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ゆい言  作者: Suica
11/18

鳴ったスマホ

鏡で自分の顔を見た後、トイレに行ってすぐ帰るのも不自然だったので、私は少しの間、個室で時間を潰すことにした。


頬杖を着きながら溜息を吐く。


「はぁー、なんで私ってこんなんだろ?」


他にもトイレを使っている子はいたが、誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。話の輪から逃げてしまった自分がなんだか情けなかった。


「もっとみんなと話せるようにはなれないのかな?」


私は心の中で自分自身に問いかけた。


輪の中に入って話そうと思えばもしかしたらできるのかもしれない。でも、苦手なことをするのは正直辛い。それを目の当たりにするだけで心がきゅっとなって、頭が「イヤ、イヤ」と言っているような感じがする。


「はぁー」


今度は個室に響くぐらいの大きな溜息をついた。変わらない自分に嫌気が差しながらも、どうすればいいか分からずにいた。


「ゆい…」


また、あの言葉を思い出した。頭がじんわり痛む。お母さん…どうしたらいいか私には分かんないよ。私はもう一度深い溜息をついた後、扉のドアをそっと開けて、トイレから出た。


教室に戻ると、昼休みもあと少しだった。席に戻って、私は鏡で見た自分の歪んだ顔を見せないように、何とか笑顔を顔に浮かばせた。


「うん、うん」

「へー、そっか〜」

「おー」


私は相槌を打ちながら、昼休みの残り時間、「早く昼休みが終わってくれ」と内心願っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そのまま長かった昼休みも終わり、午後の授業に突入した。いつもはうとうとしてしまう時間帯であったが、いつもより食べた量が少ないせいか、眠気はあまり感じなかった。


窓を見るとまだ日中なのに外は暗く、雨の勢いは相変わらず強い。教室全体がジメジメしていて、手を伸ばせばそこにある空気が掴めるんじゃないかというほど重い感じだった。


4限の授業は地理。プリントに書き込む形式だったので、作業が少ない分どこか退屈だった。周りを見ると頭がカクンカクンしている人がちらほらいる。うとうとしてる時、私っていつもこんな感じなのかなと少し恥ずかしい感じがした。


しかし、退屈な授業も、先生が世界の地形や気候区分の話をしているうちに時間はあっという間に過ぎていく。


ケッペンの気候区分だけ覚えといて、後でテスト前に覚えればいっか。そう思って、後半の話は小耳に挟む程度に聞き流していた。そして、ふと椅子に座り直そうとしたときだった。ポケットのスマホが少し震えた気がした。


「ピロリロリン」

「ピロリロリン」

「ピロリロリン」

    :

    :  


教室に電子音が一斉に鳴り響いた。私のスマホも鳴っている。何の騒ぎだ?


「え、何なに?どうした、いったい?」


先生も驚いている様子だ。ポケットに手を当てていると、しばらくして音が止まった。授業中だったが、ポケットからスマホを取り出して机の下でこっそり見る。


【緊急】「土砂災害警戒情報」


スマホにははっきりとそう書いてあった。外は大荒れの天気だった。

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