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約束

「お父様、覚えていますか…?あの手紙に書いてあった約束を。」


それは、お父様から一回目の手紙の返事に書かれていたことだった。


「ああ、覚えている。」


「それなら話が早いですわ…」


そう話す私を見るユーリス様はすごく不思議そうな顔をしている。…なんで…?


「…マーガレット、それはどういう…」


あ、そうだった…ユーリス様に伝えてなかった……


「実は、お父様と約束したのです。この国の王家とフィーレス家の取引は続けていき、頃合いを見てから身を引くことを。」


「ああ、なるほど。」


一瞬で理解したみたいだけど、まだ深くは分かっていなさそう。


「お父様、この話、一度私たちに任せてはいただけませんか…?」


「マーガレットたちに?」


「はい。」


私たちにと言ったことでユーリス様が少し戸惑っている。


「ちょっ、マーガレット。どういうことか説明してくれるかい?」


「ユーリス様、この国へ昨日入国し、国の状況を見て考え込む私にこう言いましたよね?こちらでも調べてみるから心配するなと。だから、調べてください。一体、取引され、国への支援として寄付されたお金は全てどこへ行ったのかを。もちろん、私も出来ることがあれば手伝います。この国の人たちを助けたいのです。お願いします。力を貸してください。」


私はユーリス様に頭を下げた。

ユーリス様はそれでもなく盗賊の捜査で忙しい。

それは私にも分かっている。

だけど、この国を見捨てるわけにはいかない。

それにこのままだと、支援しているはずのお父様が疑われる。そんなこと、許せない。


「マーガレット…頭を上げて。」


ユーリス様に言われ私は頭を上げてユーリス様を見つめる。


「マーガレット。約束したでしょ?俺は君のためならなんでもすると。君が家族やこの国、国民たちをどれだけ大切に思い、愛しているのかは伝わっている。それに、俺が調べると言い出したんだ。必ず、調べて明らかにしてみせるよ。君とロンド公爵のためにね。」


「ユーリス様…!ありがとうございます…!」


私は思わず抱きついてしまった。

お父様たちがいるにも関わらず…


そんなお父様が私たちを見て咳払いをする。


「ユーリス第一王子殿下。ありがとうございます。どうか、この国を、国民たちをお助けください。」


「もちろんだ。」


ユーリス様は一度お父様に確認のため取引のことを細かく聞いていた。そこで確信したのは、やはりお父様はつい最近まで王家と取引をし、きちんと支援金を寄付していた。それに、お父様も薄々変だと感じていたらしい。


「ランストくん。君にも頼んでいいかな?」


「はい。」


「君にも、この調査に協力してもらうから。うちの部下が来たらこの国を案内してやってくれ。くれぐれも怪しまれないように頼む。」


「はい…!」


「マーガレット。もう帰らなければならないよ。」


「そうですね…」


いつかは帰る時間がやってくる。

分かっていてもまた会える日が遠いことを知っているから悲しく辛い。


そんな私をお父様とお母様、お兄様が優しく、暖かく包み込んでくれる。


「マーガレット。少しの辛抱だ…手紙を待っている。」


「マーガレット…身体には気をつけるのよ…!」


「マーガレット。今度は俺がすぐにでもそっちの屋敷に行くことになるだろう。そのときまで、大人しく待っているんだぞ。」


「お父様…お母様…お兄様…もちろんです…!また、会いに来ます…!」


屋敷を出る前にもう一度お父様たちと一人ずつハグをし、使用人たちにも挨拶をした。


「行こうか、マーガレット。」


「はい。」


私の腰を抱きしめるユーリス様。

一度、礼をして屋敷を出た。


馬車に乗り、国へ帰る道。

ユーリス様はこれから大変になりそうだと言っていたけど、その表情はどこか楽しそうだった。


必ず、明らかにしてみせる。

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