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スラム少女と人形騎士 スラムの少女は人形騎士の溺愛に翻弄される  作者: 宙色紅葉(そらいろもみじ) 週1投稿
スラムの少女は人形騎士の溺愛に翻弄される

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変人の狂気と間抜けな気絶

「ユニ! 避けて!」


 ライムの警告と同時に、ユニの方へ一本のナイフが飛んでくる。


 ナイフはベルアッテの意思が反映されているのか、刃ではなく持ち手をユニの方に向けているが、それでも高速で動く金属が安全なはずもない。


 ユニはライムに言われるまでも無く、ヒラリとナイフを避けた。


 すると、ベルアッテはますます発狂を進めていく。


「もらえ、もらえ、もらえ!!」


 絶叫し、次々に物品をユニへ差し向ける。


 大きな盾に古の騎士の勲章、上等な万年筆。


 どれも騎士団の団長に相応しい名品だ。


 しかし、当然ながらユニは何一つ受け取らない。


 四方八方から物品に囲まれても、全て華麗に避けて見せる。


 澄んだ空気のようなユニの態度が余計にベルアッテの神経を逆なでして、彼はグシャグシャと髪を掻きむしると、不明瞭な咆哮を上げた。


 知り合いが突如、獣に変わった昼下がり。


 ライムの中に芽生えているのは既視感だった。


『そうだ、ベルアッテさんの所に誰かと行く事なんてなかったから忘れてた。ベルアッテさん、皆に変人って呼ばれて避けられるくらいにはヤバい人だったんだ』


 ベルアッテとライムが出会ったのは、彼女がまだ五歳くらいの頃。


 遊び相手も無く、暇を持て余していたライムは木に登ってボーッと空を眺めていた。


 そこに、ベルアッテが声をかけたのだ。


 ベルアッテという不審者の噂を知らなかったライムは無邪気に彼と会話し、それから、ほしいものを尋ねられた。


 ライムは素直に金になるものが欲しいと答えた。


 病気がちな母のために薬を買いたかったのだ。


 すると、ベルアッテはちょうど持っていた硬貨をくれた。


 ライムは嬉しくなり、薬を買い、それを母親に飲ませた。


 母親の病状は一時的に回復し、ライムはベルアッテにきちんと礼を言いたくなって彼と出会った木の上で彼を待つようになった。


 幸いなことに、ライムお気に入りの木はベルアッテの住処の近くにあった。


 二人は無事に再開し、ライムはベルアッテに「ありがとう」と笑って言う。


 そして、用事の済んだライムは彼の元を去ろうとした。


 だが、実際にはそれでは終わらなかった。


 ベルアッテは、再びライムに要求されることを望んだのだ。


 当時、特別欲しいものはなかったが、ライムは持ち前の勘で断ってはならないことを察する。


 ライムがようやく絞り出した答えはお金を稼ぐ方法が知りたい、ということだった。


 いかに貪欲なスラムの子供とはいえ、ライムは何度もベルアッテから現金をもらうことに気が引け、知識の習得を望んだのだ。


 ベルアッテにとってライムの要求は意外なものだったが、同時に嬉しくもあった。


 自分の消えぬ財産である知識を子どもが求めてくれる。


 そう思った彼はライムを自分の教え子と認定し、よく家に招いて食べ物を与えながらアレコレと指南するようになった。


 知識を増やし、活用できるようになれば生活の質を良くしたり、生存率を上げたりすることができる。


 ライムはそのことを理解していたし、ベルアッテの穏やかな雰囲気が気に入ったこともあって、積極的に彼の元を訪れた。


 しかし、ある日、恐ろしい事件が起こる。


 ベルアッテの家に出た空き巣が、盗人であるのにも関わらず彼の異様な雰囲気に気圧されて、彼から物をもらうことを拒んだのだ。


 すっかりベルアッテに怯え、何を差し出されても要らないと断り続ける空き巣に、とうとう彼は怒り、発狂した。


 金の使われた品を次々と魔法で空き巣に投げつけ、彼が両手で品を受け止めるまで攻撃し続けたのだ。


 ツボを一つ抱えて逃げ出した空き巣の姿はボロボロだ。


 全身あざだらけ、歯や鼻の骨が折れた顔面からはダラダラと血を流していた。


 ライムはこの時、初めてベルアッテが怖いと思い、同時に幼い日に感じた違和感の正体を知った。


 普通なら、この時点でライムはベルアッテの元を訪ねることはなくなるだろう。


 正気に戻ったベルアッテは空き巣に対して申し訳なさそうにし、怯えさせてしまったとライムにも謝罪した。


 もう、来なくてもいいとも話していた。


 だが、ライムは首を縦に振らなかった。


 代わりに、どうしてベルアッテは発狂してしまうのかと尋ねた。


 ベルアッテは酷く驚いたが、ゆっくりと自分の過去を語った。


 彼はかつてノストリア王国の位が高い貴族で著名な研究者だった。


 しかし、知識を習得することとそれを他者に還元することが生きがいで、つい、求められるままに人々に国家機密を漏らしてしまった。


 しかも、罪を犯したのは一度や二度ではない。


 ノストリア王国は規律が厳しく、激しい情報統制がなされている国だ。


 ベルアッテの功績は大きかったが、その問題行動が無視できないまでに膨らみ、彼は国にとって要らない人間、すなわちスラムの住人として捨てられることが決まった。


 彼にとって、スラムでの生活は地獄だ。


 最底辺の生活を強いられ、常に身を危険にさらされるからではない。


 他者に必要とされるという、彼にとって最も重要な欲求を満たすことができないからだ。


 生きることに必死なスラムの住人は、雲の発生する理由とか、魔力についてとか、そういった世界を紐解く賢者の娯楽的な知識を求めない。


 欲しいのは今すぐ金か飯になる話だけだ。


 世界に見捨てられ、無視されたベルアッテは精神的にかなり疲弊した。


 そんな中、偶然手にしていた腐りかけのパンを一つ子供に恵んでやることで、物品を他者に提供し、ありがたがられるという方法を知る。


 それ以来、しばらくの間はその方法によって欲求を満たしていたのだが、それも最初の内だけだった。


 すぐに周囲に怪しまれ、煙たがられるようになる。


 ベルアッテはその度に頭を悩ませ、工夫を凝らし、現在のスタイルに落ち着いたのだという。


 また、当時、あまりにも多くの人々から冷たく無視され、拒絶されたトラウマでベルアッテは欲求を断たれると発狂するようになったのだと語った。


 ベルアッテの狂気と闇は、きっと彼が語るよりも深く暗い。


 彼が話した時点よりも過去に何かがあったから、そういう欲求を持っているのか、あるいは生まれつきか。


 何にせよ、イカれているのには間違いがない。


 ライムは、やっぱりベルアッテが怖かったが、彼の瞳があまりにも寂し気で放っておけなかった。


 しばし、頭を悩ませるライム。


 結局、彼女はベルアッテへの対応を間違えなければいいのだという考えにたどり着き、彼との交流を続けることに決めた。


 たまには物ももらうが基本的に知識を習得させてもらい、代わりに自分はベルアッテの知らなさそうな噂話を教えてあげる。


 発狂しないように調整し、関り合う姿は歪だが、それでも優しさに満ちていた。


 やがて狂ったベルアッテの姿を忘れてしまうほど付き合いが穏やかだったから、ライムはすっかり彼の闇を忘れていたのだ。


「ああ、どうしよう、マリー! ユニが!!」


 マリーの体を揺さぶり対応を問うが、瓶の半分を飲み干して笑い上戸になっている彼女はロクに意識も無いまま、ユニの華麗な躱しをサーカス感覚で見て大笑いしている。


 とても頼れそうにない。


「この役立たず!」


 ライムはげらげら涙を流して笑い、手を叩き続けるマリーを捨てて、キッとユニを睨んだ。


「ユニ! お願い! ベルアッテさんに何かお願いをして! そしたら、ベルアッテさんは落ち着くから!!」


 声を張り上げ、ユニへ言葉を伝える。


 だが、ユニは冷淡な様子で首を横に振った。


「私、ベルアッテの持ち物でほしいものが無い」


「なら、全く関係ないものでもいいから」


「それもない。私に物欲は存在しない」


「ユニ!」


 ライムが切羽詰まった声を上げる。


 それと同時にユニへ向かって投げつけられた二つの物品が、彼が避けたことで衝突し、明後日の方角へと飛んでいった。


 一つは玄関のドアに当たり、もう一つはライムとマリーの方へ真っ直ぐに向かう。


 ユニはそれを視認するとライムに駆け寄り、彼女を抱えて物品を避けた。


 彼の冷静かつ優秀な対処により、被害を受けたのはマリーだけだ。


 お尻に携帯用安眠枕がぶつかり、「ぐふっ!」とうめき声を上げる。


 だが、柔らかい物であるのが幸いしたのか怪我はないようで、床に寝転がったまま楽しそうに笑い、過呼吸を起こしかけている。


 ユニは愚かな酔っ払いには目もくれず、代わりにじっとライムを見つめた。


「あの、ユニ、ありがとう」


「平気。でも、私が望みを言わないとライムが危険にさらされる。それは嫌だ。私が欲しいもの、考えないと」


 少し黙考し、ユニはひらめいたように目の奥をチカッと光らせる。


 それから、ゆっくりとベルアッテを見据えた。


「ベルアッテ、ベルアッテ、お願いができた。聞いて」


 ユニの言葉と真剣な眼差しに反応して、ベルアッテが止まる。


「なんじゃね? ユニさん」


 ベルアッテの瞳は虚ろながらも満面に広がる表情は笑顔だ。


 少しずつ、正気を取り戻しているのだろう。


 それが故に、より狂気的な姿をユニは真直ぐ受け止める。


「私、ライムが欲しい」


 心の底にある欲求をストレートに伝えた。


 すると、ベルアッテは数かい瞳を瞬かせてストンと素の表情に戻る。


 驚きのあまり、一気に正気に戻ったようだ。


「ライムが欲しい? それは、肉体を縛りたいということかね?」


「分からない。でも、ほしい。側にいて欲しい、姿を見続けたい、関心を向けて欲しい……好かれたい」


 ユニはいつでも淡々と無感情だ。


 どんなに苦しい任務も眉一つ動かさずにやり遂げるから自国ではこき使われ、周囲の人間には操り人形という蔑称で呼ばれている。


 騎士の中にはユニが本当に人間であるのか疑う者も少なくなかった。


 だが、そんなユニにとっても本当の願いを口にするのは恥ずかしかったらしい。


 真っ白い耳の端がほんのりと桃色に染まっている。


 間接的な告白にライムは「え!?」と顔を真っ赤にし、ベルアッテも「ほう」と驚いたような呆けた相槌を打った。


 だが、少し時間が経って話を飲み込むとクツクツと笑いだし、ユニとライムに愛おしそうな視線を向ける。


「全く、ライムは昔から変なものを惹きつけるのぉ。これも一種の才能か」


「そんな才能いらないよ!」


「じゃがなぁ、ライムはわしの所有物ではない。あげることはできんぞ」


 ベルアッテが最低限の常識を保ち、現実を伝える。


 すると、ユニは残念そうに俯いた。


「そう」


「まあ、そんなに落ち込むでない。それに近い事ならしてやれる。ちと、耳を貸しておくれ」


 ベルアッテに手招きされ、ユニと彼は端の方で内緒話を始めた。


「ライムは昔から……で、……でのう、まあ、先ほどの反応を見るに……と思うんじゃ」


「ふむ」


「お前さんなら、十分に可能性がある。そのためにの、わしがライムの……や……を教えてやろう」


「本当?」


「本当じゃ。ふふ、メモまで取り出して熱心じゃのう。かわいい、かわいい」


 どうやらベルアッテはライムについての講義を始めようとしているらしい。


 真剣な様子のユニにいたたまれなくなり、ライムはそっと彼らから目を逸らした。


 話している内容も、知りたいが知りたくない。


 三十分後、瞳を爛々と輝かせたユニがベルアッテに礼を言い、ライムの元まで帰ってきた。


「ライム、ベルアッテ、良い人だと思う」



「それは良かったね。何を吹き込まれたのか知らないけど、帰るよ」


「うん。帰ったら、教えてもらった事いっぱい実践する」


「それはやめてくれる!?」


 いつでも隣を陣取って観察し、隙あらば頭をなで回したり頬をつついたり、スキンシップを求めてくるユニにライムは振り回され通しだ。


 それが異次元の方角に進化してしまっては大変なことになる。


 ライムは本気でやめさせたかったが、あいにくユニも本気だ。


 ベルアッテに教わったことを帰るまでに噛み砕いて、利用していく気満々だった。


 可愛らしい被食者と捕食者の構図にベルアッテがクスクスと笑う。


 ふと、ライムを見ていてベルアッテはあることを思い出した。


「そう言えばライム、手紙の主は見つかったかい?」


 唐突に思える質問だが、ライムにとって手紙の話は一つだけだ。


 ライムは寂しそうに笑って首を横に振った。


「見つからないよ。だって、相手は多分、城下町の人だもん。それに、小さな頃の目標なんて忘れちゃったよ」


「じゃが、ライムは変わらずに手紙を持ち歩いているんじゃろう。心に反したことを言うんじゃない。らしくないぞ」


「うん」


 ライムは力なく笑って、それから、服の内ポケットにしまってある小瓶に触れた。


「手紙?」


 ユニが問いかける。


 ライムはそっと小瓶をポケットから取り出した。


「これね、小さい頃にゴミ山で拾ったの。中には綺麗な文字が書いてあって、それが当時の私には絵に見えた。宝物に思えて持ち帰って、それからベルアッテさんに自慢した。そしたら、これは筆記体で文字が書かれているんだよって教えてくれたの」


 瓶は定期的に磨かれているのか、時間が経過しているにも関わらず透明で綺麗だ。


 中に入っている紙片も黄ばんでいるが、綺麗な形を保っている。


 瓶の形状、雰囲気にユニの目が丸くなった。


 小さく息を飲む。


「なんて、書いてあったの?」


 静かな声には迫力があったが、懐古的な気分に囚われているライムは目の前の人間の微細な変化に気が付かない。


 懐かしそうに目を細めて、過去を見つめた。


「『助けてください』だってさ」


 答えを聞いて、ユニは「そっか」と返事をした。


「ライムは、どうして手紙の主を知りたいの?」


 問われて、ライムは小さく首を横に振った。


「分からない。でも、惹かれたからかもしれない」


「惹かれた? 何に?」


「手紙と、その主に。だって、こんなに寂しそうなのに文字は異様に美しくて、どんな人なんだろう、何が苦しかったんだろうって気になるの」


「知って、どうするの?」


「それも分からない。でも、慰めたいと思う。ハグでもしてさ、大丈夫って笑って。この人の心に触れてみたい」


 自分でも理解しきれぬ強い欲求。


 それを口にすると、ライムは「変だよね」と枯れた笑みを浮かべた。


 しかし、ユニは首を縦に振らない。


 横にも振らない。


 ただ、考え込んで黙りこくった。


「ライム、わた、俺のこと、抱き締めて」


 ユニの銀の瞳が強い色を持って、真っ直ぐライムを見つめる。


 声は無機質でも、あるいは甘えてもいない。


 いたって真剣そのものだ。


 ライムはギョッとして首をブンブンと横に振った。


「突然、何を言うの! 嫌よ」


「嫌なの? さっきは抱き締めたいって言ってたのに」


「手紙の主をね!」


「そう。なら、俺には抱き締められる権利がある」


 淡々と告げ、ライムに詰め寄る。


 彼女は訳が分からずにパニックを進めていった。


「え? ねえ、ユニ、わけ分かんないよ。だって、え? それに、ユニ、一人称が」


「俺って言い方、気になる?」


「うん。だってユニ、すごく男の人みたいだ」


「俺は元から男だよ。でも、そうか、ベルアッテの言ったこと早速きいてるみたいだ」


「何が!? きゃっ!」


 後ろに、後ろにと逃げている内にライムは壁際へと追い詰められていたらしい。


 ライムはベルアッテ宅の数少ない壁に衝突し、高く悲鳴を上げた。


「大丈夫? ライム、怪我はしてない?」


 ユニが急いでライムの後頭部に手を差し込み、彼女の体を守る。


 だが、ライムにとっては壁にぶつかり続けることよりもユニに抱きしめられる方が大問題だった。


 顔面が火を吹きそうなほど真っ赤に茹だる。


「ユ、ッユユユユ、ユニ!」


「何? ライム」


 ユニが少し微笑む。


 その笑顔は正に美少年そのもの。


 ライムは心臓が皮膚を突き破りかねないほど激しく飛び跳ね、反射的に顔を背けた。


「マリー! マリー!」


 いつもの彼女ならば二人のことを大はしゃぎで囃し立ててきそうなものだが、あいにく今はいびきをかいて眠りこけている。


 ベルアッテは興味深そうにライムを観察しているし、頼ることができる人間は一人もいなさそうだ。


「マリーの馬鹿! ベルアッテさんの裏切り者!!」


 やけになって叫ぶが、誰もライムの嘆きを受け取ってくれない。


 それどころか、ユニに顎をそっと掴まれ、自分の方を向くように差し向けられた。


「ライム、俺以外の方、見ないで」


 ライムの脳が恥ずかしさで沸騰し湯気を出す。


 耳も首も、指先や足先までグラグラと暑くなって朱に染まった。


 体はふらふらと揺れ始め、限界に近い。


 しかし、ユニはお構いなしにライムの胸元に抱き着いた。


「ライム、やっぱり俺はライムのここが好きだ。柔くて気持ち良くて安心する。夜中、寝ているライムを抱き締めるだけじゃ物足りない。ちゃんと俺のことを認識してほしい。お願い、ライム。俺を見て、抱き締めて」


 とんでもない問題発言を織り交ぜつつ、ユニはライムの胸元から彼女の顔を覗き込んで懇願した。


 ライムの両腕がユニを抱き帰るか迷って宙に浮き、わなわなと震え出す。


 突然だが、ライムはユニの顔の造形が好きだ。


 整いすぎていて人形のようではあるが、瞳や髪の色彩も美しく、彼自身は苦手に思えても容姿には惹かれてしまう。


 自分の背が低いから、高身長の人間には憧れがある。


 強い人も好きだ。


 理由は単純に格好よく、どんな場面でも生き残れそうで頼もしいからだ。


 また、ライムは頼られることがわりと好きであり、可愛いものも大好きだ。


 道端で弱ってしょんぼりとしている犬を見捨てきれない性格をしている。


 これに対し、現在のユニは一人称を「俺」にすることでライムに親しみを与え、意図せず出したお願いの姿が彼女には妙に可愛く見えるというクリティカルヒットを叩きだした。


「ねえ、抱き締めてくれないの?」


 寂しそうな声にライムの性癖が抉られる。


 上目づかいで問いかけられ、催促されればもう駄目だった。


「ユニ、勘弁してよぉ」


 限界を迎えたライムはポタリと鼻血を垂らして、その場で気絶した。

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