89話
翌日、文字通り飛んで来た手紙の通りにバーズの町の、昼を告げる鐘が鳴った後ミックたちは魔法使いギルドを訪れた。すると、一階の受付に先日はいなかったギルドの係員が待っていた。
「ようこそ魔法使いギルドへ。案内をする使いの者です……あら、お客さんってあなた達だったの? カイナドの件ではお世話になったわね」
「お久しぶりです。魔法使いさん、ちゃんと正式にギルドから魔法使いに認められたんですね!」
係員はカイナドでネクロマンサー事件の時に、パーティを組んでいた魔法使いの女性だった。ミックたちよりも先にギルドへ来て、一員として認められたらしい。
「と言っても、末端で殆ど雑用を押し付けられてばかりだけどね。あなた達もギルドに認可を受けに来たの?」
「いや、あたしらは別件でここに用事があったのよ。カイナドはその途中でたまたま関わっただけ」
「そうだったの? それじゃあ私はその恩恵にありつけた幸運な人間だったわけね。それじゃあ案内するわ」
そう言って、ギルドの奥へ続く扉を開ける。彼女を先頭に魔法使いギルド支部の内部へ入ると、勝手に扉が閉まった。
「ギルドの扉は魔法で常に鍵が掛けられてるから、遅れないでついて来て。と言っても、少しの魔力を扉に送ればすぐに開くから大丈夫よね?」
少なくとも、ミックとリサは魔法の素質があるため気を付けるのはアンジーだけだ。魔法使いギルドは中庭を通る回廊を中心に、自分が使える元素ごとに部屋が割り当てられているらしい。
「私は4階風元素の所属だけど、あなた達は最上階のアークメイジと面会する事になってる。最初は誰でもまずはここの管理人であるアークメイジに挨拶するの」
いわゆるギルド長がそこの支部のアークメイジとして来訪者の対応をするという。しかし、彼女の時は5分ほどでしかも殆ど顔を合わせることなく一方的に認定を受け、所属先を告げられて終わったらしい。
そう言って彼女が足を止める。そこは行き止まりで上階へ続く階段は見当たらない。
「じゃあこのまま最上階へ向かうわね」
「ここからどうやって……」
そうミックが言いかけた所で急に身体が浮くのを感じた。単なる感覚だけでなく実際にミックたちは足が床から離れ、空中に浮かんでいた。
「ギルドの内部は魔力で反応する様々な装置があるの。ここもその1つで、魔力で浮遊できる空間があるから、そこから上階に行けるわ」
「便利な物だねえ。あたしは誰かの力を借りないとなにも出来なさそうだけど」
ミックたちはそのまま上昇して、最上階まであっというまに着いた。前方には見るからに特別そうな部屋であると分かる装飾の施された扉が見える。
「この先がアークメイジの部屋よ。私が開けたらそのまま中に入って」
そう言って、彼女が魔力を扉に送り込むと、独りでに扉が開いたのでミックたちはその先のアークメイジの部屋へと入った。




