73話
「やれやれ、だから馬鹿な生き物は話が通じないから嫌なんだ。そこの魔法使いさんと少年なら分かるでしょう? 君たちには素質がある。私と一緒に魔法使いギルドを変えていきませんか? 私の幻術があれば、冒険者ギルドなんてどうとでも出来ますよ!」
魔法使いの女性は悩みだす。状況的には多くの死体を引き連れた向こうの方が有利だ。反対すれば自分も殺されるが、ネクロマンサー側に付けば命だけでも助かる。彼女も魔法使いギルドに入りたい。ここで死ぬわけにはいかない。
「僕はあなたの考えには賛同しません」
ミックはきっぱりと言い切った。
「どうして? 理解に苦しみます。魔法を使える素質があるのに君はそれを有意義に使おうと思いませんか? 素質のない連中なんてたくさんいた所で、精々魔法の実験材料になるくらいしか価値のない存在です。君たちは選ばれた人間。その価値がある!」
「僕は最初、役立たずだと言われてきました。自分でもこの魔法が何の役に立つか分からなかった。でも、アンジーさんが僕の魔法の使い方を見つけてくれた。そのお陰で今こうしていられるんです! 自分だけの考えで他人の価値を決める人に、僕は絶対嫌です!」
価値がないからと他人を平気で切り捨て、死者を冒涜するネクロマンサーには与しないとミックは強い意志を見せた。
「よく言ったよミック! 流石、あたしの相棒だよ!」
「こんな小僧がやる気なんだから、ここで逃げられるか! 馬鹿はすぐ他人を馬鹿にするって言うが、本当だなバーカ!」
魔法使いの女性がリサの師匠とミックたちを見比べて苦悩する。そして、諦めたかのように息を大きくはいた。
「あーもう、ここで裏切ったら絶対恨まれるじゃない! 死んだらあんたらのせいだからね!」
リサの師匠がミックたちの反応を見てため息をする。
「時間だけが無駄になりましたね。まあ君たちはまた後で一緒になりますよ。死体としてね」
リサの師匠が声を上げる。
「こいつらを仲間にしてやりなさい!」
ぞろぞろと奥の方から亡者たちがミックたちに向かってくる。墓場で戦った時よりも何倍もの数の亡者だ。
「あたしとあんたで、何体亡者を倒せるか競争だよ。魔法使いは強力な一撃を頼む! ミック、あんたはその娘を守ってな!」
そう言って、アンジーと戦士が前に出る。魔法使いが詠唱を始める。ミックは、リサの傍で短剣を取り出して、いつでも転ばし魔法が使えるように構えた。
「冷静に向き合えばこいつらは動きが鈍い! さっきの生きている操られてた連中の方がよっぽど手ごわかったくらいさ!」
アンジーがそう言って亡者の群れと相対する。その言葉を聞いてもリサの師匠はまだ何かあるのか、余裕の笑みを見せていた。




