83話
魔法使いギルドがあるというバーズを目指しながらミックたちは街道沿いに北東の方角を進んで行く。
「前に教えたように魔法は源流である属性魔法が存在し、それらの魔法を扱うには自分の魔力を、その属性に混ぜ合わせるつもりで使うのだけれども……」
道を行きながら、ミックはリサから魔法についての基礎的な知識を教えて貰っていた。丁度、初めて一緒にカイナドに向かった時の続きを聞いている。
「元素魔法の中でも電気、水、風、土。これらは常に存在している基本中の基本。最初に上げた3つの属性も目には見えないけれど空気中に存在している。だから、素質や鍛錬によるけれど触媒がなくとも、使う事が出来る」
ミックは熱心に聞いているが、アンジーは自分には無関係と風に聞き流している。
「その4つの元素からさらに生まれる元素が火と木と金。雷が地面に落ちて火が出る、水が地面に吸われて木が生えると憶えれば分かりやすいかしら? 同じ元素でもこれらは元になる物がなければ使用するのは難しい。火種やそこら中に生えている植物に魔力を与えて操ると考えて」
「金はどうなんです?」
「金は鉱物全般だけど、これは特殊で他の元素魔法を与えてもその本質自体は変化しない。鉄や銅の剣に他の元素魔法を付与する、と考えればいいかしら?」
魔石も本来は金の元素に含まれる触媒らしい。リサの耳飾りはそれに電気の魔法元素を付与した物というわけだ。
「使い方によっては炎元素を足して切った物を燃やす炎の剣、という風に出来るわけ」
「氷とかはどうなんだ? あたしの昔の仲間はよくそれをつかっていたよ」
アンジーが口をはさんだ。なんだかんだでちゃんとリサの話を聞いているらしい。
「氷は水元素の魔法よ。空気中の水分を集めて魔力で温度を変化させて氷を作るの。元素魔法の応用ね」
それにもすらすらとリサは答える。師匠がネクロマンサーだったとはいえ魔法の知識自体は、ちゃんと教えて貰っていた事には変わりないようだ。
「私は火の元素の素質があったから、火の魔法を使ってる。でも、触媒が必要だから常に火種になる物を持ち歩いているわ」
そう言って、リサは何かを取り出した。小さな木の棒の先に黄色い物質がついている奇妙な道具だ。
「この棒の先についているのは発火性の物質。少し擦過するだけでたちまち発火するの。便利でしょ? こういう魔法の補助する道具や薬品を作るのも魔法使いの役目よ。特殊な素材や製造法のため少々値が張るけど、私はこれらをもっと普遍的に扱えるようにして、みんなが便利に生活できるようになるのが夢なの」




