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正義のヒロインは魔王様!?〜巫女見習いと元魔王が紡ぐ絆物語  作者: 石島マコト
第4章 憧れの生徒会長

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第077話 光の魔王と闇の霊術

26/9/25 誤字を修正しました。

 私とルーシーさん、二人の渾身の技・ルミナスパニッシャー。私たちの必殺技とも言うべきこの大技を、神代先輩は霊力の剣の一振りで斬り裂き、無力化してしまった。


「あ……え…………?」


 あまりの衝撃に、私は言葉を失い、ただその場で立ち尽くすことしかできなかった。


「魔族風情が光属性を扱おうなんて、烏滸(おこ)がましいわね」


 眉間に皺を寄せ、吐き捨てる先輩。


「光属性は、魔を討つ時にこそ相応しいのよ」


 先輩の手に握られた霊力の剣が変化していく。蒼白く光り輝く弓と矢に。


「この技で滅しなさい。“破(は)魔(ま)乱(らん)撃(げき)陣(じん)”!!」


 先輩は光の弓を構え、光の矢を放った。でも私に向けて、じゃない。私の上の空へ。


 でも、わざと外した訳じゃない。打ち上げられた光の矢は空中で分裂し、雨のように降り注いできた。私を狙って。


「ぐっ! うぅっ……!!」


 ある矢は肩を掠め、またある矢は腿を貫く。その度に焼けるような痛みが走り、苦悶の声が漏れ出てしまう。


 何発もの矢に身体を射抜かれ、もう立っていることすらままならなくなっていた。そんな隙だらけの私を、先輩が見逃してくれるはずもない。


「もう一度斬り刻む。魔族への怨みの剣、呪霊裂破刄!!」


 1発1発の斬撃が霊力の膜を斬り裂き、私の皮膚を裂く。鮮血が滴る。声にならない叫びが漏れる。


 感じたのは痛みだけじゃない。一気に全身から力を削ぎ落とされるような感覚。四肢に全く力が入らず、膝は折れ、倒れ込まないよう突こうとした手もガクン! と肘から折れてしまった。


「あ……が…………。な、な……にが…………?」

「闇属性の斬撃、光属性の貴様には相当堪えたようね」


 弱点属性の攻撃を受ける。初めての経験だったけど、こんなにも重いなんて。想像もしていなかった。


「さてと、弱点の確認もできたことだし、そろそろ終わりにするわ」


 怨みの剣で私の身体を斬り刻むため、先輩は再び霊力の剣を構える。


「白峰さん、次の一撃であなたに巣食う魔族を取り除いてあげるから、もう一度だけ我慢してちょうだい」


 私を想っての優しい言葉のはずなのに。それはとどめを刺すという宣言に他ならなかった。

 安堵なんてできない。恐怖しか感じられない。


 ――だけど、ここで諦めたら私は、ルーシーさんを失うんだ。


「ま……まだ……です……。まだ……負けて……いません…………」


 声を、身体を震わせながら、なんとか起き上がろうと試みる。


 でも駄目だった。すぐに崩れるように倒れ込んでしまった。起きないと、立ち上がらないと、いけないのに……


『……もういい』


 その声は私の内から聞こえてきた。


『私一人が犠牲になれば済む話だ……。これ以上、お前が苦痛に耐える必要はない……』

『ルーシー……さん……?』


 一体、何を言っているの……? ルーシーさん一人が犠牲になれば済む? そうすれば私はもう苦しまなくていい?


 そんなはずはない。ルーシーさんを失って、苦しまないはずがないんだから。


 ひょっとしたらその苦しい想いも、記憶ごと先輩が消してくれるかもしれない。


 だけど、そんなのは御免だ。だってそれは、一緒に過ごし、分かち合った楽しい思い出まで消えてしまうということだから。幼い日から続く約束も、なかったことにしてしまうということだから。


『……ルーシーさんの、共存の夢は……簡単に終わっても……いいものだったんですか……?』

『何……?』


 いつだって、何の策もない時だって、自信に満ちていたルーシーさん。そんなルーシーさんとだったから、ここまでなんとかやってくることができたんだ。だから。


 ――私より先に諦めるルーシーさんなんて、許さない。


『私との約束……そう簡単に、諦めないで……ください……!』

『舞桜、お前……』


 彼女は私の前で誓った夢を諦めないと言った。その言葉が、覚悟が、嘘じゃないのなら。自分だけが犠牲になって終わらせるなんて言わせない。言わせるわけにはいかないんだ!


『……フッ、そうだな……。そう簡単に、諦めてたまるものか……!』

『!! ルーシーさん……!!』

『私としたことが、無様な姿を晒してしまった』


 ルーシーさんが立ち直った。状況は変わらずピンチだけど、その事実だけで不思議とまだやれる。そんな気持ちが湧いてきた。

 四肢を震わせながら、なんとか起き上がる。


「まだ立ち上がるというの? まさか、それだけ白峰さんの心身の奥深くまで、魔族の侵食が……?」


 違う。そうじゃないのに。先輩の誤解は止まらない。


「もう手遅れかもしれない。だけど、せめて白峰さんの身体で人々を傷付けることがないよう、ここで止める……!」


 先輩の目的はあくまで私を「救う」こと。たとえ私が求めていなくても、その軸だけはブレることはなかった。


 再び立ち上がった私に向けて放たれる先輩の霊術。


 ――カッ!!


 炸裂し、辺りに眩い閃光が広がった――

お読みいただきありがとうございました。

続く第78話も投稿しております。よろしければお読みください。

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