81話
「リサさんは騙されていただけです。そして、最後には僕たちを助けてくれた。それなのに、誰がリサさんを悪者扱いするでしょうか?」
「でも、もし魔法使いギルドが許してくれなかったら……」
「その時は僕が助けます! リサさんのお陰で助けられたのだから、僕もまたリサさんを助けたい! それに、アンジーさんもきっと一緒に助けてくれるはずですよ。なんだってあの人にとっても恩人なんですから!」
私が恩人、ミックはそう言ってくれた。その魔法は邪悪な教えで得た物なのに、なんて優しい子だろうか。
「本当に? 私の事を助けてくれるって……」
「勿論です! こう見えても僕とアンジーさんはドラゴン退治の英雄なんですから、もしもの時は絶対にリサさんを守ります!」
強く手を握ってミックが宣言する。その気遣いに堪え切れず、私はついに泣いてしまった。
「わっ! ごめんなさいリサさん、痛かったですか?」
「違うの、最初に会った時、ちょっと酷い事も言ったのに助けてくれるって言ってくれたのが嬉しくて……ありがとう」
涙を拭いて微笑んで見せると、ミックはほっとした様に笑顔を見せてくれた。彼の優しさに、偽りだった今までの人生を赦されたような、そんな気持ちになれた。
「でしたら、僕たちと一緒に魔法使いギルドへ行きませんか? リサさんが目指していたバーズという町へご一緒に!」
「ええ、私1人じゃ到底たどり着けなさそうだし、守ってくれる仲間がいてくれると嬉しいわ。お願いします、英雄さん」
「はい、転ばし魔法しか使えませんが頑張ります!」
にっこりと笑ってミックは答える。自分にどんな沙汰が下されようが彼がいるなら怖くないと私は思った。自分より年下の少年だけれど、なんて頼りがいのある子なのだろう。私の想像以上に修羅場をくぐってきたのだろう。
「ところで、ドラゴン退治って本当?」
「もしかして、信じていなかったんですか? 確かに殆どアンジーさんが戦っていたけれど、僕も一緒にお手伝いしたんですよ!」
私が聞いたカペー地方にドラゴンが出たという噂話は本当だったようだ。しかも、退治したその当事者と出会っていたなんて! この少年が魔法使いギルドに呼ばれたのは、偶然ではなく当然の話だったのだ。私なんかよりも、立派な素質を持った人物が目の前にいる。自分もまだまだという事を思い知った。
「だったらその話、是非とも聞かせて欲しいわ英雄さん」
「いいですよ! まずは僕とアンジーさんの出会いから話さなきゃかな……」
ミックの話を聞いている内に夜も更けていく。それでも、彼の冒険譚はどんな魔法の話よりも楽しく聞く事が出来た。




