第一章 名を忘れた主人 第二十二話 “ 思い出 ”と母からの2番目の“ 贈り物 ”
導が、驚きを露わにしていると、フェルスが、地面から大剣を取り出す。
クリスタルと岩が合わさった様な人並みサイズの大きな大剣
神陽導
「ちょ、ちょ!なんで武器なんか取り出しているの!?」
フェルス
「弟の計画は、もう、最終段階なんだ」
「あとは、君を殺せば…我々の計画は“ 達成 ”されるんだ。その為の贄となれ!“ ルージュ ”!」
神陽導
「ヒャ!」
フェルスは、大剣を持って突進して来る。
導は、間一髪で右に避けるが、驚きが隠せなかった。
すぐに、バク転でフェルスから距離を取るものの、大剣を突き出す様に突進して来るので、内心ヒヤヒヤしながら避けまくっていた。
フェルス
「おいおい、何避けんだ?」
「戦えよ!その為の武器じゃねぇのかよ?!“ ルージュ ”!」
フェルスは、導が左手に持っていた剣を指差しながら言い放つ。
導は、後退る。剣に、視線を向ける。
神陽導
「これは…」
フェルス
「武器ってもんわなぁ…」
「初めは、“ 守る ”為にあったんだ。だが、今は、“ 奪う ”為にあんだよ」
神陽導
「…ッッ……」
フェルス
「身体は、血塗れにならない。逆に武器だけは…“ 血塗れ ”になるんだ」
「さぁ、どうする?お前の“ 武器 ”は、とっくのとうに“ 血塗れ ”だろ?」
導の顔から、血の気が引く。
首を左右に振って、一歩、また、一歩と後ろへと退がる。
壁まで、後退る。背中に、ゴツゴツとした感覚がした。
一番、後ろまで下がったのだ。涙が、溢れて来てしまう。
まるで、自分自身が、「殺人鬼」の様に思えてしまう。
フェルス
「泣いてどうする。このまま俺たちの贄となった方が楽だぞ?」
「“ ルージュ ”」
フェルスは、いつのまにか、目の前に居た。
そして、そう耳元で囁かされた。
導の脳内では…
「どうしたらいいんだろ。このまま贄になった方がいいのかな」
「“ 血塗れ ”…私…いつの間に…“ 殺人鬼 ”になってたの?お母さん、お父さん…私って…何…」
フェルスが、無言で大剣を振り上げる。
________
フェルスの脳内
謎の声
「辞めなさい。お前まで、苦しみを背負うものじゃない」
「深呼吸をしない。お前は、お前の任務を果たしない。フェルス」
優しい声だった。透き通る様で、頭を「ポンポン」と撫でられる感覚も同時に襲って来た。
後ろを振り向く。誰も居なかった。
声は、消えていた。
フェルスが、喋らなければ、今の心境を明かす様に雨が降り始める。
土砂降りの様に、数メートル先も見えないほどの土砂降りだった。
その場をそっと誰かが見ていた。
その人は、白髪だった。綺麗で美しい母性溢れる様な人だった。
謎の人
「今の彼を助けれるのは、貴方だけよ」
「いい?ルージュ」
横に、黒髪ロングの女性が現れる。
黒髪の人
「だからよぉ、救ってやれお前の浄化の炎で」
________
導は、下を向いていた。だけど、すぐに腕を使って涙を拭った。
神陽導
「ねぇ、フェルス」
フェルス
「なんだ」
神陽導
「最後に、一言言わせて」
フェルス
「構わん」
導は、深呼吸をして、顔を上げた。フェルスの顔をしっかりと見て口を開けた。
神陽導
「私は、貴方を受け入れられない。貴方は、貴方じゃないから!」
導の足元から、炎の竜巻が発生した。
フェルスの背後から、中性的な声の笑い声が一瞬聞こえた気がした。
フェルスは、咄嗟に距離を取る。
導を覆っている炎の竜巻は、天高く上り上がっている。
そして、頂点に達した時、空には7つの星の光が浮かび上がっていた。
赤い星を中心に、青、薄水色、黄色、緑、エメラルドグリーン、茶色に輝く星が浮かび、それは、フェルスに向かって追尾する様に飛んでいくのであった。
フェルスは、大剣で防いだり、攻撃をしたりして回避するが、ほぼ全ての攻撃を至近距離で受けたも同然だった。
炎の竜巻が晴れると、そこから、白いドレスに似た戦闘服になる。
頭に付けていた赤いバラの髪飾りは、太陽を模した飾りに変化していた。
「キリッ」とした面構えは、先程の弱々しい態度とはうって変わる。
“ 武器 ”も鞘から抜いており、薄い炎が燃える赤やオレンジに輝く神剣が姿を現していた。
フェルス
「ふふ、アッハハ!真正面から挑むとは、いい度胸だ」
「褒めてやるよ!そのまま死にたえろ!“ ルージュ・フランマ・アスタロト ”!」
神陽導
「死に絶えなかしない!私は、大切な“ 親友 ”たちのもとに、帰るのぉぉぉ!!!」
ここからは、2人の攻防戦が続いた。
フェルスが、大剣を地面に叩き落とす様にすれば、導は避けて背後から攻撃を繰り出す。
フェルスの攻撃は、一発、一発の威力が可笑しかった。
地面には大きな亀裂が入り、ボコボコになっていく。
逆に、導は、炎特有の技を使って、攻撃を惑わせたりする。
導が、フェルスの背後を取ろうと炎の分身でやり過ごそうとした時に、本体のもとに大剣が吹っ飛んでくる。
導は、咄嗟に地面を蹴って上の方に逃げる。
フェルスは、「ハァ…ハァ…」と息遣いが荒くなって来ていた。
その事に気づくと、フェルスは、余計に身体に無茶の掛かる動きで、導を翻弄もとい負担を掛けていた。
神陽導
「フェルス!もう、やめよ!」
「私、これ以上貴方を傷付けたくない!」
フェルス
「……戯言を…!」
フェルスが、地面を蹴って導に近づき、大剣を振り回す。
それでも、フェルスの身体からは血が流れ続ける。
フェルス
「ハァ…ハァ…ゲホッ…」
導が、剣を鞘に入れようとする。
フェルスは、それを見て、導の背後に移動して大剣を振り下ろそうとした。
が
ガシャン
ゲボォ…ペシャッ…
フェルスの大剣が、空を切る。
そのまま、フェルスは四つん這いになって口元から大量の赤黒い血を吐く。
神陽導
「フェルス!もうダメ!動いちゃダメ!」
フェルスは、必死に手を大剣に伸ばそうとする。
でも、それを導がそっと留めて抱きしめる。
導の白い戦闘服が、フェルスの血で赤黒く染まっていく。
神陽導
「ダメ!動かないで…」
「今、手当てするから…お願いだから!動かないで!」
導が手に赤い炎を出す。
それをフェルスに近付けようとするが、フェルスが手首を掴んで弱々しくも近づけまいとする。
フェルス
「ゲホッ…」
大量の血を吐きながら、虚な目になっていた。
神陽導
「大丈夫、ただ、治療するからね」
フェルス
「すまない…」
フェルスの手に、茶色の光が、集約させて導の胸の中にそっと入れて上げた。
「ニコッ」と優しく笑顔を見せると…
導が、その場から姿を消した。
空から砂埃が、落ちてくる。
フェルスの目から涙が出ていた。
フェルス
「アハ…少し無茶しちゃった」
「ごめんなさい…父さん、兄さん…」
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次回もお楽しみに、お待ちくださいね♪
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次回
第一章 名を忘れた主人 第二十三話 眠り姫




