第一章 名を忘れた主人 第一話 預言者が残した言葉
これは、ある者が言った言葉だ。
そのある者は、自身のことを、「観測者」だと名乗った。
「観測者」は、多くの言葉を残した。
彼女の残した言葉を、純粋に実行すればいいことが、実行しなければ不運に見舞われる。
この世界では、「預言」こそが最高の至高の領域とされる程だ。
だが、その「預言」も廃れていった。
ある者が、生まれたせいで…
その名は、“ 先導者 ”が現れてからは、観測者は、何一つ言葉を発さなくなった。
ただ、最後に残した言葉があった。
「彼女らが、新たな王となり、世界を導いてくれるだろう」
「彼女らは、失敗やミスを起こす事だってある。だが、世界は、その方がいいのだ」
その言葉を言い残し、観測者は、彼女らの近くで様子を見守っていた。
だが、最後に、彼女らに向けて言い残した言葉がある。
「君たちは、これからとてつもない事件に遭うただろう」
「僕には、それを止める力があるが、それは“ 世界のルール ”に違反してしまう」
その言葉を聞いた彼女らは、何かを決意する。
それ以降、彼女らは、王ではなく、全ての人の“ 親友 ”として扱い、親友として問題へと突き進んでいった。
周囲からは、「王としての自覚や責任から逃れようとしている」などと罵倒される事もあった。
だが、その言葉も真摯に受け止めて親友として、問題を解決したり説得しようとしていた。
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ある赤い月の日、彼女は、全てを失った。
全ての“ 親友 ”を失い、“ 親友 ”たちと育んで来た世界が、血まみれになった。
彼女は、一人で血塗れの世界で、泣き崩れる事しか出来なかった。
「守りたい」
「守れなかった人、場所、思い出、全て守りたかった」
背後から、声が聞こえた。
彼女は、後ろを振り向かなかった。
怖かったから、今まで自分がやって来た事、全てが“ 悪い事 ”にしか思えなくて直視出来なかった。
「いいよ。僕の力で、全部、一からやり直させてあげる」
「その代わり、最高の世界にして、君のやって来た事は全てが正しいとは言えないでも、僕は、君の事を信じている」
彼女は、目を大きく見開いた。
背後から、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「それじゃ、行ってらっしゃい」
「初代最上級神様、いや、僕の大親友の“ ブラン ”」
「うん、頑張って来る」
「観測者」
その言葉を残し、“ ブラン ”は、光の粒子へとなって消えていった。
「観測者」は、光の粒子を見送った。
「さ〜て、この空間の終わりを俺様は、宣言する」
「人のいない世界なんて、ただのゴミ同然だからね。さよなら」
冷酷な声で、言い放つ。
赤い月が、ドロリと溶け始めた。
そして、空間が液体の様に溶けていく。
「あ〜あ、呆気ない」
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まるで、画面の向こう側にいる者に言うかの様に、シーっと言うポーズをとって、「観測者」は、また、口を開いた。
「正しい道を歩むには、一人では無理だ」
「そして、この世界は、“ 器でない者が、先導者をやるべきものではない ”」
世界は、生き物の様に呼吸をするのだ。
世界だって、一種の生物であると私は、思う。
私は、それを踏み躙られた様に感じてしまった。




