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異世界にリンク 裏切りのゴースト  作者: 八神月影


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10/29

10 ドラ登場

 乗り合いの馬車は石畳を軽やかな音を鳴らして進む。心地の良いリズム。最高のBGMだな………。

 ただ、お尻は痛いけど。

 でも風情があり、僕は好きだな。

 都内が僕には慣れた光景だけど………街並みは石がメイン。そして、この場所はヨーロッパの田舎の感じがする。今の人は………まあ、僕もだけど。観光で見にいきたい場所だと言える。


「リンク、アルの事を教えておくわ」

「はい、Pちゃん」

 Pちゃんの話しに耳を傾ける。

「アル………アルバートは宮廷アイドルのトップよ。歌って踊れて、戦える。アルバートはそれをマスターしている男のエルフよ。でも、彼でも異世界アイドルには勝てない。それが彼とリンクの差なのよ」

「異世界アイドルに勝てない?」

「死が問題なの」

 そこで、ジョーがタバコを僕に渡して勧める。

「そこからは俺が説明するよ」

 僕はそんなジョーを見ながらタバコに火をマッチで点ける………。

「この世界のアイドルは死ぬ事を許されない。理由はリンクの世界でも一緒だ。争いで死ぬ事をファンが求めないからだ」

「争い?………逆に英雄になるんじゃないですか?」

「それは独特な考えで、真のファンが争いでアイドルが死ぬ事を喜ぶのか?そして、この世界ではアイドルを別の名で「天使」と呼ぶんだ」

「つまり、英雄ではなくて、象徴として見られるですね?」

「首を取られりゃ死ぬ。それと同じく、アイドルはその国の………アイドルは国民にとっての首なんだ。親と言って良いな。そして、アイドルを殺された国は確実に滅んでいる。だから、仮でもアイドルが必要で、作ったのが死んでも困らない傭兵みたいな「異世界アイドル」って訳だよ」

「………何か分かりました。色々と」

 ジョーは一呼吸入れた。

「あの日までは」

「………?」

 あの日?

「リンク、「レイン」の話しは聞いたか?」

「名前だけは………」

「そう、レインは………彼女は、国民が神と呼んだ。何故なら魔王を倒したからだ」

「………倒した?」

「厳密には封じた。そして、モンスター達が余り動けなくなって平和が訪れた。でも、今は活発に動いているから、リンクが呼ばれたのさ」

 

 ジョーの笑みは、深く刻まれた皺が老兵の様に見せていた。でも、優しそうな表情………きっとジョーは生き死にをくぐり抜け、生きた証を残しているはずだ。そして、彼が生きた道なんだろうな。


 ―――刹那、馬車が急停車した!?


「どうした!?」

 手にはバスター・ソードを持ったジョーが前面に立ったけど、馬車の手綱を握っていたオジさんが目の前を指差した。その方向には、1人の青年が立っていた。

 美しい顔に無邪気さを入れた青年だった。でも、エルフには見えないし、どちらかと言うと、獣の様な………子犬か、ライオンの子供みたいに見える可愛らしい容姿の青年だった。でも、長い髪もそうだけど、アイドルの衣装が似合っていた。しかも、今のアイドルみたいな、王子様みたいな雰囲気をだしている。


 いったい、誰なんだ?


「よう、久しぶりじゃねぇか!」

 笑顔のジョー………まさか、この子がアルバート!?

「ジョー、元気!」

 いい声………無邪気さを声に乗せたらこんな子供みたいな青年なのかな?

「リンク、紹介するぜ」

 僕はジョーに引っ張られて………。

「ドラ、コイツは異世界アイドルのリンクってんだ!」

「えっ!?そうなの?久しぶりだね。この世界に呼んだんだ?」

「今から城に行くから乗れよ」

「うん!皆、よろしくね」

 ドラと呼ばれた彼が馬車に乗って来た。

「リンク、よろしくね。ボクはドラって言うんだ」

 なんか愛嬌があるな~。でも、嫌味が一切無いのは、この子の特性なのかな?

「僕はリンク。よろしくね」

 今は気になるけど、それよりジョーに聞かないと。

「それで、ジョーは「レイン」の話をしたの?」

「俺に聞くよりも、ドラに聞いた方が早いぜ。なんせ、ドラはレインと一緒に居た(・・・・・・・・・)しな」

「ドラさん………それは………」

「一緒に戦ったんだ。魔王相手にね」

「えっ………?」

「ルキアの事も知っているよ❤」

「母さんの事を………!?」

「だって、ルキアはレインのPちゃんの1人だったからね」

 そうだったのか………プロデューサーの仕事の1人………やる事があったなら、母さんなら出来るはずだ!

 全てが揃った………。いや、そう思っているだけなのか?

 でも、何で何も言っていないのに母さんの事を(・・・・・・・)話しているんだ?

「泣かないで、リンク君。ボク、何かしちゃった?」

 いかんいかん、何を泣いているんだ。僕はこんなに涙脆かったっけ?

「気のせいだよ。それより、僕の事はリンクって呼んで」

「じゃあ、ボクはドラって呼んで❤」

 可愛らしい子だな。僕はドラと握手した。

 

 ❤❤❤


 それから、僕は色々と聞きたかったけど………はぐらかされていた。

「ジョー、城に着きましたよ」

「ああ。皆、行くぞ」


 馬車を降りて、城門を抜け………城の中に入ると、長い通路を通り会議室に通された。

 初めての城の中なんだけど………今はそれよりも色々と聞きたい!

 でも、疑問ばかりで答えが1つも無い。ココに一体何があるんだ?この世界に何があるんだ?僕の呼ばれた本当の理由すら妖しく思えてきた………。

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