91話
「はい、それは確かに間違いではありません。私はネクロマンサーの下で10年も従って魔法を教わっていました」
「でも、それは記憶を操られていたからで、彼女の力がなければネクロマンサーの捕縛は出来なかったのも事実です!」
すかさずミックが擁護する。アークメイジはさっと手をかざす。ミックに落ち着く様促す。
「それも聞いている。それに彼女には2元素を操る魔法の素質もある。そんな逸材をみすみす手放す事はギルドにとっても惜しい」
どうやらリサがネクロマンサーに操られていた事は不問にしてくれるらしい。そう聞いてミックは安心する。
「2元素の魔法を使える少女と、古代の転ばし魔法を使える少年。我々ギルドの興味は君たちにある」
アークメイジがそういうと2人の椅子が独りでに前に滑るように彼の机の前にまで移動する。
「君たちは魔法使いギルドの正式な一員として認めよう。これがその証だ」
そう言って、ギルドのシンボルマークをかたどった勲章を渡される。はんば一方的だが、2人はギルドのメンバーに加わった事になる。
「あたしにはなにもなしかい。ドラゴン退治の英雄でも、素質がなければ門前払いってわけね」
「ここは魔法という学問を研究する場なのでな。それでも、顔と名前が利くくらいはするだろう。それに、個人的に頼むこともあるのでな」
「頼む事?」
今度はアンジーの椅子もアークメイジの前まで移動する。そこでようやく彼も手を止めて3人の方を見る。
「私は魔法とは別に、学問の中でも運命力学という物を研究している。分かりやすく言うと、計算で未来を予測する学問だ」
そう言われても3人には全く想像つかなかった。
「例えばサイを振る時、投げる力と腕の角度と落下までの時間を計算すれば必ずどんな目が出るか投げなくてもわかるという事だ」
そんな事が事前に予測できる物なのか、あまりにも非現実過ぎて説明されても理解が難しい物だった。
「その為に、ギルドの支部を通じて毎日各地の情報を手に入れているのだが結論から言うと、このままでは人類の半分以上が20年以内には死ぬと予測できた」
あまりに突然に衝撃的な事を伝えられて、3人とも反応する事が出来なかった。ただ唖然とアークメイジの話を聴いていた。
「少し前にカペー地方でドラゴンが10年ぶりに姿を現したであろう? それだけでなく、ここ数か月の間で様々な地域でドラゴンの出現が確認されている。これまでにはない事象が起きているのだ」
ドラゴン出現が各地で発生している。それはつまり、様々な地域で魔物たちも凶暴化しているという事だ。凶暴化した魔物は村や町を襲う。そのせいで人類に大きな被害が出るという事を言いたいのだろう。




