第一章 名を忘れた主人 第十話 監視
金色の装飾がされた大きな扉が開かれる。
部屋には、高さ5メートル、直径7メートルにも及ぶキャンドル形電球の大きなシャンデリア
大きな扉の奥には、10段の階段を上がると、大きな玉座があった。
金色に飾られ、熱くない炎の装飾が施された大きな玉座
其処に、足を組んで座っている者がいた。
オレンジ色の髪、赤いメッシュ、オーロラの様な綺麗な瞳の王
扉から、緑髪のショートヘアの人が入ってくる。
背筋を「ピンッ」と伸ばし、「コツ…コツ…」と規則正しい足音が周囲に響く。
緑髪の人が、玉座へと繋がる階段を登り、玉座の横へと立つ。
彼の後ろからついて来ていた者は、王の座る階段の前で跪く。
???
「王、この度は、王との面会の機会を与えて下さり誠に有難う御座います」
王
「そんな堅苦しい事は、どうでもいい」
「それで、君は内部告発を提唱するんだね?」
???
「はい!この度、私は、ラント王国とクンペル王国が犯した“ 罪 ”を密告します」
緑髪の人
「では、具体的な証拠は?」
???
「はい、この告発は衝動的に行ってしまったので、音声のみとなっていますが、こちらになります」
男が、胸元からボイスレコーダーの様な者を取り出し、「ピッ」とボタンを押す。
そうすれば、音声が流れ始める。
__________
音声の声
???
「と、言うわけだがどう思う。ヴァッサー」
ヴァッサー
「えぇ〜いいと思うよ!」
「サンダー王国が、神界大帝國を利用したのが悪いもんね!」
???
「嗚呼、そうだな」
「まさか、“ 神界大帝國 ”の王を利用するとは思わなかった」
ヴァッサー
「そう言うときは、先手必勝!先殺し!をすればいいんだもんね!」
「やっぱ、レプブリークは賢いねぇ〜!」
レプブリーク
「それほどでもない」
「“ 最上級神 ”の身元は、コチラで丁重に保護しておく。お前は、王の暗殺の準備に徹しろ」
ヴァッサー
「分かってるよ〜」
「でも、レプブリークも頑張ってね!“ 最上級神 ”様の洗脳!」
レプブリーク
「嗚呼、任せろ」
__________
音声は、ここで止まった。
???
「と言う事です」
緑髪の人
「名前も犯そうとしている罪の発言もきちんと取れていますね」
王
「そう、んじゃ、トゥマイニ」
「情報収集とかの部隊にこの事報告して、情報収集する様にしておいて〜」
トゥマイニ
「承知致しました」
「では、これにて、面会を終了とさせて頂きます」
???
「はい!今日は、私の告発を受け入れて頂き誠に有難う御座います」
そう言って、男は立ち去った。
王とトゥマイニは、2人きりになった面会室で…
王
「どう思う」
トゥマイニ
「あの告発は、概ね事実かと…」
「音声だけなので、少々証拠不足は否めませんが…」
王
「ふ〜ん、んじゃ、調査任せたよ」
「ヴィント」
ヴィント
「へぇ〜い」
面会室の王専用の出入り口から、黄緑からエメラルドグリーンの髪の男性が、地面から5センチほど浮いて現れた。
その顔は、「ドヤッ」としており自信に満ち溢れていた。
そして、その身体は、風へとなって消えていった。
王
「任せたよ」
「………“ 最上級神 ”様…どうかご無事で」
__________
一方、導はと言えばレプブリッカの案内で、最重要人物が訪れ泊まる際の特別な部屋に泊まることになった。
導は、あまりの警備の厳重さに驚いていたが、シヒルが現状を伝えてなんとか納得して、部屋の奥に入った。
レプブリッカは、設置されている本棚に、“ 最上級神 ”のことが書かれた古文書を置いて、一礼して、その場を去った。
ボフッ
導は、ベッドにダイブする。
フッカフッカの布団は、導を包み込む。
仰向けになって、「ホッ」と胸を撫で下ろしていれば、眠気が襲って来る。
瞼が、落ちて来るのを我慢しているが、布団の温かみが、身体を覆っ温もりに包まれる。
数分もすれば、「スゥースゥー」と可愛らしい寝息を立てながら、身体を丸める様にして眠っていた。
シヒルが、それに気づけば、翼を一生懸命に羽ばたかせながら導に薄い毛布を掛けてあげる。
シヒル
「お疲れ様です。主人様」
シヒルは、そのまま、古文書のある本棚の元へ行き、一冊の古文書を念力で本棚から取り出すと、丸いテーブルの上に置いて、中身を読み始める。
この古文書の保存状態は、かなりよく掠れている所はあるが、読めないほどではない。
シヒルは、古文書の内容を見ながら、思い出に浸る様にしながら古文書を読み進める。
時折、上を見上げて、「思い出」をより鮮明に思い出す。
ただ、それだけなのに、自身の主人様は、それを記憶してない。
そのことを思ってしまっては、少しだけ心の奥が虚しくなってしまう。
ガタガタ
窓が風でガタガタと音を立てて揺れる。
シヒル
「やはり、此処は塔の上な為に風が強いですね」
神陽導
「スヤッ…」
シヒルが、導の元に静かに飛んで行き、翼を使って優しく導の頭を撫でてあげる。
シヒル
「今日は、お疲れ様です。主人様」
「今は、いっぱい寝てもいいですよ。誰も咎めませんからね」
シヒルは、優しい笑みを浮かべてそっと見守っている。
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次回
第一章 名を忘れた主人 第十一話 神界の夜




