招待状
翌朝、ユーリス様と共に朝食を食べているとレイスが慌ててこちらへやって来た。
「マーガレット様!旦那様からのお手紙です!」
「ありがとう。」
お父様からのお手紙は短いながらも、安心するような内容だった。
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我が愛しき娘、マーガレットへ
マーガレット。言われた通り、ステルフィン王家との取引は続けていくことになった。あと、国中で婚約破棄された話が出回っている。他の女性が現れその場で婚約破棄されたと。だが、安心しなさい。
国民は誰もお前を笑ったり、悪く言ったりしているものは全くと言っていいほどいない。むしろ、ロベルトの浮気だと国中で噂されている。だから、安心していつでも戻って来なさい。みんな会いたがっているからな。
何かあればまた手紙をくれ。マーガレット。
父 ロンド・フィーレス
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会いたいなぁ…お父様たちに…
「レイス。あとでお父様に返事を書くから、ペンと紙を用意しておいて。」
「かしこまりました!…あの、マーガレット様…」
「どうしたの…?」
「実は…ステルフィン家から招待状が…」
「ステルフィン家から!?」
ロベルト…一体、どういうつもりなの…
招待状の中にはこう書かれていた。
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いささか不躾に感じられるかもしれませんが、どうしてもお知らせしたいことがございます。我々の過去の経緯を今更、持ち出すつもりはありません。
さて、このたび、ささやかではございますが夜会を催すこととなりました。貴女のような女性が再び私の屋敷にお越しいただけることに、もはや特別な意味はありません。過ぎ去ったことを引きずっているのは無意味ですし時間の無駄でしょう。それに今更、貴女に何かを求めることなどありません。
日時 : ◯月◯日 午後六時より
場所:ステルフィン邸
貴女もこの夜会に顔を出すのが当然かと思われます。もちろん義理でお越しいただければ、こちらとしても接待いたしますのでそのつもりでお越しください。
過去に縛られる必要は一切ありません。ただ、我々が再会することができる場所を作りたかっただけです。
席も準備しておきますので、ご遠慮なくお越しください。
敬具
ロベルト・ステルフィン
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招待状を読んだだけで分かるこの最低な男って感じ。
吐き気がするほどの嫌悪感。
「よく、婚約破棄した相手に招待状を送ろうと思ったわね。」
「マーガレット。これは絶対来いってことじゃない?」
「ええ…そうだと思います。何を考えてるのか…」
本当にわからない。
何がしたくて、私を夜会に招待しているのか。
何が目的なのか。
まあ、ろくなことじゃないと思うけど。
「マーガレット様…行くのですか…?」
「……。」
正直、行きたくない。
なぜあの男と顔を合わせないといけないのか。
どうせその夜会にはマリアもいるはず。
その空間に行くほど私は強くない。
「マーガレット。それなら俺と一緒に行こう。」
「…え?」
「マーガレット。俺と婚約しないか?」
ん?婚約?
…ユーリス様と…?
「きゅ、急にですか…?」
「…君には俺の思いが届いていなかったのかな?」
「…いえ…十分すぎるくらいですけど…」
「なら良かった。お父様にもお母様にもマーガレットと婚約することを願われている。君なら今すぐにでも婚約していいと言われるほどにね。」
そんなこと急に言われても……
確かに、最近の私はユーリス様のことを考えてしまうし、鼓動まで高鳴ってしまう。
恋をしてしまった。
でも、婚約は……
正直、怖い。またロベルトにされたように婚約破棄されるのではないかと…ユーリス様はロベルトとは違うと思ってても、やっぱりどこかで考えてしまう。
……でも、この招待状が届いた以上、夜会に参加しなければならない。
「マーガレット。嫌か?俺との婚約は…」
「違います!私も…その…最近、ユーリス様のことを考えない日はないので……ただ、ユーリス様はロベルトとは違うと分かっているのに、同じような結末を迎えるのではないかと考えてしまうのです…」
私は素直にいうしかなかった…
ユーリス様を見ることができない…
でも、ユーリス様は私を強く抱きしめ嬉しそうにしていた。
「マーガレットも俺が好きなんだね…!俺は嬉しいよ…!大丈夫だよ、マーガレット。俺はあの男のようにクズなことはしない。浮気?あり得ないよ。だって、この世に君以上に美しくてかわいくて、愛らしい子はいないよ。それに俺は、初めて好きになった君を離すつもりはない。四年間も君を想い続けたんだ…君以外愛せないし、愛さないよ…」
私の頭を優しく撫で、優しい声で私に囁くユーリス様。落ち着くけど、所々思う。この人は、ヤバい男だと。でも、なぜか嫌だと思わない。ユーリス様のその愛の重さが心地よく感じてしまう…
ああ…私は彼の重すぎる愛の罠にハマったんだ…
そして私はそれを抜け出すことができない…
だって、今の私はそれが心地いいと感じてしまっているから…
もしかして、私は狂ってしまったのかな…?
彼という男に…
「ユーリス様…信じてもよろしいのですか…?」
「ああ。信じて。君も君の大切な人たちも全て俺が大切にして守ってあげるよ。」
「…分かりました。ユーリス様、よろしくお願いいたします。」
「ああ、マーガレット。夜会のときは必ず俺のそばにいてね。俺の愛する婚約者さん?」
「…はい。」
夜会でロベルトはどんな反応をするのかしら。
驚くのかしら?それとも、私を煽ってどうにかしようとするつもりなのかしら?
ただ、問題なのはマリアね…
ユーリス様はロベルトよりも確実にイケメンでかっこいいし、国の規模も違う。そんな人が現れたら何か行動を起こし、ユーリス様に近づいてアプローチを始めるだろう。
(それだけは絶対にさせない…)
「これで、マーガレットは俺だけのものだ…生涯君と添い遂げることを誓うよ…俺だけのマーガレット…」
そんなことをユーリス様が言っているなんてマーガレットは気づいていなかった…




