12 1つの答え
何も聞けなかった………。
そんな僕の中には謎しか残っていないのは確かだった。そして、アルバートさんから聞けた事にもはぐらかされてばかりで、意味は無かった。でも、初めて母さんを見た………嬉しかった。
今は、僕達はギルドに戻ってきていた。
夜になり、食事を済ませ、他の皆と話をした。けど………何も分からない。
でも、Pちゃんは僕に呪いが掛かっていると言ったけど、何の呪い何だ?
皆が引けると、ジョーが酒を片手に僕の前の椅子に腰を下ろした。
「呑めよ」
ジョーがグラスにウイスキーを注いだ。僕は1口呑む。
うん、ウイスキーだな。それは向こうの世界と変わらない。
アルコールの度数が少し高いから、腰を取られない様にしないとな。
「リンク、レインの話をする」
彼はサングラスを掛け直して、言ってからウイスキーを1口でグラスを空にした。
「ジョーの知るレインの事ですか?」
「彼女は世界を変えた。いや………人の考え方を変えたんだよ」
「どの様に?」
「異世界アイドルは物じゃないっててな」
「人ですからね」
「俺も命を掛ける。でも、傭兵でも物になったつもりはねぇ。でも、それが自分が選んだ仕事なら命を掛ける」
そこに、背後から気配を感じた。
「オレもだよ」
「アタイもだよ」
振り向くと、エリックとメイが酒を片手に立っていた。
僕はジョーを見た。そんな彼はテーブルの上のローソクの火で、タバコに火をつける。
「リンク、お前さんと腹を割って話をしたい」
「ジョー………。僕も本当の事を知りたいです」
すると、エリックとメイが空いている椅子に腰を下ろした。
「じゃあ、オレからだね」
「次はアタイかな」
エリック達は食べ物も用意していたのか?ウエイレスが無言で食べ物を置いていった。
サラダに、サラミ?コッチでは何というのか知らないから、サラミみたいな物はサラミと呼ぼう。そして、魚の茹でた物が置いてある。コッチの魚は向こうの魚と余り変わらない。
「リンクは兵士をどう思う?」
「国を守る人?で良いのかな?エリックはどう思っているの?」
「武器にもなる。そして、命に関しては戦場では銅価よりも安い」
「命がですか?」
「うん。今でこそギルドで金を沢山稼いで居るけど、最初の敵はモンスターと………人だったよ」
目が鋭くなった………きっと何人も人を殺しているはずだ。
「アタイは元々は奴隷だったよ。そんな奴を沢山見てきた。戦場で子供を拾って、兵士にして売る。コレがあたしの出所。だから親の顔も知らない。そして、使えなくなったら殺されるよ。だから皆が必死何だ。………生きるのに」
………重いな………平和な国では知らなかった事実なんだろうな。
「リンク、人には色んな人生がある。でもな………そんなの長くは続かない。そこに楔を打ったのがルキアだよ」
「最初はあたしも知らないけど、聞いた話しでは、奴隷よりも待遇が良いのは異世界アイドル」
「でも、危険なのはオレたちでは無い。アイドルなんだ。偶像の駒にして武器。だから、危険で死ぬ確率の高い仕事や、難しい仕事は異世界アイドルだったんだよ」
エリックとメイは酒を呑みながら、テーブルの上のローソクを見詰めていた。
「なあ、リンク。そんなの間違っているだろ?俺達の国の事なのに、何で異世界アイドルは捨て駒にされるんだ?」
「はい。ジョーの言うとおりです」
何も言えない僕に、唯一言えた言葉はそれだけだった。
「でも、まかり通っていた。人権って言うのは、下に何かが置かれた時に初めて使われると言った奴も居る。つまり、常に下に何かが居ないと、人は下に置く者を作るんだ。分かるな?」
「それに、異を唱えたのが母さんですか?」
ジョーは深く頷いた。
「魔王を倒す条件にしたのさ」
「ジョー、つまり母さん達はこの世界を変えたんですね?」
「恨みを買ってな。でも、誰も逆らえなかった、この現実を変えたんだよ」
「強すぎたんですね?」
3人は頷いた。そして、ジョーはグラスにウイスキーを注いで、一気に飲み干した。
「だが、アイドルは最後になったんだ」
「どう言う事ですか?」
「アイドルが最強だと教えたのが最初で、それっきり無謀なアイドルの呼び込みをこの世界がしなくなった。いや、怖れて出来なくなったんだ」
「何でですか?」
「………心の扉が開かなくなったんだよ」
ジョーは溜め息混じりに本音を言ったら、エリック達がジョッキのビールを口にして語り出した。
「オレ達の罪ですよね」
「アタイもそう思う。神様が怒っているんだよ」
「リンク、俺が思うに、人は人を下に置く事に怖れなくなり、罪と認識しなくなったら終わりが近付く。だから、人を認める事が大切なんだ。特に、害の無い奴にな。分かるか?」
「認める………」
「リンク、あたし達はリンクの事をアルから聞いているんよ。認めて貰っていない事も」
「認めて無い?………皆ドコまで知っているの?」
「リンクの曲だと知って、「ツイン」って奴等が歌っている事も、リンクがゴースト・ライターなのも、そしてさらわれるか、ダメなら命を取られる事も知っているよ」
メイの言葉に僕は固まった!?
「えっ………?ジョー、僕って命も断ったら取られるの?」
3人は頷いた。そして、僕は頭を抱える。
ま、マジか………。
「リンク、依頼を出しているだろ?何なら俺達が処理するぞ」
ジョーの言葉………迷う事はない!
「お願いします!」
「リンク、心当たりが無さそうだね?」
「うん。エリックは知っているんだよね」
「教えて良い?社長以外の人の事?」
「ああ。構わんよ。おーい!ビールを持ってきてくれ!」
ウエイレスに言うジョーは軽いな。
「リンク、相手は向こうの社長と、コッチの世界のアイドルだよ」
「オオゥ……デンジャー!」
メイは酒を呑みながら僕の肩に手を置く?
「リンク、あんたさ、ママの関係で恨みを買っているから、その辺だと思うよ。案外さ、話し合いって事で終わったりしない?」
メイさん………赤ら顔で言うと軽いですよ~。
「あり得るな。エリック、その手の情報は?」
「あれば言っているよ。だから無い」
「リンク、お前さんは何かあるよな?」
「何かって………何がですか?」
殺しの………件かな?
「ルキアと、お前さんの社長の事だよ」
「………どう言う意味ですか?」
口が早くなっていた。
「接点があるんじゃないかって事だよ」
母さん………に?
「なる程、曲を作る能力だね」
エリックの言葉にメイは頷いた。
「ああ。その社長がルキアの息子だって知っていれば拾うね。いや、ルキアが書けていたから、リンクに書かせるね」
「そうだ。リンク、社長とルキアの関係を調べるべきだ。そうすりゃ、コッチのアイドルの件も分かるかもしれないぞ。出てくりゃ俺達が殺ってやるよ」
確かに………調べるべきかも……。
「皆、知り合いに連絡をしてきます。それで何か分かるかもしれません」
僕は席を立った………。
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「ジョー、アタイはあんたらが言わないのは知っているけど、本当に黙っているの?」
メイは目が鋭くなった。
「リンクが社長の息子かもって話しなら言わないぜ」
「確証も無いからね。それに、命を狙っていたのも、メイは女性だから言いたくないよね。オレも言いたく無いし」
「エリックまでそんな事を言うの?」
エリックとメイの話の中、ジョーは立ち上がった。
「ちっと話をしてくる」
「情報通のアルに?」
「メイ、今はジョーに任せなよ。でも、アルに聞くのはいいと思うよ。どうせ、リンクには何も言わない様にしてたんだろうから」
「いいや。メイとエリックには悪いが、別の奴だ」
「「誰?」」
「ドラだよ」
メイとエリックは見合って驚いた!?




