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異世界にリンク 裏切りのゴースト  作者: 八神月影


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19/32

19 消えない月

 僕達は馬車に揺られていた………。

 それも、かなりの速度で。そんな中、Pちゃんは一息ついた。


「ジョー、追っ手は?」

「アルだ。それとカレンの部隊も居る」

「エリック、ご免ね」


 馬車を動かしているのはエリックだ。


「気にしないでね、Pちゃん。無職になっても、次の職場は戦場があれば、あるからさ」

 

 エリックらしい発言だな。


「ハハハッ!まあ、皆で動けばいいさ」

 ジョーは火の点いたタバコを銜えながら笑っていた。そして、そんなジョーの肩にメイが手を置いた。

「子供の頃を思い出すね❤」

「ああ。子供の頃を思い出すぜ!」

 皆は笑っていたけど………今は何が起きているんだ?僕には分からなかった。


「Pちゃん、いったい………?」

「リンク、全てを話すわ。だから黙って着いてきて」


 母さんの事………知りたい。


 ⭐


「ここまでは大丈夫だよ」

 僕達は焚き火を囲みながら、夜目のきくエリックの言葉を聞いた。

「アルが向こうに回るとはな。笑えるぜ」

「ジョー、いったいアルと何があったの?」

 Pちゃんは辺りを見回す中、ジョーに聞いていたけど、ジョーの顔は少し怒っている様子を見せていた。

「リンクの事で折り合いがつかなくなった」


「僕の事で?」


「ああ。俺達はリンクを異世界アイドルとして生きて欲しいんだ。アルもそうさ。でも、カレンは久しぶりの自爆兵器として使ってでも「青い死神」を倒そうとしている。………リンク、悪いな」


 そんな事か………死ぬのは怖くない。でも、こんな時にどんな顔をしたら良いか分からない。


「リンク、サンドイッチを作っておいたから食べなよ」

 

 メイはバスケットを取り出した。


「ありがとう、メイ。でも、君も………」

「いや、食べない。それよりも、アタイはカレンを止めようとしたけど………アイツは狂っちまっている」

「ご免ね、メイ」

「リンクが謝る事じゃないよ。悪いのは国を動かす政治屋とか、軍部の連中なんだからさ」


 メイは………優しい目をしていた。


「王様じゃないの?」


 皆は首を横に振った………。


「エリック、メイ、首尾は?」

「オレの部隊がジョーの部隊を使って王様を連れ出したよ」

「アタイの部隊は他の人達を連れ出した。正直、ドラが居なかったら失敗していたよ」


 ジョーは軽く笑っていたけど。突然、ドコにでもなく。


「おい!ドラ、居んだろ?来いよ、お前が居ないと話が始まんねぇから!」

「皆、コレを吞んで」


 振り向くとドラがリュックを持って立っていた?


 気配すら感じないなんて………凄いかも。


「ドラ、酒か?」

「そうだよ、ジョー。この手の話しの時には酒が無いと手が震えるんだろ?アルコール中毒になる程の地獄を見てきたから」


 リュックを皆の前に置くと、ドラは僕の隣に座って、僕の手を握った?


「全ては100年前に始まったんだ。上級モンスターを倒すには、この世界のアイドルだけでは手が足りない。そこで、戦力を求めて、プロデューサーと言うのを使ってスカウトに行ったんだ。でも、その力が異世界アイドルは上で、何時しか異世界アイドルが主導する様になった。そして、生まれたのが魔王」


 優しげな目をドラは僕に向けた?


「つまり、人と言うのが悪い癖を見せたのさ」

「つまり、魔王と呼ばれるほどに異世界アイドルが悪い事をしたんだね?」

「リンクは物わかりの早い子だね。そうだよ」

「じゃあ、その魔王を母さんが倒したんだね?」

「うん!色んなアイドルが居たよ。数は20人。最強の部隊「ルキア親衛隊」の結成さ。リーダーは………アルバート………アルだったんだ」


 ドラの目に涙が………。


 そんなに悲しい表情をするなよ。


「でもね、魔王を倒す為に、ボク達は魔王と同じ事をした」

「同じ事?」

「術式の名前は「タイム・ボム」。他にも「スーサイド・ボム」………色んなのを使って………アイドル達は死んでいった。異世界アイドルを………同じ国の人間を、同じ国の人間で殺させようとしたんだ」

「そうか………」

 重い話しだけど、そこには帰られなかった人達が………。

「リンク、死んでくれた異世界アイドルや、コッチのアイドルは自分達アイドルが許せずに戦ったんだよ」


 ドラはきっと目の前で見てきたんだろう………。


「母さんは?」

「皆は魔王の所まで着けなかった。でもね、あの日ルキアは親衛隊のお陰で奴の前に立ったんだ。そして………ルキアとボクと………アルバートが生き残ったんだよ」

「他のアイドルは………」

「ルキアの為に、皆の為に死んだ。でもね!皆はルキアの為に死ねて嬉しかったんだ!………分かる?」


 僕は首を横に振った………。


「皆がルキアのファンだったからだよ」

 

 ドラの笑顔が滲む。そんな顔を見ている僕にPちゃんが抱き寄せた?


「リンク、泣くなら私の胸に来なさい」

 

 僕はPちゃんの胸の中で泣いた………。

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― 新着の感想 ―
ドラの話しは、何だか………胸が痛いです。 リンクには、とてもつらい十字架を背負うことになるのでは? それと、アルはカレンの方についたんですね。 何だか……残念です。
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