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異世界にリンク 裏切りのゴースト  作者: 八神月影


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20/28

20 全ては彼が知っている。

 リンクはPちゃんの腕の中で眠っていた。泣き疲れたんだろう。


「ドラ、リンクを術で寝かせたね?」

「正解だよメイ。でもね、仕方ないよ」


 ドラは皆を見回す。


「だって、レインとルキアの関係性を皆は知りたいんでしょ?あの場では言えないよ」

「じゃあ、誰がドラを監視しているんだい?(・・・・・・・・・・)」


 エリックの中には、それは1人しか居ない。そして、出来るのは1人だけ。でも、エリックの言葉に皆は気付いて、本人の口から聞きたかった。


「色々とあったからね。でも、それをアルが教えてくれるよ」


 皆は気付いた。気配が生まれた事に。


「ルキアとレインは同一人物よ(・・・・・)」


「………どう言う事?」


 メイは首を傾げるが………アルバートは座った。でも、そんなアルバートからは殺気を感じないから納得をした。


「同一人物ってどう言う事?」

 メイは用心していたから、ナイフを握っていた。それはジョー以外は皆一緒だった。


「ルキアのアイドル・ネームが「レイン」だったからよ。だから………ルキアはアイドルを演じる様に言われていただけなのよ」

「演じていた?」

「そうよ、メイ。彼女には俗に言うセルフ・プロデュースで、向こうの世界での芸名「レイン」を名乗ってアイドルを演じていた。だから、リンクは知らないのよ」

「なる程ね。スマホって言ったっけ?Pちゃんの言っていた、リンクの持っている全能の機械?それで調べられなかったのは?」


 エリックの目はジョーとPちゃんを交互に見た。


「俺は詳しく知らないが、アルとドラに聞いたよ。そして、分かった」


 ジョーはタバコに、焚き火の枝で火をつける。


「ジョー、あんたは色々と考える時は酒なのに、タバコに逃げるから気になっていたんだけど。アタイ達を騙したのか?」


「メイ、エリック、コレはアルがカレンから逃げる為だ」

「理由は?オレ達にも教えてくれる?」

「エリック達の想像は分からないけど、コレからリンクを向こうの世界に帰すわ」


 アルバートはハッキリと言った。


「死神は?」

「ワタシ達で殺るわ。エイミー、そうでしょう?」


 Pちゃんはアルバートを睨む。


「アル、私はあんたがムカつくわ。でも、全部を言ってくれたら好きになるかもね」

「嬉しい。なら、教えて上げるわ」


 アルバートは酒をリュックから出して、瓶で口の中にウイスキーを含む。


「表面上には現れないけど、国王派と政治屋………まあ、大臣の間に衝突が見え始めていた。それがカレンだ。奴は父の為にリンクを利用したいんだよ。………父親を生き返らせる為に」

 アルバートの口調は男のそのものだった。


「………リンクの身体に自分の魂を……「反魂の術」を使う気なのかしら?」

「正確にはリンクの子供にだ」

「つまり、リンクとの子供を作るの?」

「ああ。セルフ・プロデュースをして、アイドル全てを支配するのよ。Pちゃんなら分かるでしょ?」

 アルバートの口調は元に戻った。

「魔王降臨の再現………魔王リンクの再現ね?」


「「………!?」」


 エリックとメイはリンクを見た!?が………Pちゃんは首を横に振る。


「かつての魔王の名前が「リンク」を名乗っていたのよ。「繋がる(リンク)の名前をね」


 Pちゃんはアルバートを見た。そんなPちゃんにアルバートは微笑む。


「ルキアは彼を殺す時に彼の名前、「リンク」の名前を受け継ぐ事を約束したわ」

「アル、ドラ、ルキア………生き残った3人で何を話し合ったの?」

「1つ。リンクを血に染めないと約束したわ」

「他にもあるのね。まあ、リンクにモンスター退治の仕事を持って来ようとしたら、受付に断られたのは………アルが裏で画策していたのね?」


 アルバートは頷いて酒を呷る。


「リンクはファンタジーの世界に来たけど………思う様にいかなかったでしょうね。でも、ルキアに似すぎていたから、王も止めていたわ」

「早く言って欲しかったわ」

「ただ………リンクに会いたかった。それだけなのよ」

「そう。アルらしくないわね、ドライなのに」


 Pちゃんはアルバートの目に、焚き火の反射で光る涙を見た!?でも、今はPちゃんはリンクに目を向ける。


「他に知りたい事は?」

「カレンはどうするんだい?」

 エリックの口元は笑っていた。

「殺すわ。そして、死神を倒し、ゲリラと共に国を取り返すわ。そして、王に再び立って貰う」

「町に変化は無かったよ?」

「違うよ、メイ」

「何が?エリック、教えてよ」

「本当の戦争の足音って言うのは静かなものなんだよ」

「………アタイは知らないぞ?」


 ジョーは酒を手に取る。


「メイ、俺とエリックは傭兵だ。だから、よ~く知っているよ。つまり、情報が必要だ。それと時間もな」

「リンクに関係するのか?」

「メイ、狙いはリンクなのに、そのセリフは良くないぜ」

「ジョー、リンクは狙いかもしれないけどさ、戦争とは関係無いだろ?」


 ジョーは酒に口をつける。


「あるよ。「心の扉」は世界に7つしかない。そして、その1つが俺達の国。その扉を守る為にギルドがあの場所に建った。でも、扉の許可が無ければ開かない。そして………」


 エリックはアルバートを見た。


「もう一つ方法がある。それは鍵だ。そして、その鍵を持っているのはアルバートなんだよ」

「そうよ。でも、その鍵をカレンが隠したわ」


 メイは酒を吞んで、ナイフではなく杖を持った。


「殺してくんよ」

「待てよ、メイ」 

「止めんなよ、ジョー!」

「お前らしくねぇな」

「アタイは何時でもこうだよ!」

「昔の傷か?」

「………リンクには笑っていて欲しいんだよ」


 涙のメイ………。


 ジョー達は夜空を見上げた………。そして、ジョーは笑った。


「メイ、それを人はファンって言うんだぜ」

 そんなメイの口元が緩んだ。

「夢も希望も無かった。曲を聴いても何も感じなかった。でも………リンクの曲はジワジワとくんだよ。今すぐにでもリンクを起こして歌って貰いたいんだよ。………ファンとして」


「良いよ」


 皆の目は………リンクに向いた!?

 ドラがそんな時、水晶で曲を流し始めた………。


 リンクは………大きな夜空の星々が照らすステージで歌ったのである………。


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ルキアとレインが同一人物。 アルバートは、裏切っていなかった! リンクは寝ていなかった?全部聞いていた? リンクは、いったいどんな気持ちで………。 でも、全部リンクを守るため。 カレンはいったい…
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