18 悲しさの向こう
僕はあの後、1人で部屋の天井を見上げいた。
ベッドの上から見る電球が点いている。何でも、魔力で電気を作っているそうだけど、そんな僕には強大な魔力があるらしい。
もう夜………Pちゃんはドラと話があるらしく、外に出て行ったきりだ。
食事は久しぶりに食べた。
金は………Pちゃんがくれた。だから腹が減れば何時でも食べられる。
そんな中………。
色々と考え、答えは出なかった。
操り人形に答えがあるなら、その答えは今の僕だろう。
心の無い人形………いや、思いがあるなら、その人形は幸せだよ。
―――コンコンッ。
Pちゃんか?………ジョーかな?
僕はドアを開けた………。
「どうしたんですか?」
「入って良いですか?」
カレンだった。
僕はそんな悲しげな表情のカレンを部屋の中に入れた。
「どうしたんですか?」
「怒らないのね?」
「怒られたいですか?」
「何を言われても文句は無いわ。だから許してくれとは言わない」
彼女は言いながら制服を脱いでいき、最後は下着姿になっていた。
僕はあえてそれを止めなかった。そして、そんな彼女の意図は分かっていたから、そこで僕は言う。
「何をしているんですか?」
「下着位は脱がしたいでしょ?」
髪を纏めながら言う彼女は、それが償いになると思っているのだろう。でも死んでいった者は戻らない。
「何を考えているんですか?」
「分かっているでしょ?貴方の好きにして」
彼女の瞳に自分は無い。
「指示をしたのは誰ですか?」
「言えないと言っても………皆が決めたと言っておきます。でないとリンク様は納得しないから」
「ジョーの話し?」
「彼が話したのは、リンク様が許せる話しにすぎないわ。だって………本当は………」
涙が溢れる彼女の事には僕は触れない。そして、続けた。
「カレン大佐のお父さんの話しでしょ?」
「わたくし………何も知らなかった。何も知らずにチヤホヤされて育った。人の心を踏みにじるお父様………わたくしは素晴らしい人間だと自慢していたの!!」
僕には言えない。僕もファンを裏切ったから。でも、傷をなめ合う気は無いよ。
「口に出来ない事をしたんだね?」
「最初………資料を見て気付いたわ。それがリンク様に会う3か月前。ココには20年間アイドルが来なかったから資料を読まなかったの。でも………ルキア様の事を聞いて、そしてリンク様が来たからわたくしは初めて知ってしまったの」
「母さんの事を聞かせてよ」
「結論を言うわ。ルキア様は、この国でアイドルになる予定だった。でも………生き残ったのは初めてだから迷ったんでしょうね」
カレンは遠くを見詰める………。
「使い捨てのアイドルを異世界アイドルと呼んだのに、ルキア様は真のアイドルとして「異世界アイドル」の初代になったわ。でも………彼女は帰ってくるなく、その名は再び現れるであろうアイドルに付ける事になったわ。それが20年前」
「でも、誰も来なかった。そして、「心の扉」は開く事は無かった」
その声に僕達は振り向いた。
「Pちゃん!?」
この状況はマズいか?
でも………Pちゃんの目は僕を向いてはいない。
「カレンの父親はその件に罪を感じたから「心の扉」に自分の血を塗ったらしいわね」
「聞いたんですね?」
「白と聞いていたのに赤になっていた。ってドラから聞いたわ。そして、ジョーが全てを語らない理由も」
そして、Pちゃんは僕を見た。その目は優しいものだった。
きっと、僕に全てを伝えてくれるだろう。
「リンク、本当はこの世界で連日戦って貰う予定だったわ。でも………Pとしては戦わせられないわ」
「Pちゃん、何でって聞いていい?」
「カレンの口から言わせたいわ。使い捨ての意味をね❤」
Pちゃんの言葉にカレンは震えていた?でも、確かに彼女の口から聞きたいのは本当だ。
「そ、それは………」
「使い捨てまで言ったんだから誰でも分かるわ。でも、リンクに伝えて。ルキアも同じ理由だったと」
Pちゃんの声が冷たくなる理由はそれとなく分かった。だから、僕はその怒りを堪えてシーツを掴む!
「自決………自決用の人材。異世界アイドルにしか出来ない………生きた爆弾です………」
こんな時、僕はどうしたら良いんだろうね?
「リンク、決めて。カレンを殺して帰るか、このまま明日の夜に皆と戦うか?」
決められない………僕はPちゃんを見ると、口元を緩めて「フッ」と笑った。
「リンクが私をPと思うなら、私が決着をつけてあげるわ」
Pちゃんは剣を右手に生み出した。
鈍く光る剣は血を吸っているのは分かった。それも、かなりの数だ。
「良いわ………カレン、出て行って!」
叫んで、Pちゃんは僕を抱き締めた!?
「カレン、貴女………Pの資格を分かっていて取得したわね?」
「………気付いていたのですね?」
「演技が上手じゃない。役者にでもなったの?」
「フフフッ………ハハハッ!女は生まれた時から役者でしょ」
カレンの声が………そうか。僕は騙されていたんだな。
服の着る音………何か笑えるよ。
「明日はよろしくね❤リンク君、Pちゃん」
「ヘドが出るわ!出て行って!」
ドアの音………出て行った様だ。
笑えるよ………でも、今は泣きたい。
「ご免ね。プロデューサーを簡単に考えていたわ」
「Pちゃん、僕は誰を信用すれば良いのかな?」
「私の仕事は信用出来る仲間を集める所からね。リンク、私をPとして信じてくれる?」
「信じているよ」
「この世界を変えましょう」
「うん、Pちゃん!」
「いい子ね❤」
頭を撫でられた。
「ジョーの所に行きましょう。信用出来る者を集めて待たせているから、荷物を纏めて」
僕は頷いて荷物の入ったリュックを持って、下のギルドの食堂に向かった………。




