67話
「リサ、起きなさい! 大変な事が起きました!」
師匠の声でリサは目が覚めた。カイナドの宿の外から、争い合う声が聞こえてくる。
「リサ、聞きなさい! ネクロマンサーたちが突然カイナドに攻めてきました! とても危険な状況です!」
ネクロマンサーが町を襲ってきた? 奴らはそれ程大規模な集まりだったのか。今まで集めた死体の数を想像すれば、小さな軍隊くらいは出来るかもしれない。しかし、何故わざわざ町を襲うマネを?
「我々も戦わなければなりません。だから、リサは他の仲間たちと一緒に迎撃に当たってください!」
「他の仲間?」
急に襲ってきたのに、こちらも一緒に戦ってくれる仲間がいるのだろうか? 部屋に見慣れない4人の人間が入ってきた。
「彼ら冒険者と一緒に襲ってくるネクロマンサーの迎撃をお願いします!」
「師匠は?」
「私は別の場所で彼らを向かい打ちます。ですからリサも気を付けて!」
そう言って、師匠がいつものように頬を撫でる。身体中に魔力が漲るのを感じた。
「分かりました。行ってきます!」
絶対にやっつける。もうすぐ魔法使いになれるのだから。相手がどんな相手でも、絶対に負けられない。
外に出る。カイナドの町は火の海だ。こんな事をするネクロマンサーを許せない。町を襲うネクロマンサーを発見する。
見た事のある顔があった。ミックとアンジーとか言う女戦士。その2人がネクロマンサーの一味だったなんてショックだった。でも、相手になるなら容赦はしない。
「行って! 邪悪なネクロマンサーたちを倒すのよ!」
仲間がネクロマンサーに向かって突っ込む。私は魔法でその補佐をする。魔法の詠唱を始める。
「炎の壁!」
自分の得意な火の魔法で相手を攻める。属性魔法は常にその元が必要になる。、でも、周囲にその元は沢山ある。町中にある炎が自分の味方だ。
「~~~!」
向こうから何かを喋っている声が聞こえる。しかし、それを聞く必要はない。ネクロマンサーは悪の存在なのだから。その言葉はこちらを惑わせるだけだ。倒すのに余計な物は必要ない。
私は惑わされない。何が何でもネクロマンサーを許さない。
「本当にそれが魔物の仕業だったのか?」
動揺してはいけない。相手の思惑に乗ってはいけない。それらは全て私を惑わせる言葉だから。私の村は両親は、ドラゴンのせいで凶暴化した魔物の仕業で滅んで、それ以外に意味はない。意識を集中させる。魔法に専念する。さもなくば負ける。魔法使いにとって迷いが生じた時、敗北につながるのだ。




