覚悟
「…マーガレット。お前の気持ちは分かった。だが、一つだけ聞く。お前に、この国を捨てる覚悟はあるのだな…?この国だけではない。全てだ。」
全て…
それは、お父様たちのことだろう…
隣国の王子と婚約するならそれぐらい覚悟が必要。
だけど、私にはすぐに答えることのできない質問だった。
「ロンド公爵。一つよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ。」
「感謝いたします。」
なんだろう…一体ユーリス様は何をいうつもりなの…?
私が心配そうに見つめていることに気づいたのか、ユーリス様は私に口パクで大丈夫と言ってきた。
…ここはユーリス様を信じるしかないわ…
「ロンド公爵。マーガレット嬢への想いは私の本心です。あなたがどれほど彼女を大事にし、愛しているのかよく知っています。彼女もそれは分かっているのです。だからこそ、その質問にはお答えできない。ただ、私が言えることは、彼女のためなら私はなんでもするということだけです。彼女が望むならなんでもする。彼女がこの国へ助けてほしいと言えばいくらでも駆けつけて助ける。私は約束したのです。彼女と彼女の大切な人たちは全て守ると…」
ユーリス様…
ユーリス様の言葉に少しずつ悩んでいる顔からいつものお父様の顔になってきている。
ここで私も何か言わないと…
「お父様。私はお父様たちも、この国の人たちも大好きです。ですが、私にはやるべきことがあります。ユーリス第一王子殿下の隣で。だからどうか、婚約することを認めてはいただけないでしょうか…?」
私のこの気持ちが本気だと分かってほしい。
これは、私の決意。
私は、やらないといけないことがある。
「分かった。なんとかしよう。だが、当分は手紙だけで会うことは出来ないだろう。もし、必要ならランストはお前の屋敷に向かわせる。」
お父様はお母様たちに婚約の話は誰にも言わないことを約束させていた。
「お父様、ありがとうございます…!」
「ああ。娘のためだ。」
「ロンド公爵。感謝いたします。」
「…おやめください…あなたのような方が私のような一人の公爵に頭を下げるなど…それに、あなたなら安心です。娘を安心して任せられる。マーガレットを頼みます。」
「もちろんです。」
「レイス、お前もマーガレットを頼んだぞ。」
「は、はい!」
お父様だけでなくお母様やお兄様、周りにいた使用人たちが沢山祝福をしてくれた。そうだ。お父様たちに認められたことだし、言わないとね。
私のやるべきことについて。




