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04話 波乱

エルフ王に与えた魔法を❛パーフェクト・ヒール❜→❛フルヒール❜に訂正

「「コテッちゃん!大丈夫か!?」」

右手を押さえて転げまわる獣人王の元に、エルフ王とドワーフ王が慌てて近寄った。

「待ってろよ?❛アクア・ヒール❜!」

そしてエルフ王が回復魔法をかけた…が、手首の腫れは治まらない。

骨折したんだろう。とすると❛アクア・ヒール❜と言うのは”小回復魔法”なのか…ん?……んんん???

俺は獣人王に近付いて❛聖なる大回復❜(ホーリー・フルヒール)を唱えてやった。

直ぐに右手首の腫れが治って行く。


「ありがてぇ…」

涙目で感謝する獣人王。


――いや、ちょっと待て。

獣人やエルフやドワーフも、先祖を山田太郎(やまだたろう)山田花子(やまだはなこ)に育てられた。

だから、皆が日本語を話す。

ここまではいい。

俺が使う魔法はアマテラス様から戴いたモノ。回復魔法だったら”~~ヒール”という名前。


シオン王女に❛ファイア❜の魔法を与えた時は気付かなかったが、サラが使う魔法は❛縮地❜や❛完全隠密❜。

賢者シモンが使ったのも❛催眠❜。


なんで漢字名とカタカナ名の魔法が存在するんだ?

しかもサラに❛ライト❜の魔法を与えたら、そのまま❛ライト❜を使えたんだぜ?

サラは漢字名とカタカナ名の二種類の魔法を使えるって事だ。

…謎だ。



「ゴホン…では仕切り直しで。私の名前は山田聖人(やまだまさと)山田太郎(やまだたろう)山田花子(やまだはなこ)と同じ、異世界の”日本”という所から来ました。ちなみに、日本ではヤマダという苗字は有り触れたものですのでご了承を。神アマテラス様に途中で”力”を戴き、”神の使徒”に成りました。そして、神様に願われて魔王を討伐した者です――ここまでは宜しいですか?」

コクコクと頷く三人。


「で、この度は王都トゥーキングのキャサリン・ミドルランド女王に和平の使者を仰せつかったのです。それと、皆さまの娘様は、王都トゥーキングに居ります。人質では有りませんよ?魔王を討伐した私を一目見たいと、王都に滞在していたらしいのです。皆さん元気に過ごしています…あ、ちょっとお待ちを…」

❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)から[電話玉]を一つ取り出す。

言葉では不安が取れないだろう。


「…アリス?…聞こえるかい?」

「はい、マサト様。ご到着に成られたようですね」

「ああ、今、三国の国王達の前にいる。王女達の身を心配している事だろう。誰かと話をさせたいのだが…」

「解りました、ではセシリア王女に…セシリア!ちょっと居眠りしてないで起きて!」

…寝てたのかよ


「この[電話玉]というアイテムは、遠くの者と会話が出来るモノです。手で触れて相手を思い浮かべ、《送受信開始》と唱えれば使用できます…今はもう繋がっていますので、どうぞお話を…」


そう言って、エルフ王に[電話玉]を手渡した。

怪訝そうな顔で受け取ったエルフ王だが、[電話玉]から「お父様…聞こえますか?お父様!」という声がすると、途端に相好を崩した。


「おお、セシリア!聞こえるよ!…元気かい?…ふむ。アリスティア王女と友達に成ったと…良かった良かった…?んん?…もう一度言っておくれ。使徒様に何を戴いたのだ?…は?――国宝級の”杖”?」

俺が[ドラゴンオーブの杖]をあげた事を話したらしい。

…変な誤解はしないでくれよ?


すると会話が終わったようで、[電話玉]をドワーフ王に渡して俺を見るエルフ王。

「…使徒様、娘が世話に成ったようですな。しかも”特別な杖”まで戴いたとか…有難う御座います。して、どのような杖なのですかな?」

「はあ、これです」

説明も面倒なので、❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)から[ドラゴンオーブの杖]を取り出して手渡す。

「なんと、これは素晴らしい品で御座いますな。…これに比べたら私が娘に渡した物は只の”棒切れ”。いやいや。このような品を”結納”として戴けるとは…セシリアも三国一の幸せ者に御座います」

…だから結納じゃ無ぇーし!勘違いだっつーの!


「いえ、勘違いなさらず。エルフの風習を知らなかったものですから、申し訳ありません。只の贈り物なんですよ」

「なっ!この様な逸品を”只の贈り物”とはいかぬでしょう。…それともセシリアの事が御嫌ですか?」

嫌も何も、今日初めて会ったんだよ?


「そのような事は有りません。セシリア王女はとてもお綺麗な方です。成長すればもっと美しくなる…私などでは近寄る事すら許されないほどに。お世辞ではありません。本当にそう思っています。…他の王女様もそれぞれお綺麗ですよ」

「お褒めの御言葉、有難く」


「ああ、(ついで)にその(ドラゴンオーブの杖)。お近づきの印にダールトン・シルフィー王に差し上げます」

「なんと!では遠慮なく。有難く頂戴致します!」

杖を両手で抱え、恭しく頭を下げた。


つぎに[電話玉]で話をしているドワーフ王を伺うと「な!なんと!…オリハルコンのハンマーを戴いたと!…結納品?」

…今度はマリー王女がドワーフ王にハンマーの件を話したようだ。

だから結納じゃ無いってば。


呆然とした表情で話を終えたドワーフ王。

掌に乗った[電話玉]を、獣人王が引っ手繰(ひったく)る様に手にして話を始めている。

「使徒殿。オリハルコンのハンマーとはどの様に御造りになったのか…ワイテの鉱山にもオリハルコン鉱があるが、硬くて採掘する事が出来ぬというのに…」

「ああ、[オリハルコンのハンマー]は、元々神アマテラス様から戴いたものなんですよ。宜しかったらどうぞ。それと、硬くて採掘できないのなら、これも差し上げましょう。[オリハルコンのつるはし]です」

差し出されたハンマーとつるはしを見て、あんぐりと口を開けるドワーフ王。

「ななな、なんと!”ハンマー”だけでなく”つるはし”まで!…有難いです。これで採掘する事が出来るかも知れない」


「ちょ!兄貴!…ウチの娘に結納の品は!」

…だれが兄貴だ。


「え~と、コテツ・サクラ王?…兄貴とはいったい…」

「使徒様に決まってるだろう?強い者には従うのが俺ら(獣人)の性分だ。使徒様の事は”兄貴”と呼ばせてくよれ!」

「いや、別にいいですが…」

「そんな他人行儀な喋り方はやめようぜ!…俺の事は”コテツ”と呼んでくれ…って、そんな話はどうでもいいが、ダーちゃんとドンちゃんの娘には結納品があって、なんでウチの娘には何にも貰え無ぇんだよ~~あれか、シオンは貰ってくれないのか?ションベン臭い小娘だからか?」

”ダーちゃん”とはダールトン・シルフィー王。”ドンちゃん”とはドンゴ・アイアン王の事だろう。


『お父ーちゃんのアホ!』

一際大きな声が[電話玉]から聞こえた。シオン王女のようだ。

「シオン。そんなデケェ声出さなくても聞こえるぜ?…俺は今兄貴と大事な『だから!アタイは”魔法”を貰ったの!』…はぁ?魔法が貰える訳ゃ無ぇーだろうが。お前は”属性無し”なんだぜ?…何?…”火属性”を貰った?…❛ファイア❜の魔法も?なんだそりゃ」

二人とも声がデカいって。


[電話玉]を取り上げ、「シオン。俺が説明しておくからね」と伝えて[電話玉]を仕舞った。

もう娘と話が出来たんだから用は無いだろう。


「コテツさん、私は他人に魔法の”属性”と魔法を与える事が出来るんですよ」


「「「な、なんだって――!!!」」」

そう説明すると、三人がM○Rのような叫び声をあげる。

おまいら仲いいな。


「兄貴、コテツでいいよコテツで。じゃ、俺にもなんか魔法をくれてみてくれ」

「いいですよ?では❛聖なる贈与❜(ホーリー・ギフト)。汝に❛硬化❜の魔法を与える」


獣人王が一瞬純白の光に包まれた。

「うん?❛硬化❜の魔法?…兄貴、これはどう使えばいいんだ?」

「モノに❛硬化❜と唱えれば硬くなるし、身体(・・)にも使えますよ?ただ全身はダメです。動けなくなりますからね。試しに右手で握りこぶしを作って❛硬化❜と唱えてみて下さい」

「うん?…こうか?❛硬化❜…おお!右手が硬くなったぜ!それでそれで?」

「では、これを思い切り殴ってみて下さい」

そういって❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)から[ミスリルの盾]を出した。

「それはミスリルの盾ですな?流石に硬すぎるのでは?」

ドワーフ王が一目見て鑑定する。

「まあ、見てて下さい。コテツさん、どうぞ。俺が構えているから殴ってみて下さい」

「へへへっ…、じゃ遠慮なく…おらぁ!」

ドゴンという音と共に、[ミスリルの盾]に穴が開いた。


「おお!凄ぇ凄ぇ!簡単に穴が開いちまった。手も全く痛く無ぇぜ…で、この手を元に戻すにはどうすりゃいいんだ?」

「《硬化解除》と唱えれば元に戻ります」

「なるほど…さっきから頭に浮かぶんだが、イマイチ使い方が分からなかったぜ…《硬化解除》…お~元に戻った」

シーンとしているエルフ王とドワーフ王。

直ぐに正気に戻り「❛硬化❜の魔法にそんな使い方があるのか!」と言い出した。

まあ、俺が勝手に考えたやり方だからさ。

この世界では非常識な方法だったか。


「あっ!!」

今度は獣人王が大声を出す。

「これ、アレの(女性を抱く)時にセガレ(息子)に掛ければ絶倫じゃ無ぇーか!?」

「「な、なんだって――!!」」

大声をあげるエルフ王とドワーフ王。

おまいら仲いいな。

…三バカだが。


「あのですね、今、盾を殴った時に痛みを感じなかったでしょう?…アレ(・・)の時に硬くなっても、何にも感じないんですよ?」

ガッカリとするコテツ王とダールトン王。


ドワーフ王は目をキラキラとさせて「使徒様、それでも❛鍛冶❜の役に立つかもしれん。オイラにも下さい!」と願い出た。

別に出し惜しみしても仕様がないので、ドワーフ王には❛硬化❜と❛軟化❜の二つを与えた。

そして[オリハルコン塊(10kg)]を出してドワーフ王に魔法を試させてみる。

❛軟化❜と唱えればオリハルコンが柔らかく成り、❛硬化❜と唱えれば硬くなった。

「おお…おお!有難い!有難い!…窯が無くても色々造れるかも知れない!」


あげた訳では無いのに、[オリハルコン塊(10kg)]まで抱きしめるドワーフ王。

まあ、あげるケドな。


「そんな~~~!ずるい~~~!コテッちゃんとドンちゃんだけ~~~!」

「「ダーちゃんは国宝級の杖を貰っただろ!」」

「ずるい~~~!!!」

子供か!

…お前ら本当に国王か?

結局エルフ王には❛フルヒール❜、大回復魔法を与えた。

もうね、満面の笑みを浮かべていたよ。


そして本題に入る。

玉座の前に四人で車座に座わり、和平の親書を手渡した。

親書を読み、エルフ王は「和平の件、しかと承知しました。まあ、元々此方からどうこう致そうとは戦死した先代()も考えてはいなかったのです。

ただ先に攻められたから攻め返しただけの事と言っていました。エルフだけでは人数の差があったために、獣人とドワーフに共闘を持ち掛けた。

先代の獣人王もドワーフ王も戦で死んでしまいましたが、我らはその恨みでどうこう致す気は無いのです。…攻められ無ければ、ですよ?」

と言う返事をしてくれたし、獣人王とドワーフ王は「「戦争だったんだから仕方が無い(ぜ、兄貴)」」と言ってくれた。

流石は国王というべきか。

まあ、本心では無いだろうが、腹の内は読めない。

有難い事だと思っておこう。

…悲しいけどこれ戦争なのよね。

戦死した人を生き返らせる事も出来ないのだから、俺には何も掛ける言葉は無い。


そして、先の戦争の経緯や王女達の滞在の件、魔王を討伐した事などの話をした。

魔王討伐の際に使った”最上級魔法”❛聖なる裁き❜ホーリー・ジャッジメントの光は、遠くこの国からも見えたと言う。


次第に俺と三国王は打ち解けて、後は皆で宴会をする事に成った。

俺は❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)から種々の酒とつまみを出す。

先ずはビールで乾杯だ。


「では!魔王の討伐と、人間国と三国の和平を祝しまして乾杯!」

「「「乾杯!!!」」」

…ぷはぁーっ。


久し振りに飲む酒は美味いぜ。

「マサちゃん、この”ビール”とかいうのはエールと違って美味いね~」

「おお~っと、この”ビーフジャーキー”ってつまみも美味いな兄貴」

「マサちゃん、もっと強い酒はないのか?…何々?この”ウオッカ”という酒か?……うひゃ~!これは強くて喉が焼けるぜ~」

「酒もつまみも沢山あるからさ、ダーちゃんもコテッちゃんもドンチャンも、ジャンジャンいってよ!」

「「「お~~~~っ!!!」」」


もうみんな”ちゃん”付けで呼び(コテッちゃんだけは兄貴と呼ぶが)あい、和気藹藹(わきあいあい)と酒を呑む。

エルフ王・獣人王・ドワーフ王は、元々幼馴染だったという。

その中に俺も混ざって、なんだか昔の会社での飲み会のようになった。

「俺、酒弱いからもうこの辺で…」

1時間も経った頃、ダーちゃんがそんな事を言いだした。

ちっ…まだ始まったばかりじゃ無ぇか。


「「魔法貰ったんだから❛フルヒール❜を掛けりゃいいじゃ無ぇか!」」

そうだそうだ!二人とも良い事言った!


「いや、目が回って唱えられないんだよ~」

「❛フルヒール❜がダメなら、[エリクサー]を飲めばいいじゃない!…ダーちゃんこれ飲めよ!」

俺は[エリクサー]の蓋を開け、ダーちゃんの口にねじ込む。


「んあ…ゴクゴク…なんだよこれ!”世界樹の雫”じゃんか!」

「ちゃうちゃう。これは俺が造った薬。[エリクサー]っていうの」

「「「エリクサー???」」」


「こまけぇこたぁいいんだよ!…みんなも飲めよ!酔いが回らなくなるからさ!…そしてまた酒を呑む!これ最強」

三人に[エリクサー]を配る。

こんな利用方法は間違っているが、今は良いじゃんそんな事。

あ、そういえば聞きたいことがあったんだ。


「そうだ、皆に聞きたいんだけどさ、何でこの世界の魔法は漢字名とカタカナ名の二つの魔法があるの?ダーちゃんやコテッちゃんの魔法は”カタカナ名”でドンちゃんの魔法は”漢字名”でしょ?不思議に思ってさ」


「うひゃぁ~このエリクサー?世界樹の雫?は効くね~酔いが少し醒めて来たわ~。ああ、魔法名ね~それはさ~元々同じなんだよ~。魔法はタロウ様とハナコ様の二人から祖先が教わったんだけど、何でもタロウ様が”カタカナ名が格好良いから”って言う理由で付けたんだって。ノースシーロード大陸の俺の家にハナコ様の書いた書物とか残ってるからさ~今度は家に遊びに来てよ!マサちゃん」

…成程ね…タロウは厨二病と。


「そんな事どうでもいいぜ!…女呼ぼうぜ女!…なぁ兄貴?女がいた方が、酒が進むだろう?」とコテッちゃんが騒ぎだした。

呼ぶというのならば是非も無い。

社会人たる者、接待は受けねば成らないのだ!!

「ゴホン……うん」


「「しかし、女房が…」」

「女衆は”婦人会”で今夜は帰ら無ぇえんだから大丈夫だって!…俺が一っ走り(スナック)に行って来るわ!兄貴待っててくれ!」

「コクリ…うん」


俺はそっと自分の[電話玉]を外して❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)に仕舞う。

子供達(王女とサラ)にバレては不味い。

大人の女性なんて久し振りだ。

女騎士達(第三騎士団)の女性はグスタフさんのシンパだったしな。

キャサリン・ミドルランド女王は――危険だ。思い出してはいけない!


15分も経たずにコテッちゃんと女性4人が入室して来た。

獣人が二人にエルフとドワーフが一人ずつ。

全員美人だが一人を除いて妙齢な年頃。


「あらあら、コテツ様が”手の空いてるヤツは来てくれ!”と慌てて仰られると思ったら、ダールトン国王様にドンゴ王様まで居られましたか…そしてそちら様は?」

一番年上の落ち着いた女性が話しかけてきた。

❛神の眼❜(ホーリー・アイ)を使う。


【名前】ミドリ

【年齢】35歳

【種族】獣人

【属性】なし

【状態】正常

【職業】スナックのママ

 Lv:9

 HP:425/425

 MP:30/30

【称号】なし


キツネっぽい顔の獣人の美女。

茶色くて長い髪。少し垂れ目に茶色の瞳。

左の眼の下にある泣きボクロが、何とも色っぽい。

この落ち着いた雰囲気の女性がスナックのママだ。

他の美女…美少女は18歳~20歳で若々し過ぎて目が合わせられない。


「なんだ、兄貴は年上が好みかぁ?…その”ママ”のミドリは、他の女の事を心配して付いてきたんだが…酒の酌をさせるだけで、取って食ったりはし無ぇってのにな…がっはっは」


「え?兄貴…私には人間に見えるのですが、コテツ様にお兄様がいらっしゃったのですか?初耳です」

「違ぇ違ぇ…兄貴は人間だぜ?」

「「そうそう、マサちゃんは人間だよ」」


「まあ、こまけぇこたぁいいじゃ無ぇか!…ささ、皆も呑もうぜ!ほれ、注いでくれ」

「「「は~い」」」


若い女性は各国王の横に座った。俺の隣はミドリさんだ。

「…お初にお目にかかります。スナック”若葉”のママ。ミドリと申します。どうぞ良しなに」

「はい。人間のマサトです。こちらこそよろしくお願いします」

「まあ、お堅い事。こんな小母ちゃんで御免なさいね…どうぞご一献」

そう言って酌を始めるミドリさん。


「何を仰いますか。こんな若くて美人な方に酌をして戴いて恐縮です」

本心だよ?…この世界に来て初めてベストな年齢の、しかも美女に会えた。


「もう~お上手な事。(おだ)てられると本気に成ってしまいますわ…うふふふふ」

うひゃ~!その笑顔、最高です。

営業スマイルだとは分かっていても、色っぺーッス。

やべー、心臓がバクバクして緊張してきた。

注がれるままにグイグイと酒を呷る。


「いや、本当ですよ?…ミドリさんはお綺麗だ…女性はこの位の年齢からが一番良いんじゃないですか!…偉い人にはそれがわからんのです」

「あら嬉しい。…マサト様と御呼びしても宜しいですわね?…(コクリ)……因みにマサト様は御幾つなので御座いましょうか?…私の年は御想像に御任せ致しますわ」

…いや、35歳って分かってるケドね。ここは空気を読みます。

「女性の年齢は分かりませんね~因みに俺は50歳ですよ~」


「「「「「「「…はあっ?」」」」」」」

お~っと、ここで全員の総ツッ込みが入りましたー。


「本当ですよ、何なら”鑑定の宝珠”で見て貰っても構いません」

「いえ、其処までは…」


「本当かよ兄貴!俺より二つ三つ上かと思っていたが…まさか、死んだ親爺より年上だったとは…」

ああ、コテッちゃんは29歳だったね。

「おい!そういう比較はすんなってーの!…悲しくなるだろうがよ」

「あはは~悪ぃ悪ぃ。兄貴は兄貴だ。歳は関係無ぇ」

「「そーだそーだ!マサちゃんはマサちゃんだ~あはは~」」

「おう!年が違っても友達だぜ!ダーちゃん!ドンちゃん!」


「あらあら、私よりも年上とは…それなのにその若さ。なんだか憎らしいですわ」

「年の話しは無し!それともミドリさん、”鑑定の宝珠”を使ってみる?」

「もう~マサト様のイ・ケ・ズ~!」

「あはははは~、ささ、呑もう呑もう!」



「よ~し、大分酔っぱらってまいりました~。ここらで王様ゲームしようぜ!」

「「「いや~ホントの王様なんだけど~」」」

「違うよ~棒に番号を書いて8本用意して~王様が他の人に命令できるゲームなんだよ~」

「「「命令なんていつもしてるよ~」」」


「ちょ、やってみるから~。じゃ、最初の王様は俺!…3番が6番にチューして!チュー!」

「兄貴!俺が3番だぜ!」

「ちょっと~私が6番よ~」

「じゃあ、じゃあコテッちゃんがエルフ娘ちゃんにチューだ!チュー!」

「それ、チューウ!…チューウ!…」

「「「「「「…ぎゃはははは!!!」」」」」」




チュン…チュン…。


ハッとして目が覚める。

朝チュンしてしまった。

何処かの部屋に泊めてくれたのだろう。

キチンとベッドに寝ていた――裸で。





隣にはミドリさんが寝ている――裸で。


うわぁ~やっちゃった~。

まあ、ちゃんと寝た(致した)事は覚えている。

女性を抱いたのは10年ぶりだろうか。

まだまだ俺のアレ(我が息子)も役にたったんだなぁと、()()みと感じた。


こちらに背を向け、未だに寝ているミドリさんに抱き着いてお腹の辺りを触る。

「…もう~マサト様?胸じゃ無くてお腹ですか…”太っている”などと言ったらペチンしますわよ?」

「そうじゃないよ。こうやって女性を後ろから抱いてお腹を触ってると、何だか安心するんだ…ここから生まれて来たんだな~って感じるのかなぁ?」

「うふふふふ…殿方のお手ては此方ですわよ?…アン…」

そう言って俺の手を胸の方に持って行く。

そうされれば脊髄反射で揉んじゃうモノだよね?


バターン!!

幸せな時間を破るように、突然部屋の扉が開けられた。

音のした方向に目を向けると、血相を変えたコテッちゃんが立っている。


「て、てーへんだ兄貴!…全身黒ずくめの服を着た女の子が”ご主人様を出せ!”って暴れてやがるんだよ!」



スーッっと背中に冷や汗を掻く。

犯人は黒いシルエットの奴ですか?…それは名探偵コ○ンに出て来る犯人です!



現実逃避は止めよう…それ、間違いなくサラだよね?

迂闊。”泊まるから心配いらない”って連絡しておけばよかった!


「…ご主人様ーー!!何処に――!…邪魔だ、どけ!!『わぁ~~!』『痛ぇ~!』――ご主人様!!」


――あれ、俺、殺されるかも……




――主人公も男なんです。分かってやって下さい。

物語とはいえ、流石にロリに手を出しちゃダメです!


まあ、年を取ってそのうちに…ね?

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