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太陽伝承  作者: 偽善の仮面
第一章 名を忘れた主人
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第一章 名を忘れた主人 第二話 過去の遺物

 

 

ドンッ…

 

そんな音が部屋に響く。

 

 

少女

「イッタ!」

 

 

ベッドから、オレンジ髪のショートヘアの少女が落ちる。

ボサボサの髪のブンブンと振る。

 

頭には、小さなたんこぶがあった。

少女は、たんこぶを手で押さえて、立ち上がると部屋を後にし冷凍庫から保冷剤を取り出した。

 

その保冷剤をタオルで包んで、たんこぶに当てる。

冷や冷やの保冷剤が、気持ちいい。

 

数分ほど当てていれば、たんこぶも引いていく。

少女が、壁に掛けられている時計に視線を移した。

 

 

少女

「!?…ヤバィィィ!!」

 


少女が、慌てて、さっきまで寝ていた部屋へと向かう。

時刻は、午前7時半を指していた。

 

そして、カバンを持って、玄関に行って朝食を食べずに外へ行くと、手加減なしの本気の猛ダッシュで、学校へ向かっていた。

 

 

少女

「ヤバい!学校に遅刻する!!」

「それは、まずいぃぃ!!」

 

 

そんな事をいいながら、目にも止まらぬスピードで走っていた。

家を出て、3分が経過しようとしていた。

 

学校の校門が、目に入る。

すると、近くの住宅街への曲がり角から人が出て来るのが目に見えた。

 

少女が、急いでくの字になる様にして、「キ、キキー」と急ブレーキを掛けるが如く止まろうとして、曲がり角から現れた人に当たる寸前で止まった。

 

少女が、ホッと胸をなで下ろしていると…

目の前の男性が、手首を急に力強く握って来ると、そのまま住宅街の方へと引っ張られて、口元に向かって変な臭いのするハンカチを押し当てて来ようとした時に、恐怖から目を「ギュッ」と閉じた。


 

身体に、草むらに寝っ転がった様な感覚がする。

鼻を突き抜けるのは、甘い香り。

 

ゆっくりと目を開ける。

一番最初に見えたのは、赤い花だった。

 

手を地面にに付けて、身体を起こすと周りには、自身を中心に7色の花が咲き誇っていた。

風が時折強く吹く。

 

風で前髪が崩れると、7色の花びらが綺麗に空へと舞っていく。

 

そんな光景を、綺麗な太陽の様な赤い瞳で見上げる。

その瞳は、空へと舞っていく花びらを見続ける。どこか懐かしい光景だったからだ。

 

ふと、胸元に手をそっと置く。

「懐かしい。私の第二の故郷みたいなそんな温かさがあるな…」

何故か、そう思ってしまう。

 

少女は、徐に立ち上がる。綺麗な花を踏まない様に、適当に赤い花のある方へ歩いて行くと獣道を見つける。

先ほどから、風で舞っていた花びらが、少女を案内するかの様に先に進む。

 

少女は、その花びらもとい、風の吹く方へ向かった。

 

数分ほど森の中を歩いた気がした。

目の前に、明るい場所を発見する。そこまで小走りで、向かえば…

 

 

絶景だった。

森が開けた先には、崖の様な場所に行き着くが、その遠くには大きな城があり、その手前に金色に輝く米や麦の畑が一面に広がる光景


美しかった。幻想的なその景色に、見惚れてしまう少女

 

 

少女

「綺麗…」


???

「ふふ、そうでしょう?」

 

 

少女が、「バッ」と後ろを振り向く。

そこには、地面に付きそうなくらい長い藍色から薄水色の髪に、紫と緑の大きな瞳が特徴な150cmくらいの小柄な女性が立っていた。

 

少女が、「ギョッ」としているのもお構いなしに、謎の人物は語り出す。

 

 

謎の人物

「あの城は、クンペル城って言うの」

「導ちゃんが、作ったお城なんだよ!」

 

神陽導

「なんで、私の名前を!」

 

謎の人物

「それは、ひ・み・つ」

「これから、貴方には、この広大な世界で生きて貰います!」

 

神陽導

「なぁ!急にそんな事言われても困るよ!」

 

 

導は、手をグーにして前屈みになって抗議する。

 

 

謎の人物

「まぁ、そう言うよねぇ〜」

「でも、この世界は、君を必要としている」

 

神陽導

「なんで!」

「私、早く元いた場所に戻らないとなのに!学校に遅れちゃう!」

 

謎の人物

「もう、遅れてると思うよ」

「だって、君のいた人間界の時間はもう午後18時とかだし」

 

 

人差し指を立てて、頬に当て素っ頓狂な顔でそう言う。謎の人物

 

 

神陽導

「嘘でしょ…学校終わっちゃってる…」

「とーにーかーく!私を元いた場所に帰して!」

 

謎の人物

「それは、出来ないよ」

「だって、此処はもうすぐ消滅してしまうよ?君がいないと」

 

 

人差し指を導の方へ向けて言い放つ。

謎の人物は続けて…

 

 

謎の人物

「それに、此処は、君の第二の故郷だ」

「故郷が無くなるのは嫌でしょ?」

 

神陽導

「「故郷」って呼ばれても、困るよ」

「私に、こんな“ 故(・)郷(・) ”なんてないもの!」

 

 

導は、困り顔で言い放つ。

その表情を見ても何も思っていないのか、謎の人物はそんな言葉を無視して続ける。

 

 

謎の人物

「……でも、此処に来た時、どこか懐かしさを感じただろう?」

「その感覚を覚えておくことだね」

 

 

そう、冷酷的な口調で言い放ち、その場から立ち去る謎の人物

 

 

神陽導

「あっ、ちょっ!」

「せめて、元の場所に帰してよーー!!」

 

 

謎の人物は、森の奥へと消えていった。

困り顔で、周りを「キョロキョロ」と見渡す。

 

気付けば、此処も太陽が沈み始めていた。

金色に輝く畑に、磨きが掛かったかの様に黄金に輝く。

 

だが、そんな事は導には関係のない事だった。

 

「一刻も早く元いた場所に帰らなければ」

 

そう思っていたが、どうしても心残りがあった。

先ほどまでいた謎の人物が言い残した言葉だった。

 

 

神陽導

「その感覚を覚えておくことだね…」

「何が言いたいんだろ…」

 

 

導は、そう言って再度森の中へと戻って、人が居そうな場所まで行こうと動きだした。

 

 


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