97話
トロールを倒した後、2人は橋の向こうから馬車が渡ってくるのに気づいた。トロールがいたせいで橋を渡れずに困っていた所を、ミックたちが倒したので渡ってきたのだろう。2人の前に来ると、馬車から男が下りて頭を下げる。
「旅のお方ありがとうございます。あの魔物のせいで立ち往生して困っていたのです」
「別に、丁度あたしらも渡るのに邪魔だったから倒しただけ……」
アンジーが答えてる最中に、オーランドが脇から割り込んでくる。さっきまで重症だったのにもう充分動けるようだ。
「このオーランド、当然の事を下までで礼には及ばぬ。しかし、この辺は安全と言えど、さっきの様に魔物が出るから気を付ける事だ。しかし、いかなる目的でそんな馬車でこの辺りへ?」
「ええ、我々は橋の向こうの村から来たんですが、ちょっと厄介な事がりましてね。家族と共にバーズに引っ越す事に決めまして……」
馬車の荷台には、引っ越しの道具と、男の家族であろう女性に子供が2人乗っていた。引っ越しを決意させる何があったのだろうか。
「厄介な事とは? このオーランド、騎士として民の為ならいかなる問題も解決するよう努めるつもりだ。話してくれ」
勝手に話を進めて問題を引き受けようとしたため、流石にアンジーが横からオーランドを蹴りつけた。
「ちょっと! あたしらにはやる事があるだろうが! 道草食ってる余裕なんてないんだよ!」
「戦士殿、目の前の困っている民を助けられずして、何を己の事が出来ようか? 騎士としての責務をサボる事は出来ぬのだ」
ミックたちは果ての山脈へ向かう目的がある。しかし、オーランドは首を突っ込んだ以上、その問題を解決しないといけない風な雰囲気になっていた。少なくとも、ミックも気になってしまった。
「村で何があったんです?」
「はいあまり大きな声では言えないんですが、吸血鬼が村を襲う様になって……」
「吸血鬼!?」
思わず大きな声で叫んでしまった。流石に、アンジーも興味をおぼえずにはいられなかった。
「度々、家畜が何者かに殺される事件が村でおきましてね。まだ人間の被害は出てないんですが、あまりにも不気味で我々一家は村を出る事にしたんです」
「それが何で吸血鬼の仕業と分かったの?」
リサも質問をする。吸血鬼はこの世界でも、おとぎ話や噂の風聞でしかその名を聞かない存在だ。
「実は、その吸血鬼は村に住んでいて、そいつの仕業たと思われてるんですが、本人は決して認めようとしてないんです」
どうやら、ただの怪物退治等の問題ではなさそうだとミックたちは感じられずにいられなかった。




