71話
「何か方法はないのかい! この娘にかけられた幻術を解く方法は!」
アンジーが声を荒げる。幻術を解きたいが、それを遮る魔法が掛けられている。そのせいで、リサを助ける事が出来ない。
「彼女の幻術を解こうとすると、その魔力に反応して魔法が発動するのよ。その魔法が込められた触媒を破壊しなきゃ……!」
魔法使いが説明する。罠の触媒となっている物……ミックは彼女が付けている耳飾りに気が付いた。
「この耳飾り、もしかしてその触媒じゃないですか?」
「ちょっと待って……確かに僅かに魔力を感じる。恐らくこの耳飾りに使われている石は魔石ね。これを破壊するには……」
「面倒くせえ! こんなもん引きちぎっちまえば……!」
戦士が無理やり割って入って彼女の耳飾りを引きちぎろうと触れる。すると強力な電撃が戦士を襲った。アンジーが慌てて戦士を蹴とばす。
「この間抜け! そんな簡単に外せる物だったら、わざわざ罠として使わないだろうが!」
「落ち着いて聞いて、安全に外すにはこの耳飾りの魔石にかけられたのと同じ属性の魔法で、魔法を相殺しながら魔力を消耗させるのが一番安全な手段。でも、この魔石にかけられている魔法はさっき見た通り雷属性の物。残念ながら私は風しか使えないからそれはできない。風に魔力を乗せて放つから、魔石が反応してさっきの戦士みたいになる」
同じ属性でないと罠が発動する。しかし、この場にいる魔法使いは彼女だけ……いや、もう1人いる。
「僕の魔法は? 例え触れなくても魔力を流す事ならできます!」
ミックの転ばし魔法は属性魔法ではないが、魔力を相手に向かって飛ばして発動している。その魔力で魔石を破壊できるかもしれない。
「触れずに魔力その物を流し込む? うーん、多分行けると思うけど、後は込められた魔力を完全に消費できるかどうか……」
「とにかく出来る事をやるしかないね。行けるかいミック?」
ミックが頷いて、リサの前に出る。彼女の耳飾りに向かって、転ばし魔法をかけてみた。
「転ばし!」
魔力を送った瞬間、耳飾りの魔石が反応して跳ねる。同時に周囲に火花が飛び交った。
「そのまま続けて! でも気を付けて、あまり一度に大量の魔力を送ると、また強力な雷が出てきちゃうわ!」
魔力を流し続けて魔石の魔力を空にする。少しずつ、溜まった水を外に流す様に。しかし、こんな長時間転ばし魔法を使い続けた事はない。魔力を流し続けていると、どんどん身体が重くなるのを感じた。
「ミック、さっきの戦いから魔力を使い続けている。無理すればあんたの魔力が切れてしまうよ!」




