85話
「僕が古い魔法の書を見つけた時、神父様みたいに魔法を使いたいって思ったんです。それでその本を読みこんで魔法の練習をしてきました」
「通りで魔法に興味があったのね。きっといい人なのね。その神父様は……」
「でも、それでやっと使えるようになったのは転ばし魔法だけなんですけどね」
その転ばし魔法をおぼえる事にしたのも、本の中で入門用として最初に紹介されていたからだ。他の魔法は未だに使えていない。
「前にも言ったけれど、古い魔法過ぎて私や他の魔法使いが使ってる元素魔法や他の魔法と体系が違うのよね」
だから、ミックは転ばし魔法を使えるからといって今から元素魔法の特訓しても使えるとは限らないという。逆にリサや他の魔法使いにもミックの転ばし魔法は使えるとは限らないようだ。
「本によると自分の身体の中を魔力が巡るイメージして、指先や身体の一部から放出すると書いてあるのですが……」
「元素魔法は自分の魔力をその元素に注ぐイメージをすると私は習ったわね。こっちのやり方だと魔力を直接放出すると、まず空気中の元素に魔力が溶けてしまうのよ」
「うーんやっぱり書いてあることと違うなぁ。神父様もそこまで詳しくは教えてくれませんでしたし……」
最初に魔法の本を神父様に見せた時も、所々疑問符がつくような感じで教えられた。彼も己の知っている魔法の使い方と違っていて混乱したのだろう。
「あーもう! 小難しい魔法の講義はお終い! よく分からない魔法より、あたしたちが目指してるバーズの町について話し合いな!」
アンジーがそう言って転ばし魔法の事はまた機会がある時にする事になった。ミックたちが目指すバーズの町は魔法使いギルドの支部が存在している。
「バーズ自体が大きな都市だという事は聞いてるわよ。魔法だけでなく各地から色んな特産品も集まってるでしょうね」
「カイナドよりも大きいんですか? そんな町に行くなんて僕初めてです!」
「武器や防具も色々あるだろうさ。流石にガキンチョもそんなぼろい短剣じゃなくてもっと強そうなのがいいんじゃないかい?」
「それこそ魔法使い用の装備だってあるはずよ。楽しみじゃない?」
想像してミックはどんな物か期待に胸が膨らむ。この世界は広くてミックに好奇心を刺激する物で溢れている。そして、新たに仲間に加わったリサも、彼の想像を超える凄い魔法使いだ。きっと、魔法使いギルドには彼女の様な人たちがたくさんいるのだろう。どんな冒険がバーズの町で待っているか、ミックは楽しみでたまらなかった。




