11 宮廷アイドルのアルバート
コーヒーを出されて、僕達は飲んでいた。
そして、アレから少しして誰かが近づいてきた?
「ジョー、待たせたな」
―――しゃ、社長の声!?ま、まさか!?
振り向くと、そこには紳士的な男性が立っていた。声は似ているけど、小肥りの社長とは真逆な、ダンディーな紳士。
「キース王、元気そうだな」
「ああ。ジョー」
王様………彼はPちゃんを見た?
「Pちゃん、その彼がリンク君かな?」
「ええ、彼がリンクよ」
キース王は僕の手を取って握手をした。
「キースだ。リンク、よろしく頼む」
「は、初めまして!リンクです!アイドルをしています!」
「そうか………アルバート!」
「ココですわよ、王様」
目の前の空間が歪んだ!?
そして、1人の青年が現れた!?と思ったけど、ボーイッシュなホステスが現れた!?いや、それは失礼だな。でも、場末のゲイバーで一番美人なニューハーフと言えば言いのか?
でも、何でそう思ったかはスカートが惑わすのかな?いや、ハッキリと言えばケバいんだ。化粧の仕方を知らないというか?努力は認めますけど、僕の方が上手いですよ………と、言いたくなる。
そんなアルバートはドラを見た。
「あら、ドラも来ていたのね。久しぶりじゃない?もっと顔を出しなさいよ」
やっぱりゲイバーの美人さんだな。
「アル、元気していたか?」
「ジョーも正規兵に推薦されているんだから、たまには訓練に来なさいよ」
「俺にはガラじゃねえよ」
それと………僕の服を見てから、彼はPちゃんを見た。
「Pちゃん、貴女のセンスはワタシには無理ね❤」
「アル、後で表に出ろ」
「まあ、怖い。笑顔がニセモノに見えるわ~❤」
「口が悪いよりマシよ!」
そこでジョーが割って入った?
「お前らいい加減にしろ。何で何時もそうなんだ?」
ジョーは溜め息混じりに言った。
まあ、そんな感じだが。王は椅子に腰を下ろして頭を下げる?
「リンク、本当は君を保護する為にきて貰ったんだが、頼む………この世界を救って欲しい!」
「キース王、何かあったの?」
「Pちゃん、奴が来た」
「奴って………まさか、「青い死神」!?」
「そうだ。この間、奴が隣国の半分を喰った」
ジョーは苦い顔で手を上げる。
「キース王、それは何時ものパターンって事か?」
「そうだ、ジョー。国の半分を残して、恐怖を与える。そして、生き残った者の恐怖を最大限に喰う。後の話しはアルに聞いてくれ」
「皆に言っておくわね。タイミングが10年周期から、予告制になったようよ」
「そこで、ターゲットはこのガゼル国になったのか?」
ジョーが言うと、王はポケットから1通の手紙を出した?
「報告に寄れば、3日後には、この国に来るそうだ」
「Pちゃん、リンクの望みは?」
アルバートは僕を見ない。
「情報と殺しの依頼よ」
「分かったわ。ドラ、貴方も来てくれる?」
「うん、いいよ」
「アル、私も着いていくわ」
「分かったわ。Pちゃんはワタシ達と来て。ジョーは王の傍に居て」
「ああ。俺はココに居る。でも、無理ならやめておけよう」
「大丈夫よ。リンク、来なさい」
僕達はアルに着いていく………。
「リンク、お母さんの肖像画よ」
通路の中間にあった肖像画には、1人の美しい若い女性の絵………どことなく僕に似ている。
美しさと愛らしさの混じる顔………儚げにも見える、元気な笑顔。
「貴方は見た事はないでしょ?」
「………母さん………」
「リンク、貴方が生後3か月の時、ワタシの前で殺された。そして、貴方は川村さんに助けられたのよ。ルキア………彼女はワタシの腕の中で死んだの」
その時、アルの口は何かを………いや、言いたくない思い出の中に居るんだ。僕は黙ろう。
「リンク、ワタシ達は呪いのせいで色んな事が出来なくなったし、失ったわ。何だか分かる?」
僕は首を横に振っていた。
「ドラはワタシ達と一緒に魔王と戦い、歌う力を失った。ルキアは未来とレイン、そしてリンクを失った。そして、ワタシは希望を失った。それが現実よ」
何を言いたいのか………分からないけど、アルの顔から笑顔が消えていた。
でも、彼は何かを知っているはずだ。
「でも、ワタシ達はルキアの残したリンクのお陰で希望を持てたわ」
「僕の?」
何だ?
でも、Pちゃんが手を上げて居た。
「ねえ、今回のアイドルのオーディションの委員はアルだったのかしら?」
「ええ。だから、貴女………伝説のPの娘の貴女を呼んだわ」
「胸クソ悪いわね」
不機嫌そうなPちゃんに、アルは苦笑を浮かべた。
「理由は聞かないわ」
「ドラ、貴方は関わっていないわよね?」
「ボクはパフェが食べたい!」
陽気な笑顔のドラにPちゃんは溜め息を………つくよね。
「この話しは無かった事にするわ。アル、貴方の本音と用件を言って」
「リンク、ルキアの意志を継いで」
「どんなですか?」
「初めてルキアが来た、この国を守って欲しいの」
「………分からない事があります?」
何かを隠しているのは間違いない。だから、僕はそれを聞きたい。
「何かしら?」
「僕はここまで本心を聞いていません。アルバートさん、教えて下さい」
「誰もリンクを傷つけたくないの。でも、戦って欲しい。それだけよ」
「言って下さい。僕も男ですから」
アルバートさんは笑みを見せた?
「ルキアの魂を解放させるには死神を倒さないといけないの。あの、「青い死神」をね。だからといって、貴方だけに戦わせない。皆の悲願だったからね」
「分かりました。母の為ならやります」
アルバートさんは僕の肩を軽く掴んだ?
「リンク、この異世界にようこそ」
言って、アルバートさんは笑った?




