82話
「ふう、昨日は思ったより飲み過ぎてしまったわ。まだ酒が残っている感じね……」
「もう、羽目を外し過ぎは良くないですよアンジーさん」
アンジーが宿に帰ってきたのは夜更けだった。たらふく酒を飲んで、上機嫌のままベッドに飛び込むとあっという間に寝てしまった。
「それで、あんたも結局ついてくるのかい?」
「勿論、ミックが私をパーティに招待してくれたんですもの。魔法使いとして、このパーティで力を貸すわ」
そしてリサも、新たに2人のパーティに加わった。彼女の強力な魔法は冒険の役に立つ事は間違いないだろう。
「ガキンチョが頼むから仕方なくパーティに加えてやったんだ。役に立たないと、置いてくからね」
「そんなアンジーさんも本当は嬉しい癖に……ちゃんと彼女の分も旅の道具を用意してくれたじゃないですか」
「それは依頼で金が余ったから予備としてたまたま……!」
2人のやり取りを見てリサも思わず笑ってしまった。女戦士と少年2人の風変わりなパーティだが、その実ドラゴン退治の偉業を成した程の英雄だというのだから。2人のやり取りを見てると、お人好しの冒険者にしか見えなかった。
「あたしらの目的地はバーズって名前の町。ここいらで一番近い魔法使いギルドがある町だ。あんたも用があるみたいだから仕方なく一緒に連れてってやるよ」
「ええ、ありがとう。魔法使いギルドで何があろうと貴方たちへの感謝は忘れないわ。だから、それまでパーティの一員として頑張らせてもらうわ」
「全く、そう素直に言われちゃ気が抜けちまうよ。よろしく頼むよリサ」
そう言ってアンジーは手を差し出して、リサと握手を交わした。これで彼女は正式にパーティの一員になった。
「この子がいれば、ガキンチョの転ばし魔法は殆どいらないんじゃないのかい? どうせなら彼女から簡単な魔法でも教えてもらいなよ」
「私で良ければ、色々と魔法の基礎を教えてあげるわよミック君」
「ぜひお願いします! 僕、古い本でしか魔法の事を知らないから、もっと魔法について知りたいです!」
1人加わっただけでもパーティは賑やかになる。ミックも魔法の事を知りたくて興味津々だ。
「あなたの転ばし魔法もかなり特殊な物だから、もしかしたら私たちの想像を超える力があるんじゃないかしら?」
「本当かなぁ? 僕としてはアンジーさんみたいな凄い魔法をばんばん使える方が格好良くて憧れます」
「さ、おしゃべりの続きは歩きながらでいいだろう? バーズの町目指して出発するよ2人とも!」
魔法使いギルドを目指して、3人はカイナドの町を出発した。




