8話
「あたしはアンジー。見ての通り戦士だ。ちょいとあんたの話を聞いて少し興味をもってね。組んでいたパーティから外されちまったんだろう?」
女戦士アンジーはグリズリーベアの亡骸を横に、話し始めた。ミックはパーティにいた頃から今まで彼女の事を聞いた事も見た事もなかったが、向こうはミックの事を知っているようだった。
「それで、どうして僕と組んでくれるんですか?」
仲間を欲している冒険者ならギルドで探せば十分見つかるはずだ。自慢じゃないが、自分に出来る事はせいぜい荷物運び位だ。それだけの理由で彼女が自分と組みたがっているとは思えなかった。
「御覧の通り、荷物を持ち歩くには不便しててね。それにあんた、魔法を使えるじゃないか」
魔法を使えると言っても相手を転ばすだけの魔法だ。確かに魔法使いは冒険者の中でも需要は高い。しかし、もっと便利な回復魔法や攻撃魔法を使える魔法使いは探せばいるはずなのに……。
「失礼ですが聞いても良いですか? その右腕はどうしたんですか?」
「色々あったんだよ色々。とにかくそれで魔法も使える荷物運びのあんたが適任だと思っただけさ。だからガキンチョ、私と組まないか?」
正直な所、かなり彼女は怪しい。何か裏があるんじゃないかとミックは疑っていた。向こうはこっちを知っているが、自分は彼女について何も知らない。
「主に討伐依頼を受けて、報酬は半々だ。それに必要な道具はこっちで揃える。それでもあたしと組まないのか?」
「組みます!」
あまりの好待遇に思わず承諾してしまった。依頼の報酬を半分も貰える上に、道具の経費まで持ってくれる。そうであれば、一人で黙々と採取依頼を受けるより断然孤児院の費用が稼げる。その誘惑にミックは抗えなかった。
「よし決まりだ! よろしくなガキンチョ。早速だけど、こいつの首をギルドの手土産に持って行くぞ。まだ依頼は出てないだろうけど、これだけの獲物ならギルドも少しは報酬を出してくれるだろうからね!」
そう言ってアンジーは、まだ繋がっていたグリズリーベアの首を切り落とした。首だけでも相当な大きさだ。それについさっきまで生きていたその魔物の首をミックは担いだ。ちと獣の匂いが強く鼻をつく。帰ったらよく身体と服を洗わないといけないだろう。
「さあ帰るよ! あんたとあたしで、2人のパーティだ! いくよ相棒!」
そう言ってアンジーはずんずんと遠慮なく町へ戻ろうと歩いていく。ミックは魔物の首を担いで、慌ててその後をついて行った。




