↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正義のヒロインは魔王様!?〜巫女見習いと元魔王が紡ぐ絆物語  作者: 石島マコト
第4章 憧れの生徒会長

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/84

第080話 交錯する思惑

 魔界・プライド城の玉座の間。魔界を統べる者の証しである玉座に腰掛けているのは魔族の青年――漆罪魔・サタナス。


 かつての城主・ルシフェリアを追放し、この座に君臨する漆罪魔は例によって部下の女魔族からの報告に耳を傾けていた。


「バエリアよ。レヴィア陣営の様子はどうだ?」

「密偵によれば壊滅に近い状況のようですね。ルシフェリアに敗れたレヴィアはもちろん、ポルヴォを除く幹部全員が死亡、もしくは重傷を負っているようです」

「何……?」


 レヴィアやポルヴォの近況は既にサタナスの耳にも入っていた。しかし幹部たちがそのような状況というのは初耳であった。


「ポルヴォ以外の幹部というと、スカリオ、カラミア、カノクスだったか」

「ええ。スカリオはルシフェリアに敗れた後に粛清されております」


 レヴィアの性格を考えれば納得が行った。彼女はスカリオの戦闘力にしか興味がなかった。だから戦いに敗れたとあれば用済みとして粛清しても不思議ではない。


「他の二体は?」

「それが……どうやら“人間”の少女一人に手も足も出ずに敗れたらしいのです」

「何だと……?」


 自身の耳を疑うサタナス。


 ――人間。魔族とは異なり、弱く、とても脆い存在。ルシフェリアの依代のような例外はあるが、ほぼ全ての人間は魔族相手になす術などないはず。デビライズのための器に過ぎないはずなのだ。


「馬鹿な! カノクスもカラミアも、中級ながら上級に近い実力の持ち主だったはずだ。そんな奴らが、たかが人間の小娘一人に敗れたというのか?」

「はい……。俄には信じ難い話なのですが、2対1でもあっさりと返り討ちに遭ったそうで……」

「…………」


 サタナスは言葉を失ってしまった。そんな彼に追い打ちをかけるようにバエリアは続ける。


「そしてその少女はルシフェリア……正確にはクイン・ルシフェリアとも交戦したようなのです」

「……ルシフェリアと?」


 唖然としていてもその名には反応せずにはいられなかった。中級魔族二体を圧倒した“人間”と宿敵の戦い。気にならないはずがない。


「……結果は?」

「途中まではその少女が圧倒していたようです」

「!!」


 クイン・ルシフェリア。ルシフェリアと霊力持ちの少女がデビライズした姿。今まで二体の漆罪魔を退けてきた強者だ。そんな彼女がたかが“人間”の小娘に圧倒されたなど、簡単には受け入れることができない。


「……待て。途中まで、とは?」

「どうやらルシフェリアたちは新たな力に目醒めたようです」

「ほう……」


 その報せに、思わず口角が上がるサタナス。彼女たちは宿敵と認めた相手。そのくらいはやってもらわなければ困るのだ。


「して決着は?」

「引き分け……になるのでしょうね」

「そうか……」


 それは少々残念である。彼はそう思った。


「ルシフェリアを亡き者にした後に人間界も支配してやろうと思っていたが……。どうやら一筋縄では行かないようだな」


 面倒な報せだというのに、サタナスの心は言いしれぬ高揚感を覚えていた。本人も気付かぬほど僅かに、だが。




「もう一つ。お前に頼んでいたマモンの件はどうなっている?」

「そちらは相変わらずです。『主は現在多忙のため誰ともお会いになりません』と。要するに門前払いですね」

「……そうか」


 “強欲”を司る漆罪魔・マモン。サタナスは彼を次の駒として利用しようと企てていたのだが、コンタクトが取れない状態が続いていた。


「奴のことだ、また何か碌でもないことを企んでいるのだろうな」

「欲の深い方ですからね……」


 マモンは欲深く、よく悪巧みをしている。それはサタナスたちにとって常識同然だった。


「しかし、マモンの奴を利用できないとなると、次の一手に悩むな」

「そうですね。残る漆罪魔はベルフェとアスモですが……」


 微妙な二体だとサタナスは思う。彼らも漆罪魔――実力だけ見れば申し分ない。

 しかし彼らは魔王の座にも、ルシフェリア個人にも大して興味がない。少なくともサタナスはそう記憶していた。特にベルフェに至っては惰眠を貪ること以外、一体何に興味があるのか。全く見当もつかない。


「その二体ならばアスモの方がまだ期待できそうですね」

「何か策があるのか?」

「一応、ですが」


 バエリアの言葉に、僅かだが笑みが漏れるサタナス。自分の見込んだ部下が優秀で、少々誇らしかったのだ。


「アスモはルシフェリアや魔王の座には興味がないようですが、一方で人間界への興味はかなり強かったと記憶しております」


 その認識に相違はない。サタナスは黙って頷き、続けさせた。


「人間界へ渡る術(すべ)を餌に交渉してみる、というのは如何でしょう?」

「なるほどな……」


 良い案かもしれない。素直にそう感じたサタナス。


「……バエリア、アスモに連絡しろ」

「ハッ!」


 主の命を受け、すぐに玉座の間を後にするバエリア。独りになり、玉座の間でサタナスは物思いに耽る。脳裏に浮かべるのは新たな力に目醒めたという宿敵の女魔族。


「新たな力……か。その力、確かめさせてもらうぞ、ルシフェリア」


 “憤怒”の魔の笑い声が玉座の間に響いた――

お読みいただきありがとうございました。

続く第81話も投稿しております。よろしければお読みください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。