突然の来客は招かれざるもの
「ちょっと、お待ちください!」
外から大声でそう言うレイスの声が聞こえた。
(なにかしら…)
声のした方へ向かうとレイスが必死に止めていたのは、会いたくもないあの女だった。
「マーガレットさんー…やっと会えたぁ…」
「…マリアさん…」
はあ…なぜここにあなたが来るわけ?
会いたくもないのに、気分が悪い…
「レイス。お茶でも淹れてあげて。」
「でも…」
「大丈夫だから。」
「…かしこまりました。」
レイスにお茶を頼み席に座る。
一体何の用があるのか。
まあ、どうせ大した用ではないだろう。
「どうしてあなたがここに?」
「ひどーい!これでも私たち仲良しでしょ?」
どこがだよ…
あなたと仲良くした覚えはないんだけど。
「そうでしたっけ?」
「ええ!だって、ロベルト様の現婚約者と元婚約者なのですから!」
頭おかしいんじゃないの?
ニヤニヤしながらそう言う顔が腹立つ。
それにマリアについてきた使用人たちもクスクス、ニヤニヤ私を見て笑う。
使用人って主人に似るのね。
…ということはレイスと私は似てるってことになるわね…
そんなことは置いておいて…
「用がないのであればお引き取りを。これから大事な用がありますので。」
「何の用ですか?私もご一緒しますわ!」
「結構です。」
そして嘘泣きをするマリア。
それを見た後ろにいる使用人たちはヤジを飛ばす。
(うるさいなぁ…)
「ひどいわ…せっかく仲直りをしにきたのに…」
「仲直り?」
「ええ。だって、あの夜会の日不快に思わせたのですから…!」
思ってないよね?その感じ。
「仲直りするつもりも、仲良くするつもりもありません。」
「…そうですか…」
マリアの使用人たちがうるさく私に文句を言う。
(ほんと、黙れないの…?)
「ところで…ユーリス様はどこにいらっしゃるのです?」
「失礼ではありませんか?」
「何が?」
「ユーリス様が一度でもあなたに名前で呼ぶことを許可しましたか?たとえこの場にユーリス様が居なくても許可を得ていない名前で呼ぶのは失礼だと思いますけど。」
「別にいいじゃない…そんなのだからロベルト様に愛想尽かされるんだわ…!」
「ええ。今ではそれで良かったと思います。むしろあなたに感謝しますわ。マリアさん。」
「は?」
「ロベルト王子殿下を寝取ってくれて。」
「なっ!なんなのよ!」
「あなたは何も知らないでしょ?ロベルト王子殿下はいつかあなたに仕事を任せてくるわよ。その時あなたはどうする?マリアさん。ふふっ!」
「…っ!!」
他にも色々言ってやりたいけどこれでやめてあげた。
「別に構わないわ!どうせもうあの男とは終わりにするつもりだから!」
「というと?」
「ユーリス様ってかっこいいわ…あの顔にあの体つき…頭脳もあってそれ以上にロベルト様よりお金もある…欲しいわ…」
本当に頭がおかしいのではないか?
「ねえ、ユーリス様をちょうだい?ロベルト様なんて返してあげるから。」
「私があなたにユーリス様を渡すとでも?あり得ないわ。ロベルト王子殿下の方があなたにはお似合いよ。頭が悪い者同士なんだから。」
「なっ!ユーリス様が今の言葉を聞けばあなたを嫌いになるはずよ!」
「ええ、結構ですわ。」
「…」
「このようなことで嫌いになるのであれば婚約する相手には相応しくない。それに、私はユーリス様を信じていますから。あの方はこれくらいのことで嫌いになったりはしないわ。」
「…っ!」
「あと、教えておいてあげる。ユーリス様は礼儀作法を知らない人は大嫌いなの。たとえば…あなたのように許可もされていない名前呼びをしたり…注意をしても直さなかったり…あと、嘘をついたり、ベタベタしてくる人も大嫌いなの…私から奪いたいなら…それぐらい知っておかないと…ふふっ!」
「帰るわよ!」
マリアが使用人たちを連れて外に出た。
去る前に私は最後に忠告をしておいた。
「そうだ、マリアさん。あなたに一つだけ教えておいてあげる。」
「何よ!」
「自分の行動をよく考えることね?でないと…あとで待っているのはこの先の人生への地獄の道よ?ふふっ!」
「うるさいわね!覚えておきなさい!」
そう言い放って帰っていった。
はぁ…もう二度と来るな。
すると木の影から笑いながら二人の人が出てきた。
「あははっ!マーガレット!面白いものが見れたよ!」
「マーガレット…お前はいつからそんなに言うようになったんだ…」
「…!!ユーリス様とお兄様!?どうしてここに…」
「任務のために来たら面白そうなものが見えてね。」
「俺もマーガレットとユーリス第一王子殿下に用があったから来たら、この有様だよ…」
「もう…!見せ物じゃありませんから!!とりあえず、中に入ってください!」
お兄様が私とユーリス様に用があるってことは、調査の話かしら…




