一緒になって喜びを分かち合う為に練習した気持ち。
全てを吹き飛ばした時の、ステージのスポットライトへの憧れ………あの頃を思い出す、初めてのライブを見た時の気持ち。
そうか………心だ!
「リンク、術は使わなくていいわ❤でも、その代わりに魔力を身体に合わせる、身体強化の術である「パフォーマンス」を使いなさい❤」
そう。Pちゃんの言いたいのはパフォーマンスだ!
ライブで重要なのは自分で見せられる最高の力!
身体中に力が………パワー、スピード………ママを越えてみせる!!




