番外編1 ユーリスの悩み
「……どうしようか。」
俺は今、最大の壁に悩まされている。
その壁とは一体何か…。
それは…。
指輪だ…。
マーガレットに贈る指輪を迷っている。
どの宝石がマーガレットに似合うのか、いくつ宝石をつけるか、悩ましい…
だって…
「どの宝石でもマーガレットは似合ってしまうから…。」
ダイアモンドがやはり無難でいいのだろうか…
情熱という意味を持つルビーもいいなぁ…
悩む…悩むなぁ…これは。
「ユーリス第一王子殿下。何かお探しでしょうか。」
一人の女性店員がやってくる。
女性の意見を聞くのはいいかもしれないな。
「妻へ指輪を贈りたいのだが…どれがいいのか迷っていてな。」
なるほどという店員。
何かいい案でもあるのだろうか…
「これなんて如何でしょうか?」
そう言って見せてきたのは…
「ブルーサファイアか…」
「そうです。ブルーサファイアの石言葉は、『誠実』『慈愛』『希望』どれも愛する人に贈るにはピッタリな石言葉を持っていると思います。」
誠実、慈愛、希望か…
確かに…マーガレットによく似合いそうだ。
これに決めたと思った時、二つの見たことのない宝石が目に入った。
「この二つはなんていう宝石だ…?」
「左側にあるのは、『パパラチアサファイア』で、右側にあるのは、『モルガナイト』です。」
モルガナイトは名前だけ聞いたことがあるが実物は初めて見たな…パパラチアサファイアに関しては名前も初めて聞いた…
「それぞれの石について教えてくれるか?」
「かしこまりました。ではまず、こちらのパパラチアサファイアの方からご説明させていただきます。このパパラチアサファイアはサファイアの中で最も美しいと言われている宝石です。石言葉は、『一途な愛』『運命的な恋』『信頼』です。」
ロマンチックな石言葉だ…
「モルガナイトは『愛』の本質を教えてくれると言われています。石言葉は、『愛情』『優美』『清純』です。」
愛か…
どちらの宝石もマーガレットによく似合う…
俺からマーガレットへの感情にどちらの宝石も近い…
ますます難しくなってきた…
一度想像して光景を浮かべてみるが、どちらの宝石を着けたマーガレットも美しく輝いている…なんなら宝石以上にマーガレットの方が輝いてそうだ…
「では……」
────────────────────
「ユーリス様、お買い物に行くと言っていたけど…どこまで行ったのかしら…。遅すぎる…」
ソワソワしているとき、屋敷の扉が開く。
「ユーリス様…!おかえりなさい。」
「ただいま、マーガレット。遅くなってすまない。」
「遅いので心配しましたよ…」
「すまない!」
「夕食の時間ですよ!もう出来てるようなので、一緒に食べましょう!」
「ああ、そうだな。」
私たちは椅子に腰掛け、食事を始めた。
どこへ行っていたのか聞いたけれど何も教えてくれない。
「そういえば、薔薇…すごく綺麗ですね…!」
「そうだろ?偶然、花屋で綺麗に咲いていたのを見つけて買ったんだ。」
「しかも、9本だなんて…ロマンチックですね?」
「意味を知っていたんだな…」
「ええ。薔薇の花は好きなので。」
薔薇の花って綺麗でしょ?
だけど、そんなことで好きなわけじゃない。
この人がくれるから…ユーリス様がくれるから…
愛する人から貰えるから好きなの…
夕食も食べ終わり、屋敷の外にある庭で散歩をする。
「マーガレット、君にプレゼントがあるんだ。」
「私にですか?」
庭の真ん中で止まり私と向かい合うユーリス様。
「これを受け取ってくれるか?」
「…っ!」
目の前で開かれる小さな箱。
その中に入っていたのは指輪だった。
「綺麗……」
「遅かったのは、宝石でいろいろ悩んだんだ…マーガレットに似合う宝石を選びたくて。だけど、どれも似合うと思ったら選ぶのに時間がかかって…結局、石言葉で決めてしまったよ…」
「石言葉…?」
「ああ、そうだ。この宝石はモルガナイトだ。石言葉は、『愛情』『優美』『清純』だ。俺からの気持ちと君の清純さによく似合う。」
嬉しい…
こんなにも綺麗な宝石を…
しかも、私のために時間をかけて選んでくれただなんて…
「嬉しいです…!ありがとうございます…!」
ユーリス様に左手の薬指に着けられる。
大切にする…この指輪も…結婚指輪も…
「マーガレット、もう一つあるんだ…」
「もう一つ…ですか?」
今度は長細い箱がユーリス様の胸ポケットから現れる。
「…!!!」
「実は…さっきのモルガナイトと最後まで迷った宝石で、この宝石をネックレスにしてもらったんだ…」
「綺麗…私には勿体無いですよ…!」
「そんなことないよ。これは俺の気持ちだ。というよりも、この宝石が俺の一番の気持ちかも知れないな。」
「…ユーリス様の一番の気持ち?」
「ああ。この宝石はパパラチアサファイア。石言葉は、『一途な愛』『運命的な恋』『信頼』だ。」
なんてロマンチックな石言葉なのだろうか。
「マーガレット。君は俺にとって、運命であり、これから先も君だけを愛してる。どんな時も君を信じてる。俺には君しかいない。君だけが俺の全てで、君がいるから俺は幸せなんだ。」
「ユーリス様…私もユーリス様しかいません。あなたが…あなたが私の全てです。あなたの妻になれたことが私のこの世で一番の幸せです…!」
これは私の本心。
彼からの愛は沢山伝わってる。
だから、私も伝えないと。
あなたを愛していると。
「着けてもいいか?」
「はい…」
髪を上げるとネックレスが首に身につけられる。
時々触れるユーリス様の指がくすぐったくて、ドキドキする。
「出来た…」
「どうですか…?」
ユーリス様の方を向き、似合っているか確認する。
「似合ってるよ。だけど、マーガレットの方が綺麗だなぁ…」
「ユーリス様は褒めるのが上手ですね!」
「本心だ!」
「ふふっ!」
こうやって見つめ合って笑い合う普通な生活。
それが本当に幸せだ。
「マーガレット、ネックレスを贈る意味は知っているか?」
「意味ですか…?」
すると耳元でユーリス様が囁いた。
「君を独り占めしたい…」
…独り占めか。
「ユーリス様、私はあなただけのものですよ。これから先もずっと…!」
「あははっ!そうだな!」
手を繋いでまた庭を歩く。
あ…そうだ。
ユーリス様に言わないといけないことがあった…
「あの…ユーリス様。」
「ん?どうした?」
「ユーリス様、お父様になる気分はどうですか?」
「そうだな……っ!!今なんて…」
目を見開き驚いているユーリス様。
「お父様になる気分はどうですかと聞いたんですよ…!」
「本当に…本当に俺は父親になるのか…?」
「ええ、正真正銘、あなたの子ですよ…わぁ!」
勢いよく抱きしめられる。
正直びっくりした…
「嬉しい…嬉しいよ、マーガレット。必ず幸せにするよ。君もこの子も。」
私のお腹を撫でながらそう話すユーリス様はどうやら嬉し泣きしているみたい。
「風邪引いてはいけない、早く屋敷へ戻ろう。」
私の手を引いて、慌てて屋敷へ戻るユーリス様。
だけど、歩くスピードは私に合わせてあくまでゆっくりと。
「ちなみに、男の子だそうですよ。」
「男の子!?いい男になるだろうが…許せん…」
「…?何故ですか?」
「マーガレットを取られてしまうだろう。」
「まあ!何を言ってるんですか!私はあなたの妻ですよ!あくまでこの子の母です!まあ…この子にプロポーズされたら…揺らぐかもしれませんが…」
「ダメだ!!」
「ふふっ!冗談ですよ!愛してます、ユーリス様。」
「俺も愛してるよ。」
口づけをすればこれほどまでにない幸せを感じた。
これから先は今以上に賑やかになりそう。
楽しみだなあ…
いつも読んでいただき誠にありがとうございます!ここからは番外編となります。番外編は時々更新させていただきます。もしよろしければ、ブックマークや☆評価を頂けますと今後の作品づくりの励みになりますのでよろしくお願いします!!




