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ゆい言  作者: Suica
9/18

呼び名

二つの机を囲んでお弁当を食べながら、3人のゆいによる呼び名決め会議が始まった。


私がまず先陣を切る。

「ちなみに伊藤さんはなんて呼ばれることが多かったの?」


「うーん…上も下もどっちあるかな、人によって違うかも」


「やっぱり、下の名前で呼ぶのは紛らわしくなるね」


うーんと悩んでいると

「でも、実は私だけ結井って呼べるんだよね〜」


唯ちゃんが自慢げに言ってきた。


「ほら、ゆいゆいって呼んでるからさ、もう1人をゆいにすれば私は呼び分けられるじゃん」


「唯ちゃんはそれでいいけどさー」


何の解決策にもなっていない気がしたが、こういう風に話しているうちにも「ゆいちゃん」呼びがなんだか紛らわしく感じた。


「でもそう言うことなら私も倉田さんを唯ちゃんって呼べば、いけるね」


「本当だ、結井ちゃんもいけるじゃん」


あー、なんだか頭がごちゃごちゃしてきた。2人はそれでいいかもしれないが、結局私を含めた他の人たちが「ゆいちゃん」と呼ぶと、どっちを呼んでいるのか分からなくなってしまう。


いいアイデアも思いつかないので、止めていた箸を動かす。今日のお弁当は唐揚げにほうれん草、卵焼き、グラタン、余ったスペースに白ご飯という感じだ。卵焼き以外はいつも冷凍食品かスーパーの惣菜だが、バランスのいいお弁当だった。


冷えた唐揚げを箸で口に放り込む。衣が冷凍食品のそれという感じでしっとりしていたが、味はふつうにおいしかった。食べている間にいろいろ候補を考えてみる。ゆいぴ、ゆったん、ゆいこ、ゆいぽん…なんだかぱっとしないものばかりだ。


本人はどういう風に呼ばれたいのだろう?


「伊藤さんはどういう風に呼ばれたいとかある?」


「うーん、私って分かるようなら、好きに呼んでいいよ」


好きにか…余計に分からなくなったなと悩んでいると、「あっ」と唯ちゃんが声を出した。


「私、思いついちゃった…結井ちゃんにぴったりのあだ名!」


唯ちゃんが嬉しそうにやばいを連発する。


「ほらほら、ゆいゆいも分かんない?この、ほら、雰囲気というかさ、なんというか」


雰囲気?ぴったり?私のセンスじゃ思いつきそうにない。


「えー、分かんない。教えて」


「結井ちゃんってめっちゃかわいいじゃん。だから、かわゆい!どう?ぴったりじゃない?」


「かわゆい、いい…いいね、すごい」


「すごいでしょ〜」


そのとき、私は本音の声を出していた。かわゆい、とてもいいあだ名だと思った。見た目も語感の響きも伊藤さんにばっちりだった。


伊藤さんは少し遠慮していたが、私たち2人の賛成多数により伊藤さんの「かわゆい」呼びが決定することになった。そして、その頃には昼休みも半分が過ぎようとしていた。


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