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正常ではない二人の幸福  作者: 孤高のじん
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第15章 完結へ 罪の償い

朝が来た。


いつもと変わらない朝。


でも、僕たちの時間は、あの日から止まったままだった。


隠していたこと。

背負っていた罪。

そして、愛という言葉で正当化しようとしていたもの。


すべてを話す時が来た。


これは、僕たちが選んだ最後の道の物語。


第15章――完結編。


最後まで、見届けてください。


朝が来た。


いつもと変わらない朝だった。


カーテンの隙間から光が差し込む。


テレビからはニュースの音が流れている。


街は昨日と同じように動いていた。


でも。


僕たちの時間だけは、あの日から止まったままだった。


彼女は静かにテーブルへ座っていた。


その顔には、もう隠すものがなかった。


僕も同じだった。


「話して。」


僕が言うと、彼女は小さく頷いた。


「お姉ちゃんからのメッセージのこと?」


胸が締め付けられる。


あの夜。


偶然見えたスマホの画面。


『約束通りにするね。』


あの言葉がずっと頭から離れなかった。


「何の約束やったん。」


彼女はしばらく黙っていた。


そして、静かに口を開いた。


「あの日、お姉ちゃんに言われたんよ。」


『この子を一人にしたらあかんよ。』


その言葉を聞いた瞬間、息が止まった。


姉は最後まで彼女の心配をしていた。


自分のことではなく。


妹のことを。


「私、お姉ちゃんに言った。」


彼女の目から涙が落ちる。


「もう苦しまなくていいって。」


僕は何も言えなかった。


「あなたも苦しんでた。」


「私も苦しかった。」


「三人とも、ずっと誰かを守ろうとしてた。」


でも。


その方法を間違えた。


彼女は拳を握った。


「あの時、私は止められた。」


「でも……止めなかった。」


静かな声だった。


その言葉の重さに、胸が押し潰されそうになる。


僕だけの罪じゃなかった。


彼女も背負っていた。


姉もまた、最後まで何かを抱えていた。


「俺が一人でやったことにすればいいと思った。」


僕は呟いた。


「お前には普通に生きてほしかった。」


彼女は泣きながら首を振った。


「私も同じこと考えてた。」


「あなたが全部背負えば、あなたは壊れる。」


「でも、私が一緒に背負えば……二人なら耐えられるって思った。」


僕は笑えなかった。


それは愛じゃない。


そう言い切れなかった。


始まりは確かに愛だった。


でも。


愛だけを理由にして、間違ったことを正当化した。


それが僕たちの罪だった。


「お姉ちゃんは……最後まで私たちを心配してた。」


彼女は泣きながら言った。


「だからメッセージを残した。」


『約束通りにするね。』


それは。


私たちの秘密を守るという意味じゃなかった。


最後まで妹を守るという、姉の覚悟だった。


僕は初めて理解した。


姉は誰かを傷つけるために存在していたんじゃない。


最後まで誰かを愛する人だった。


だからこそ。


僕たちがしたことの重さが分かった。


逃げてはいけない。


愛していたから許されるなんて、そんな都合のいい話はない。


「行こう。」


僕が言った。


彼女は頷いた。


泣きながら。


でも、逃げる顔ではなかった。


玄関へ向かう。


靴を履く。


この扉を開けた先にあるのは、


罰。


後悔。


失った時間。


それでも。


初めて真正面から向き合う未来だった。


「最後に一つだけ。」


彼女が言った。


僕は振り返る。


「出会えて幸せやった。」


胸が苦しくなる。


「俺も。」


それは嘘じゃなかった。


全部が間違いだったわけじゃない。


笑った時間も。


愛した時間も。


確かに本物だった。


だからこそ。


失ったものの重さを忘れない。


扉を開ける。


冷たい風が吹いた。


僕たちは別々の道を歩き始める。


もう隣にはいない。


でも。


この先ずっと背負っていくものは同じだった。


愛していた。


だから間違えた。


でも。


本当に愛していたなら。


最後は相手の人生を奪わないことだった。


僕はそれを、


全て失った後で知った。


あの日の空と同じ空が広がっていた。


世界は何も変わらない。


変わったのは僕たちだった。


そして。


その変化から逃げずに生きること。


それが、


僕たちに残された最後の愛だった。


ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。


この物語は、第15章をもって本編完結となります。


「守る」という言葉から始まり、

「背負う」という覚悟へ進み、

最後には「間違った愛」と向き合うことになった二人。


罪は消えません。

失ったものも戻りません。


それでも、自分たちの犯したことから逃げずに生きる。


それが、この物語で二人が選んだ答えです。


そして――


物語には、もう一つだけ残された時間があります。


本編のその先にある、二人の未来。


第16章は番外編として、二人がそれぞれの場所で過ごす時間を描きます。


本編とは少し違う形で、

最後の物語を届けたいと思います。


ここまで本当にありがとうございました。

最後の1章も、ぜひ見届けてください。


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