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太陽伝承  作者: 偽善の仮面
第一章 名を忘れた主人
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第一章 名を忘れた主人 第十九話 “ 思い出 ”の力



パチ…パチ…


瞬きをする。肌に柔らかな感覚がした。

そちらの方を見れば、薄い布団が掛けられていた。


その薄い布団を退ければ、鞘に入った“ 剣(・) ”があった。

剣に触ると、脳内にノイズが走る。


ザー


と、ノイズ音が走った。

映ったのは、両手でその剣を握る自分の手と思われる手、目の前には黒髪の長い髪の女性ぽい人だった。


__________


目の前の人が喋った。


黒髪の人

「持っておけ、それはお前を守る為のものだ」


少々、攻撃的な口調の女性的な声だった。


自分?

「いらないよ〜!」

「危険なことなんて、絶対あり得ないもん!」


黒髪の人

「そう思いたいのであれば、持ったなくていい」

「俺(アタシ)は、お前の母親に「持たせろ」と言われたから、態々持って来てやっただけだ」


自分

「お母様が?」

「……分かった。まぁ、使わないだろうけど…持っておく!」


黒髪の人

「勝手にしろ」


そう言って、そのまま立ち去った。


__________


また、脳内にノイズが走った。

脳内に映った映像は、此処で終わった。


神陽導

「あの人は…」


そう口走った。

咄嗟に、思い浮かんだ言葉があった。


「お父様」


その言葉が出てくると、心の奥で納得してしまっている自分がいた。

「ブルブル」と顔を横に振って、「パン!」と手で頬を叩いて気合いを入れる。


そして、今、気づいた事実があった。


神陽導

「あれ…なんで私、床で寝てたの?」

「私、柱に縛られてたのに…なんで?誰が私を助けたの?」


そんな事を言いながら、あたりを見渡す。

そして、扉を見つける。フェルスが出ていった扉だった。


“ 剣 ”を片手に、その扉を「ソー」っと慎重に開けると、目を疑った。

他の扉や壁、天井、床が、クリスタルや岩に覆われていた。


幻想的な光景だったと共に、驚きが出てくる。


神陽導

「えぇーー!?!?」

「えっ、此処ってこんな場所なの!?凄っ…綺麗…」


その幻想的な光景に見惚れながら、近くの扉に向かうと床の岩が扉をひさぐ様に、伸びてくる。

導は、片足を上げて驚きを露わにする。


神陽導

「あっぶな!もう、危険すぎでしょ!」


そう「ブツブツ」と文句を言いながら、奥の方へと進む。

扉や曲がり角が、近づけば…岩やクリスタルが道を塞ぐ。


一番奥まで、進んだ。

目の前には、大きな扉があった。近づこうとしても、岩やクリスタルが伸びてくることもなかった。


大きな扉を開けようとドアノブを握り開ければ…


クリスタルの柱、ゴツゴツとした壁、マグマの電球があった。

奥には、岩石で出来た玉座と、そこに座る“ フェルス ”の姿も同時に見ることが出来た。


神陽導

「フェルス…」


フェルス

「……起きたか?」

「それで、なんの様だ?」


威圧的な声だった。


神陽導

「どうして、こんなことしたの?」

「話し合いで、解決は出来ないことなの?」


フェルス

「無理だ。今の神界は、“ 崩(・)壊(・) ”寸前だ」

「それは、“ 話し合い ”どうこうで解決する事ではない。“ 先(・)導(・)者(・) ”が、居なければまともに動けない世界なら…“ 先(・)導(・)者(・) ”を““ 世(・)界(・)の(・)中(・)に(・)取(・)り(・)込(・)め(・) ””ばいいんだよ」


神陽導

「ひっ…!」


導の背筋が凍った様な感覚がした。


神陽導

「な、何を言ってるの?」

「そんな事…出来るはずがないでしょう!そんな物騒な事言わないでよ!気持ち悪い!」


フェルス

「本気で思っているのだから、言うのだろう?」

「お前を世界に取り込ませれば、少なくとも“ 神界 ”は今よりももっと良くなるはずだ」


フェルスは、真顔でそう言い続ける。

導からしたら、それが、どれほど恐ろしい事か分かり知れないだろう。


導は、顔を歪め、一歩、また、一歩と後退る。

恐怖が、体を支配するのだ。仕方のない事だ。


フェルスが、玉座から立ち上がり、導の元へと歩む。


神陽導

「いや!近づいて来ないで!」

「そんなおっそろしい、計画に私を巻き込まないでよ!」


フェルスが、導の前まで、やってくる。

そして、手を伸ばして導の肩に置く。


フェルス

「安心しろ。これは、お前の為だ」

「これならも記憶も取り戻せてる。そして、お前が何者なのか…即座に分かるだろう」


導の動きが、「ピタッ」と止まる。

「自分が何者なのか、“ 即座 ”に分かる事だろう」

この言葉が、「本当の事」ならのってもいいのかも知れない。


でも、やっぱり怖いものは、怖かった。


導は、下を向く。

「何者なのか、知れる」でも、「今の友達を失うのはもっと嫌」


導が、ゆっくりと顔を上げる。


神陽導

「その計画を受け入れたら、私はどうなるの?」


震えた声だった。

でも、真っ直ぐにフェルスの目を見ていた。


フェルスは、口を開く。


フェルス

「世界と君を繋ぐ。ただそれだけだ」

「確かに、受け入れれば君は、世界と君は、“ 同一人物 ”となる。それは、決して悪い事じゃない」


神陽導

「世界と“ 同一人物 ”…」


フェルス

「嗚呼、君は世界の声を聞くことが出来る」

「それだけでも、ごく限られた者にしか出来ない偉業だ」


導は、考え込む。

正直言って…

「“ い(・)い(・)事(・) ”の様にも聞こえるし、“ 悪(・)い(・)事(・) ”の様にも聞こえる」

判断ができなかった。


神陽導

「“ 記憶 ”だけ、思い出させるってことはできないの?」


フェルス

「我々の持つ技術では、世界と同期しなければ…不可能だ」

「君の記憶を思い出させる方法は、“ 世界が持ってる君の記憶を見つけて思い出させる ”と言う感じだからな」


神陽導

「そっか…」

「みんなの意見を聞くのは…ダメ?」


フェルス

「無理だろう」

「我々の王国と、君の言う「みんな」とは、現在、敵対関係だ。平等には考えてはくれないだろう…」


神陽導

「そっか…」

「分かった。私、受ける!貴方の計画って言うやつに賛成する!」


フェルス

「確実に成功するとは、言えないが?」

「それでもか?」


神陽導

「それでも!何事にも“ チ(・)ャ(・)レ(・)ン(・)ジ(・) ”は必須だからね!」


フェルス

「そうか…」

「では、案内しよう」


導が、フェルスに付いて行こうとした時…

フェルスが、導を身体を包み込んで横に逸らす。


バッコーーン!!!


そんな大きな音を立てて、大きな扉が破壊されたのであった。

そして、そこから、入って来たのは…



作品を読んで頂き誠にありがとうございます。

もし、この作品が良ければブックマークや星を押してくれると、作品制作が捗るのでよろしくお願いします。


次回もお楽しみに、お待ちくださいね♪


________________


次回

 第一章 名を忘れた主人 第二十話 蝕まれていた

 


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