覚悟
「着いたね。」
「そうですね…」
私たちが来たのは、ステルフィン家の屋敷。
犯人は、────はここにいる…
「マーガレット、心の準備は出来た?」
「…はい。」
「じゃあ、行こうか。」
心臓が痛くなってくる。
真実を明らかにしたいのに、真実を知りたくない気もする。いや、犯人を知ってからは真実を知りたくなかった…聞きたくない…あの人にはそんなこと出来ない。私は信じたい。まだ…あの人を…
屋敷の中へ足を踏み入れる。
「これはこれは、ユーリス第一王子殿下ではありませんか。それに…マーガレット…嬢までご一緒で。一体、何用でしょうか…?」
「ここに、────がいるだろ?」
「さあ、なんのことだか…」
「ロベルト王子殿下、ここにいるのは知っているのです。どこなのですか?」
「知らないなぁ…。」
何も言わないつもりね、ロベルト…
そんなロベルトにユーリス様は剣を突きつける。
「どこだ。教えろ。」
ユーリス様の聞いたことのないような低い声。
私もビクッとしたがそれ以上にロベルトは震え腰が抜けていた。
「…あ、あの部屋に…!」
そうしてロベルトが指を指したのは一つの部屋だった。そこは、客室だ。
「行くぞ。」
その声に一緒に来ていた衛兵たちが返事をした。
扉の前に立てばさっきよりも緊張しているのが分かった。この扉の向こうにあの人が…
会ってしまったらそこで終わり。
嘘であってほしいと思っても後戻りは出来ない。
私にその覚悟があるのか。
真実を知る覚悟が。
そしてあの人を罪に問わせる覚悟が…
「マーガレット。この扉を開ければもう後戻りは出来ない。それは君もよく分かってるはず。だから、聞く。引き返すなら今のうちだ。君は今帰ってもいい。無理をしてここにいる必要はない。」
ユーリス様はとことん人のことを考える人だ…
私の考え、気持ち、すべてこの人にはバレてる。
何も隠せないんだよ…あなたには。
でも、今更後戻りはできない。
犯人を知った以上ね…
「ユーリス様、私は大丈夫です。覚悟はできています。」
ユーリス様は一度私を強く抱きしめる。
「辛くなったらいつでも耳を塞いでね。」
「はい…」
「行くよ。」
「はい。」
私は覚悟を決め、扉を開けた。




